「宇田川源流」【大河ドラマ 光る君へ】 庶民代表の直秀の死の意味する「意図」

「宇田川源流」【大河ドラマ 光る君へ】 庶民代表の直秀の死の意味する「意図」

 毎週水曜日は、大河ドラマ「光る君へ」について、一視聴者としてテキトーなことを書いている。これでも一応歴史小説作家をしているので、歴史に関するアクセスの方法と、それを「小説」としてアウトプットする方法も、一応自分の昨比院の中ではやったことがあるので、それなりにその方法に関しては、自分なりの観点がある。一方で平安時代という時代は全く書いたことがないので、その内容に関して派「自分にとっても未知の部分」ということができる。その様に考えれば、全くの一視聴者であることは間違いがない。もちろん今回の制作にかかわっているというようなことはないので、完全に一般人の「戯言」でしかない。

さて、今回は「藤原義懐」についてみてみたい。劇中では高橋光臣さんが、クールな役どころを演じており、若いけれども花山天皇の側近として、宮中で力をふるっている。今回も公卿になれなかった藤原実資(秋山竜次さん)との間の確執が出てきているような役柄だ。では実際というか記録に残る藤原義懐はどんな人物であったのだろうか。

摂政太政大臣・藤原伊尹の五男で花山天皇の外叔父に当たる人物である。もちろんこの時代は外叔父といってもそれほどの近しいというような関係ではない。藤原北家なので、藤原家の主流であるもの父伊尹が早死にしたことから出世が遅れた。しかし、花山天皇の即位と同時に、一気に正三位まで昇叙し蔵人頭に、そして翌年寛和元年(985年)には従二位・権中納言に叙任されるなど急速に昇進した。この時、17才の花山天皇に、28才の義懐というコンビになる。そして父の代からの側近で天皇の乳兄弟でもある32才の藤原惟成(吉田亮さん)と、老成した藤原兼家等と対立することになる。今回の会でも藤原実資との対立が描かれている。

寛和2年(986年)6月23日、花山天皇は深夜蔵人左少弁・藤原道兼に促されて宮中を後にして出家。いわゆる寛和の変である。義懐と惟成は必死に天皇の居所の捜索にあたったが、義懐が元慶寺(花山寺)にて天皇を発見した時には天皇は既に出家を済ませていた。この時に政治的な敗北を悟った義懐は、天皇と一緒に出家してしまう。なお、息子たちもみな出家してしまい、道長たちとの交流はあっても政治の表舞台からは姿を消してしまうのである。

高橋光臣さんを見るのも・・・。

光る君へ:毎熊克哉が提案 直秀の最期“手に泥”に込められた思い 権力への反抗、悔しさ…道長に渡したかった「バトン」

 吉高由里子さん主演の大河ドラマ「光る君へ」(NHK総合、日曜午後8時ほか)。3月3日に放送された第9回「遠くの国」では、毎熊克哉さん演じる直秀が悲しい最期を迎え、視聴者に衝撃を与えた。2月25日放送の第8回「招かれざる者」のラストで、盗みに入った東三条殿で捕まり、その後、無残にも殺されてしまった直秀。鳥辺野に討ち捨てられた遺体を道長(柄本佑さん)が発見したとき、その手に握られていたのは泥だったが、同シーンに込められた思いを、直秀役の毎熊さんが語った。

 ドラマのオリジナルキャラクターで、町辻で風刺劇を披露する散楽の一員でありながら、貴族から金品を盗み、貧民に分け与える“義賊”の顔も持っていた直秀。毎熊さんは役に決まったときから、物語の序盤で殺される運命にあることは知っていたという。

 また、道長が屍と化した直秀を発見したとき、カラスが遺体にむらがっていたが、毎熊さんは、このカラスが「すごくいいな、と思いました」と明かす。

 カラス=鳥はこの作品における「自由の象徴」と考える毎熊さん。屋根の上からまひろ(吉高さん)を呼び出すとき、フクロウの声まねをしていた直秀は、捕まる前、まひろを冗談交じりに“外の世界”に誘った際も、「所詮、都は山に囲まれた鳥かごだ」とし、「俺は鳥かごを出て、あの山を越えて行く」と夢を語っていた。

 「どこへでも行ける、自分の意志で生きていける、直秀のようなキャラクターが、鳥に食われているっていうのがいいなと思って。“だた死んでいる”というのと比べて、死んだあとにカラスに食われているっていう描写の方が、すごく残酷に感じたんです」

 直秀は当初から「まひろと道長に影響を与える人物」と位置付けられてきたが、毎熊さん自身「影響を与える役、その影響ってなんなんだろうと思っていた」と話す。その中で、思い浮かんだというのが、最期を迎えた直秀が手に握っていた泥。これは台本にはなかったもので、毎熊さんの提案によって実現した。

 第9回の演出を手掛けたのは、毎熊さんが2018年度後期の連続テレビ小説(朝ドラ)「まんぷく」に出演した際に出会った中泉慧さん。「まんぷく」以来の再会となったが、毎熊さんとは“同い年の同士”の中泉さんも、直秀の最期のシーンを「すごく大事にしてくださった」という。

 「以前よりもお互いに重要な役割を任させれて、絶対にいい第9回にしようというのはあったし、直秀の人生をどう終わらせたらいいのか、すごく話しやすかったのもあって、台本にはなかったのですが、最期の直秀の姿として『泥を握りしめている』という演技を提案したら、『それはいいかも』となったんです」

 劇中では、直秀の遺体を発見し、言葉をなくす道長が手に握られた泥を見つけて払ったあと、代わりに自分の扇子を持たせてやる、という流れとなったが、一握りの泥に込められた思いを、毎熊さんに聞くと……。

 「あの山を越えて、海のある町に行くんだ、と言っていた直秀は、抵抗したんだろうなって、権力に。直秀に手を下した2人は、第2回(1月14日放送)で、町の人間をいじめていた検非違使で、直秀が石ころを投げた相手。イラッとして石ころを投げて、走って逃げていたらまひろとぶつかってと、いろいろとつながっているのですが。その2人に対しての反抗というよりも、今の国、権力に対する反抗。悔しさがにじみ出ている死に方に見えたらいいなと思ったし、それを道長にバトンタッチしたいと思って。それは視聴者に分かってほしいわけではなくて、道長だけに伝わればいいなという感じです」

2024年03月03日 MANTANWEB編集部

https://mantan-web.jp/article/20240303dog00m200021000c.html

 さて、

今回のドラマは「直秀の死」である。この物語を作った作家の大石静さんも、この直秀に関しては「オリジナルのキャラクター」であるということを表明しており、少なくとも記録には全く存在しない人物である。つまり、「いつ生まれても、どんな活躍をしても、また、いつ死んでも、それは制作者の意のままになるキャラクター」ということになる。

今回も、政権を牛耳る藤原一族をすべて憎み、国家権力に対抗する盗賊であり、昼は散楽で風刺や貴族の揶揄を行っているという集団の一人であり、また、その盗んだものをまずひい人に分け与えていた「義賊」である一面も書かれている。

このようにみると、石川五右衛門や鼠小僧治郎吉というような、歌舞伎になった義賊を思い出すものであるが、それはそれで作家も同じような感じで見ていたのではないだろうか。このような「庶民」は、貴族の世界や、戦国時代でもなかなか書くことは難しく、「当時の庶民がどのような生活をしていたか、また、庶民が何を楽しみにしていたのか」ということもよくわからない。そもそも「街の中の様子」が見えていないので、その内容をどのように書くのかというのはなかなか難しいのである。

その内容をうまく書き、そして藤原道長(柄本拓さん)とまひろ(吉高由里子さん)の間にうまく入り込んで、一時は道長の弟というようにしながらも、結局盗賊としてつかまってしまう。

道長は何とか助けようと検非違使のトップに賄賂を渡すが、そのことから、かえって目をつけられてしまい、結局殺されてしまうということになる。直秀を演じる毎熊克哉さんも、その辺のところはうまく演じているようで、直秀の最期に土を握っていた演出などは、上記の記事に書かれている。

さて、最期なので直秀のことばかり書かれているが、この時の道長はどうであったのか。道長は「助ける」ということからわいろを渡したが、それがかえって直秀の死を誘発することになる。つまり、検非違使などの間に、藤原家、特に右大臣の藤原兼家への怨嗟や、公家の中の対立ということが様々にあったに違いない。道長は、普段から権力争いに入らなかったことから、そのことに疎く、金によって何んとなかると思っていたようであるが、残念ながら、それが裏目に出た。「殺したのは私だ」という叫びは、まさにそのものであり、また、扇子を握らせたり、埋葬したりというのは、その様な罪悪感であろう。

そのほんの少しの演出で、庶民の国家権力に対する怨嗟や、直秀と道長とまひろの微妙な三角関係、そして、道長の罪悪感や宮中の怨嗟、その様な「赤裸々な当時の内情」をうまく表現しているということになるのではないか。

私個人としては、このまま生き続けて、道長とまひろの間をうまくサポートしてほしかったが、その様なキャラクターにはしなかった。その辺が大石静さんの、面白さなのではないか。

宇田川源流

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