小説 No Exist Man 2 (影の存在) 第一章 再来 16

小説 No Exist Man 2 (影の存在)

第一章 再来 16

「徐同志と孔同志は、もう少し待って、その内容のリスクをこの場で検討して、聴かせてくれ」

 周毅頼は、さすがに核攻撃となれば、慎重にならざるを得ない。

「かしこまりました、それでは・・・」

「いや、同志、徐同志の話ばかりではなく、まずは軍事的な内容からお答えしましょう。」

 孔洋信が、徐の言葉を遮った。

「日本において、病原菌が発見された時点で、日本との国交を断絶します。これは、あくまでも政治的ではなく、疫学的な理由として、一時的な措置として行えば、それは問題はないでしょう。逆に言えば、共産党にとって重要な人物は全て事前に戻しておく必要があります。」

 孔洋信は、そこまで説明して一回周囲を見回した。ここまでは、少なくともここに三人にとっては共通認識である。孔洋信は、元々官僚ではないので、徐平のように既に決まっていることを繰り返すような話は市内。しかし、孔洋信はあえてこの繰り返しから始めたのである。

「そして、その後その国交断絶の後に、日本国内で疫病が広まるように工作します。陳文敏などにそれをさせればよいでしょう。」

「林青や高鋼はどうする」

 周毅頼は、陳文敏という言葉を聞いて、その二人の話をした。この二人は、中国共産党の中でもかなり優秀なスパイである。

「事前に戻しておけばよろしいかと。その為に、交代要員を着けましょう」

 徐平が、何事もなかったように言った。官僚というのは、人を人と思っていないので、この自分の言っている意味が徐平にはわからないということになる。ここで言う交代要員というのは、国交断絶後に日本に行くということであり、それは、この殺人ウイルスに感染するか、あるいは、その後に中国共産党の発する核兵器によって死ぬということを意味してる。つまり、この交代要員は、中国共産党によって殺される犠牲者なのである。

 孔洋信は、そのことをわかっていて、わざと何も言わなかった。この辺が機械的な官僚と、同じ釜の飯を食った人が死ぬという現実を突きつけられた軍人との差である。

「さて、続けます。ここまでの疫病を広め、日本を封鎖し、日本の国内で日本人が滅びてゆくまでのことを『トロイの木馬』作戦と命名します。」

「木馬の中身がウイルスという事か」

「そうなります」

 周毅頼は、少し満足そうな笑みをたたえた。。

「その後、当然にアメリカなどが日本の救済のために入ることが予想されます。特にWHOは、2020年のCovid19の時も中国に入ってきましたから、その病原菌の現れた期限探しに入ると思います。もちろん、我々は、その様な検査によって我々が原因であるということは出ないでしょう。しかし、その結論を見て、政治的に工作を行い、日本が何らかの病原菌の実験をしていたというように出るようにしなければなりません。」

「そうであるならば、東京には東京大学や慶応大学など、大学の研究施設や微生物研究所などもある。埼玉県には自衛隊病院もありまた、自衛隊の研究所もある。その様なところを中心に行えばよいでしょう。しかし、それでは東京だけになってしまいます。その様な意味では日本全土においてその病原菌を研究できるようにすべきでしょう。例えば理化学研究所など、それらの研究所の周辺でも『トロイの木馬』を仕掛けなければならないということになるでしょう。その様にしたうえで日本の全土を対象とした攻撃目標にします。」

「問題は、中国が日本を核で攻撃するということを、世界に認めさせなければならないということだ。当然に日本は、自分たちが病原菌の頒布元であるというようなことは認めないだろう。そのうえでアメリカなどをすべて認めさせて、我々がミサイルで攻撃するということが必要である。」

「その通りです。周主席。そこでここからの内容を『日本漂流』という作戦名にします。核兵器で攻撃を許すということは、二つの状況が必要になります。一つは日本の状況が最もひどく、そしてて核兵器で焼き尽くす以外には、それ以上に被害の拡散を食い止める手段がないということになります。つまりワクチンがないということや、治療法がないという事、それだけではなく県の感染力が衰えないということが重要になってくるでしょう。もう一つは、核攻撃をした場合に、日本の中で健康で何の問題もないのに犠牲になるという人が少ないということが重要になります。日本人というのは、そして日本人に感化されたアメリカやイギリスの人々は、何の罪もない人一人のために、全体を犠牲にするというような状況を簡単に起こしてしまう。戦争の真っ最中に戦場の真ん中にいる民間人を助けるために、一個師団をすべて死滅させても問題ないと考えるような人々だ。その様に考えれば、その様な民間人が極端に少なく、またその場に放置した場合、感染して遅かれ早かれ死んでしまうということが要件になります。」

「遅かれ早かれ死ぬ」

「はい、要するに生きていても手遅れということであり、救う価値がないという状態でなければならないということが必要になります。」

「そのうえ日本人は・・・」

 徐平は、また官僚らしい、全く感情のこもっていない言葉をつないだ。

「単なる肉と骨の塊でしかない遺体にまで興味を持ち、そしてそれを自分の手で燃やすまで執念を燃やしているということになります。実際に我々には全く理解できません。人間の死体などというのは、その様な形をしているものでしかなく、話すこともなければも動かないし、病原菌や腐敗が始まるにもかかわらず、日本人はそのようなもともと人間であった肉のたまりを大事に扱うのです。」

 通常の日本人には全く理解できないが、中国共産党の標榜する史的唯物論とは、その時時に分たちに価値があるというもの以外は全く価値を感じない。普通のごみと、人間の遺体はまったく同じような感覚しか持っていない。日本人とは全く感覚が異なるのである。

「死体もすべて日本から出せというのか」

「いえ、死体が病原菌まみれで危険であるというように言わなければなりません」

「なるほどな」

「周主席、それに徐同志、日本人の死体に関する話はもうよろしいでしょうか。そしてそのような価値観を世界に出した後、アメリカでは同盟国だから手加減してしまうので、中国が行うということを国際的に承認させるというてはずです」

「なるほどな、孔同志の話は理解できた。それで経済政策は」

 周毅頼は徐平の方に話を振った。

「はい、日本がいないという前提で、日本と関係している国をすべて集め、北京で会議をし、その補填を行うということになるのでしょう。基本的に日本人は結束力が高い。しかし、日本の研究施設が病原菌をばらまいたというようなことをしっかりと話し、そのうえで、日本から出ている日本人をすべてどこかに隔離するということをしなければならないでしょう。その時に、各国首脳と話をして、和が共産党が日本になり替わるということになろうかと思います」

 周毅頼は、納得したように、うなづいた。

「では、それで進めてくれ」

「はい」

宇田川源流

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