小説 No Exist Man 2 (影の存在) 第一章 再来 14

小説 No Exist Man 2 (影の存在)

第一章 再来 14

「私は反対です」

 徐艶明は強く言い放った。現在周毅頼国家主席に、面と向かって反対を声高に言えるのは、妻である彼女だけである。

「艶明、そう言うな」

「いえ、あなたは何を言っているかわかっているのですか」

 自宅に戻った国家主席を襲ったのは、以外にも妻の反撃であった。

「何って・・・・・・」

 中国19億人の頂点で、支配しているだけではなく、そのすべての人の実質的な生殺与奪の権利を持っている国家主席様であっても、この妻の一言には全く反抗できるものではなかった。実際に、中国の場合はこのように強い女性が少なくなく、そのことから、中国人の政治為政者は、浮気をして外に女性を作り、自分の虚栄心と支配欲をプライベートの時間にも満喫しようとするのかもしれない。もちろんれは、中国人男性の浮気の時の言い訳でしかないことは、言うまでもない。

「あのね、あなたは偉すぎてわからないかもしれないけれど、日本人は100万人中国に来ているし、毎日十数万人の往来が日本との間にあるの。その日本に何だかわからない病原菌をばら撒いて、そして日本人を病気にする。もちろん日本人だけが美容器になって滅びるならば何でもいいけれども、でもね、日本との間に往来が無くなるなんてありえないでしょ」

 このようなことを行うということは、当然に日本と中国の国交を断ってから行うということになる。そもそもその時点で大混乱だ。日本と中国の貿易は、2022年で391,6億ドル、約59兆円である。日本との交流をなくすということはそれだけの経済効果を中国も失うということに他ならない。当然に中国の経済もおかしくなるし、また中国の軍事技術も実際にはおかしな話になる。またもしも国交を断絶させても、中国人の目の前の欲を失うことは出来ない中国人は密輸やボートピープルになって中後呪に密航することになる。当然い中国の役人もいくらかのわいろを取れば、そのような形での取引を黙認してしまう。当然にウイルスの保菌者も一緒に中国国内に入ってしまう。そのようになれば、衛生観念の強い日本はすぐに立ち直ることができ、また、製薬会社が多いアメリカなどがすぐに対応することになるが、しかし、中国はすぐに対応などはできない。それどころかやはり金銭欲の大きな中国人はすぐに偽物を販売し、市場が混乱するだけではなく、偽物のワクチンや治療薬を信用して保菌者が市内を歩き回ることになるのだ。

 2020年のCOVID19の時は、そのような保菌者によって市場の混乱が起きた。そのことによって、北京の中でも感染者が多くなっただけではなく、市場も混乱し、また経済も悪化してしまった。そのうえ生理食塩水だけで「ワクチン」を歌ったものが横行し、そのことによって中国の経済が悪化するばかりか、菌が蔓延して中南海の中にまで感染者が出てくる結果になったのである。この事によってその時の政府は「ゼロコロナ政策」で、全ての人が例外なく室内から外出することを禁じられることになり、出入口を封鎖されるようなことになった。その封鎖によって、火災でも逃げることができない状態になってしまい、多くの犠牲者が出るということになった。国民はゼロコロナ政策で外出禁止であるにもかかわらず、政府に対して反対デモが発生し、政府が国民の圧力に屈して政策を撤回せざるを得ないということになったのである。

 そのことによって政府の信用が失われたのである。

 徐艶明は、その内容を改めて説明し、そのうえで、周毅頼の政治の信用が失われるということを言い始めたのである。

「いや、そうだけど。しかし、今回は戦争をするわけではないし」

 周毅頼はタジタジである。そもそも徐艶明が政治に口を出すことはない。基本的には全ての政策に関してその内容を支持してくれるものであったはずだ。しかし、今回は全く異なる。

「それに子供たちが楽しみにしているゲーム、そう、マリオやファイナルファンタジーだって、出来なくなるんですよ」

 ゲームに関しては、特に国籍や政治は全く関係ないということになる。そのことから、中国政府も政治的な理由を基に、ゲームを禁止するということはない。そのように考えれば、中国重のゲームユーザーが日本との断交をした瞬間に政府を避難する。もちろん声を上げて非難する人は少ないが、しかし、その政策を支持ることはない。「消極的な不支持」程始末に負えないものはないのである。

「そうか」

「病原菌をばら撒くなんてことはぜったに良くないし、この国にも大きな影響があります。絶対にやめるべきです」

「ではどうしろと」

「それはわからないけど。何か他に方法があるはずでしょう」

「うむ、そもそも陳文敏という・・・・・・」

「他人のせいにしない」

 徐艶明は、強く言って周毅頼の言い訳を遮った。実際の政治の場でそのようなことをやれば、良くても左遷は避けられない。しかし、夫婦というのは、間違いなくそのような権力構造の外にある。政治の場の権力は、必ずしも家庭内の権力構造に影響を与えられるとは全く関係するとは限らないのである。

 周毅頼は、なるべく視線を合わさずに、飲み物に手を伸ばし、ソファーに移動した。

「孔同志、そう言うことで・・・・・・」

「主席、そんなことを言われましても」

 孔洋信は、朝一番で国家主席の執務室に呼ばれ、病原菌を日本にばらまくということの中止を言われた。

「なぜ」

「主席、何しろ常務委員会で決まったことですから、すぐに行わなければなりません。楊普傑少尉を呼んで、アンプルを持たせました。」

「なに」

「新種のウイルスで・・・・・・」

 孔洋信は困惑したように話をした。

「孔同志。まさかとは思うがワクチンも何もないような菌を出したわけではないだろうね」

 昨日の晩、徐艶明に言われたことを思い出した。最低でも中国国内にワクチンを出して感染者を出さないようにしなければならない。

「いえ、もちろんワクチンは製造済みです」

「ならばすぐにそのワクチンを培養しなさい」

「はい」

「中国国民全員分。少なくとも北京市内の分は全てだ。それに北京の空港はすぐに封鎖できるようにしておけ。北京だけでも何とかする」

「はい」

「徐同志」

 孔洋信の横にいた徐平常務委員に声をかけた。

「はい」

「日本と国交を断絶した場合の経済対策を至急たてなさい」

「それは不可能でしょう」

 徐平は、悪びれずに発言した。

「何だと」

「そもそも、そのような経済的な影響を最小限にするために、天皇と阿川首相の暗殺を許可したはずです。当然に、そのようにして日本の大沢というものを傀儡にして日本を支配するというシナリオだったはずです」

 徐平は、その様に言った。

 執務室の応接セットには、ウイスキーが並んでいる。徐平は毒などは言っているはずがないと、そのまま口を付けた。病原菌の話をしているにも関わらず、自分には毒は盛られないと思っているのも、またこの人らしい。

「そうだ。しかし以前常務委員会に来た日本に行っている陳文敏がそれを失敗した。もしかしたらその大沢という男の失敗も氏は裏切りではないかと疑っている」

「要するに、日本人を信用したのが良くないということでしょう」

「しかし、日本人を信用しなければ、傀儡で政権を持つ者はない。まさか中国人を首相にするわけにはいかないのだ」

 周毅頼は、呆れたように言った。中国共産党の官僚たちは、何から何まですべてゼロから復唱しないと何もできない。それは常務委員になっても同じなのだ。

「それで、病原菌を撒いて混乱させる」

「そう決まったはずだ」

 孔洋信も呆れたように言った。

宇田川源流

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