「宇田川源流」【大河ドラマ 光る君へ】 平安時代を女性の立場で描くドラマに仕立てた面白さ
「宇田川源流」【大河ドラマ 光る君へ】 平安時代を女性の立場で描くドラマに仕立てた
毎週水表日は大河ドラマ「光る君へ」について、本当に適当なことを書いている。今回のドラマは、基本的には「史実」といわれる「記録」には全くない内容を作っているということがなかなか興味深いところである。実際に「平安時代マニア」などの人々は「史実にはない話」または「扇で顔を隠していない」「御簾が少ない」「このようなことがあるはずがない」などということを言う人は私の周辺でもまたSNS上でもたくさんあることは承知しているが、まあ、御簾ですべて隠してしまうのであれば、女優や俳優を使う必要はないし、また、男女の関係などを描く必要もなくなってしまう。また、史実通りならば祖茂ともドラマなどを見なければよく、当時の文章だけを読んで頑張って自分の中で歴史的研鑽をすればよいのである。ある意味で「歴史を題材にしたドラマ」をしっかりと楽しむ、そして歴史的出来事にむかって、どの様な伏線を作り、人間関係をどのように構築してゆくのか、そしてその中にドラマをっどの様に潜ませるのかということが、ドラマとしての面白さである。
ある意味で、「写真」と「絵画」を比べているようなものである。ゴッホのヒマワリは、ある意味で芸術品であるが、しかし、写真でとったひまわりとは全く異なる。今回のドラマを批判している人は、ある意味で「ゴッホのヒマワリが写真や実物と異なる」と言っているのにすぎず、「絵画としてのひまわりや、ゴッホの見たひまわりの世界、その解釈」を楽しめない人なのであろうと思う。もちろん、この作品がゴッホのヒマワリほど芸術性が高い作品かは不明である(これは最終回までは絶対にわからない事であろう)し、実際にゴッホの作品も生前には全く評価されていない。そのように考えると、今回のドラマとしての「光る君へ」は終わった後にどれくらい評価されるのかということも、ある意味で興味の一つではないかと思う。
さて、今回13回は、藤原兼家が衰え、そして次の世代に向けた様々なものが動き出す会である。ちょうど3か月たって、一つの時代が終わったということではないか。
源明子役の瀧内公美、扇を狙うシーンは「不思議な感覚」高畑充希も登場の「光る君へ」君かたり
紫式部の物語を描く、吉高由里子主演の大河ドラマ「光る君へ」。この度、ドラマ公式サイトにて、新たな“君かたり”が公開された。
出演者の撮影現場からのコメントを収録した、この“君かたり”。今回の映像では、藤原定子役の高畑充希、源明子役の瀧内公美、茅子役の渡辺早織、しをり役の佐々木史帆が登場している。
道隆の長女・定子は、清少納言らが集うサロンを作り上げ、一条天皇の最愛の妃となるが、悲運に見舞われる。映像にて高畑さんは、「華やかなんだけど、影も少しあるような、お花みたいなイメージ」と役の印象を語り、入内について「そういうもの」と思いながらも、「相手を好きになれた」ことはよかったとコメント。
道長(柄本佑)のもう一人の妻・明子について、「本音と建前というのがしっかりある女性で、自分の目的に対する芯がしっかりしている」と印象を語った瀧内さんは、兼家とのシーンをふり返り、「『父は亡くなりました』と答えればいいものの、『父は太宰府から帰ったあと身まかりました』というふうに答える、事細かくいうその受け答えが、彼女の心がある部分」と説明。
扇を狙うシーンについては、「穏やかな気持ちに、達観していくというような思いにはなりましたね。必然と笑みがこぼれるといいますか」「いろいろ複雑な思いはあるけれど、不思議な感覚にいけたような」と明かした。
ほかにも、源倫子(黒木華)のサロンに通う貴族の姫たち、茅子としをりを演じた渡辺さんと佐々木さんが、まひろや倫子について話している。
▼第13回 あらすじ
4年が過ぎ、道隆(井浦新)の娘・定子(高畑充希)が、元服してわずか20日後の一条天皇(柊木陽太)に入内する。道隆たち中関白家が絶頂期を迎え、そして兼家(段田安則)の後継争いが始まろうとしていた。
一方、為時(岸谷五朗)は官職を得られず、貧しい暮らしが続くまひろ(吉高由里子)。ある日、さわ(野村麻純)と出かけた市場で揉め事に巻き込まれる。文字が読めずに騙された親子を助けようとするまひろだったが――。
大河ドラマ「光る君へ」は毎週日曜日20時~NHK総合(再放送 翌週土曜13時5分)、毎週日曜日18時~BS・BSP4K、毎週日曜日12時15分~BSP4Kにて放送中。
3/31(日) cinemacafe.net
https://news.yahoo.co.jp/articles/5adacd7fc46a436ce806c6946db37e404e22a29c
藤原摂関政治の絶頂期は、少なくとも私の学生時代は、藤原道長・頼道父子の時代であるされた。この父子の絶頂期をモデルに物語を書いたのが、紫式部の「源氏物語」であるという。要するに、大石静さんは、源氏物語の内容に寄せて今回の大河ドラマを作っているのであろうということではないかと、私は勝手に推測する。
そのような意味でいえば、光源氏のモデルとなった藤原道長(柄本佑さん)の苦悩と、現代でいえば「女難の相」ともいえる女性たちの周辺の動きが非常に面白い。
さて、ところで道長の正妻は源倫子(黒木華さん)であるとされ、源明子(瀧内公美さん)は「妾」と位置づけられる。もちろん結婚した時(結婚という明確な感覚があったかどうかは不明であるが)の時の父親の地位は右大臣であり、片方は死んでいるのであるから、そのようになってもおかしくはないが血筋的には明子の方が上かもしれない。なおこのほかにも4人の妻がいるとされているが、それもすべて出てくるのかは先を見なければわからない。
さて、ここに様々な事があるのだろうが、実際に、大河ドラマ的には「道長が本当に愛したのはまひろ(吉高由里子さん)である」という大前提に立ってみて、そのまひろとの関係が良かった源倫子であるということを示唆している。まひろと藤原道長の恋文に関して、道長はまひろを忘れられなくてその恋文を大事に持っており、それを見つけた源倫子が明子の文であると勘違いしてまひろに相談するという事が、こののちの道長と女性三人の関係を示唆しているのではないか。そして、この「相談する」ということが、後、一条天皇の中宮彰子(藤原道長の長女、のち院号宣下して上東門院)に女房兼(現代でいえば)家庭教師役として仕えるということに伏線になる。この中宮彰子は、藤原道長と源倫子の間の長女であり、当然に母である源倫子の以降がなければ紫式部はこのようにはならないであろう。
天皇に対して「母」の力が強いことは、藤原詮子(吉田羊さん)と皇后藤原定子(高畑充希さん)の場面でよく書かれている。要するにこの関係がそのまま源倫子と一条天皇の間にもありそして中宮彰子との関係にも出てくるということになることを示唆している。もちろん、藤原詮子と藤原定子との間の確執などもあり、なかなか女性の戦いが出てきている。平安時代のこのような女性の争いがしっかりとドラマ化されているのは、少女漫画などではみることはあっても、テレビドラマで扱ったものは少なく、なかなか面白い。なお、中宮彰子役は、後に見上愛さんが演じられるというので、高畑充希さんとの掛け合いが楽しみである。
さて、もう一つ書かなければならないのは、上記の記事にある扇のシーン。私からすれば「身近なモノ、地位を示すモノをもらい、そのものを使って呪詛をする」ということが普通に行われていた時代。当然に藤原家を憎んでいる源明子は、藤原兼家(段田安則さん)の扇をもらったことで、これを使って呪詛をする。その呪その結果が、藤原兼家だけではなく、源明子の望むように藤原家全体に呪詛の効果が出る。その結果道隆・道兼の兄弟も後に亡くなってしまうことになるのであるが、一方、道長ら源明子と結婚していたことから呪詛がかからないということになるのではないか。ちなみに道長と明子の間には6人の子供が生まれる。そしてその末子藤原長家の子孫は、和歌、特に百人一首で有名な藤原定家がでる。この辺も大石静さんの手にかかれば、うまくまひろとの関係が出てくるようになるのではないか。その辺は今回の「まひろが子供たちに文字を教える」というようなことが伏線になるのではないかと思う。
このように歴史を知っていると、何となく、「これがこのエピソードの伏線になるのではないか」と楽しみが増える。そのような見方をするのも今回の大河ドラマの楽しみ方の一つかもしれない
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