「宇田川源流」 「岸田の乱」と言われる派閥解消の舞台裏

「宇田川源流」 「岸田の乱」と言われる派閥解消の舞台裏


 先週の末の話題で最も大きく報道されたのは、自民との派閥解消の話題ではなかったか。

今回の自民党の派閥パーティー券の政治資金規正法違反事件(既に逮捕または起訴されているので事件とします)で、はじめのうちは清和政策研究会(報道ではいつまでも安倍派と言っているが)ばかりであったが、先週の木曜日、18日に宏池会(岸田派)の派閥の会計責任者も逮捕され、立件される見込みであるということになった後、すぐに岸田首相は「宏池会の解散」を主張したのである。

これは、それまで自民党の「政治改革推進本部」の会合を2回も開き、なおかつその中で菅義偉前首相などから派閥解消ということを提案されていたにもかかわらず、その改革本部では全く反応しなかった岸田首相が、自分の派閥に手が及んだ瞬間に「派閥解散」を主張するという、この強烈な違和感はどのようなことなのであろうか。

今回解散を発表したのは宏池会(岸田派)、志帥会(二階派)、清和政策研究会(安倍派)の三派閥であり、この三派閥はいずれも「派閥の会計責任者が立件されている」派閥であるといえる。これに対して、為公会(安倍派)、経世会(茂木派)、近未来政治研究会(森山派)は、逮捕者も出していないし、今回の件で派閥を解散しないということを主張している。

清和政策研究会に関しては、そもそも安倍元首相が一昨年於七月に不慮の死を迎えて、また昨年細田元衆議院議長が亡くなり、会長不在のまま集団指導体制のような形になっていた。中も必ずしも一人を中心に回っていたものではなかった上に、今回の事件で所属議員の逮捕者が出たことなどを考えれば、解散という選択肢を選んでもおかしくはない。実際に、派閥の中において「西村派」「萩生田派」「福田派」「下村派」などに分かれていたので、一つにまとまる求心力が亡くなってきたのではないかという気がする。また志帥会においても、この派閥は、旧民主党や郵政選挙で一度離脱した人が非常に多くいたので、派閥内にまとまりがなく、また、二階元幹事長と、武田良太元総務大臣というようなやはり派閥内派閥ができてしまっており、まとまりがなかった。そのように考えれば、実質的なグループというようなことがあっても良かったのかもしれない。

しかし、首相派閥が解散をするというのはなかなか衝撃的な内容ではないか。この裏事情はいったい何があったのか。その内容を、見てみようと思う。

“岸田派解散”に反発相次ぐも岸田総理は「博打を打たないと逆転はできない」

 岸田総理が会長を務めていた岸田派も元会計責任者が刑事処分を受けることになった今回の事件。岸田総理は「派閥を解散する」と表明しましたが、自民党内では戸惑いや反発する声があがっています。

岸田総理 「政治の信頼回復のために、宏池会(岸田派)を解散するということを申し上げた」

 きのう、突然浮上した岸田派の解散話。けさ、岸田総理は正式に解散すると表明しました。

自民・無派閥情報交換会 赤沢亮正 衆院議員「相当な、やっぱり覚悟とかですね、本気が見えたっていうか。我々は敬意を払いたいというふうには思います」

公明党 石井啓一 幹事長

 評価する声があがる一方で…

鈴木俊一 財務大臣「まだ正直、自分の中でも十分に咀嚼できていない、そういう段階です」

派閥幹部「完全にちゃぶ台返しだ。もう岸田総理のことは支えない」

 戸惑いや反発の声も聞こえていて、自民党内では「岸田の乱」ともささやかれています。

 これは、▼岸田総理が派閥解散について党の執行部などに一切相談しなかったこと、▼自民党の政治刷新本部で派閥のルール作りについて議論を進めている最中であることが主な理由です。

 さらに、他の派閥への影響というのもあります。さきほど、安倍派の中堅若手議員が集まり、安倍派の解散を求める申し入れを塩谷座長に対して行いました。会計責任者らが立件された安倍派や二階派でも、岸田派と同様に派閥を解散すべきとの声があがるものと見られています。

岸田総理「他の派閥のありようについて、何か申し上げる立場にはないと考えています」

 岸田総理は他派閥の解散までは求めないとしていますが、これには野党がかみついています。

立憲民主党 泉健太 代表「岸田総理が今、自派のことしか言わず、他派のことは言わないということであれば、総裁としての責任は全く果たしていないということですね」

記者「岸田総理が派閥の解散を宣言してから、初めて党幹部との会合に臨みます」

 さきほど、自民党本部に入った岸田総理。麻生副総裁、茂木幹事長らと会談する予定です。

 今回の件で、総理と両氏との溝は深まったとみられますが、岸田総理は派閥解散を決める前、周囲にこんな話をしていました。

岸田総理(周囲に対して)「博打を打たないと逆転はできない」

 こうしたなか、二階派では、さきほどから議員総会が始まりました。派閥の今後について、どう対応するのでしょうか。

2024年1月19日 16時19分 TBS NEWS DIG

https://news.livedoor.com/article/detail/25727985/

 あえてあぶないはなしをするが、今回の内容は「岸田首相周辺」がネタ元である。そもそも、マスコミ各社が「全く無税であるはずの政治団体において、脱税などということを報道する」というのは、その情報の出所が財務省や税金関係であったことが見えている。財務相と岸田首相の関係を見れば、後は推測するまでもない。当然に、今年の9月なる自民党の総裁選において、岸田首相が再選に向けて対抗馬である清和政策研究会の西村前経済産業大臣や萩生田前政調会長などを標的にしたということであろう。この辺に関しては、オンラインサロンに詳しく記載したのでそちらを参照してもらいたい。

岸田首相にしてみれば、まさか自分の仕掛けた内容で自分の派閥に影響が来るとは思わなかったであろう。ネット言論からすれば、「旧民主党の政治家と同じで、大型ブーメランが岸田首相に刺さった」というような形んあったのではないか。

そして岸田首相は、本当に政治的なセンスを疑うということになるのであるが、今回の事件は「政治と金」の問題であるはずが、いつの間にか「政治と派閥」の話になってしまい、金の問題をいつの間にか消してしまって派閥の問題にしてしまっている。そして、その派閥の議論を自民党の政治改革推進本部で行ったにもかかわらず、その自民党の会議体を無視して、岸田首相は宏池会に関して数名の宏池会の議員だけに相談して、他の派閥や政党に相談することなく派閥の解散を決めた。単純に言えば「自民党の政治改革推進本部を完全に無視した」ということになり、また、他の派閥の領袖などにも全く無視した「自分勝手」な行動ということになる。

まさに「岸田の乱」と言われるもので、昔宏池会の会長であった加藤紘一氏が「加藤の乱」を起こしたのと同じように言われている。私から見れば「自爆テロ」である。

さてこれは、岸田首相が総裁選にまだ未練があるが、清和政策研究会と志帥会が、既に岸田首相の再選を阻む勢力になりつつあるということから、派閥そのものを解散し、派閥の垣根なしに自分を支持する議員を増やすということになるというようなことを企画していたのである。

しかし、そのようなことはあまり頭の良い内容ではない。つまり、このようなことをすれば、経世会、為公会、近未来政策研究会の併せて130名程度を完全に敵に回してしまっただけではなく、自民党の党本部を中心に物事を考えている議員を敵に回したということになる。また旧宏池会出身者でも林芳正官房長官、上川陽子外務大臣、双方が立候補する可能性があり、派閥でまとまって行動するということが無くなってしまうということになるのである。

そのようなことから「博打」という表現をしたのであろうが、あまり称賛のあるものではない。そもそもこの政治資金規正法問題を出したこと自体が、おかしな内容ではななかったか。

宇田川源流

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