「宇田川源流」 生成型AIが作成した条例が議会で可決するブラジルの「政治家の立場」

「宇田川源流」 生成型AIが作成した条例が議会で可決するブラジルの「政治家の立場」


 生成型AIができて、様々なことが出てきた。ある意味で「生成型AI革命」というような内容が出てきて、そのことによって様々なことを「生成型AI」に任せるということになる。

 以前、メールマガジン「宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話」で生成型AIに関して話したことがある。本年4月の話だ。日本の国会議員が生成型AIの作った国会質問を行い、それに対して岸田首相が答えるということが起きたので、その内容に関して評論をしているということになる。その時に話したのは「政治家が、自分自身で自分の仕事を放棄し、生成型AI(当時はチャットGPTであったが)にすべて丸投げした」ということになる。もちろん、その内容に関して言えば、本人は丸投げするなどということは思っていないということになる。しかし、この質疑を国会の審議で行ったということは、日本全国どころか世界中に日本の国会議員、それも審議は「生成型AI」で十分ということになるのである。

 実際に、法律案などは条件を入れて、そのうえで「ネットなどにおいて過半数の意見を集約してその集合知を使うことで、法案を作ればよいし、また審議の質問もそれで十分にできる」ということになる。もっと言えば、「国会議員などは必要がない」ということになる。この時に、いくつかの反論をもらったが、そのどれも的を得た話にはならなかった。

さて「生成型AIが出てくることによって、不必要になる仕事」といわれているものがある。例えば医者。様々な統計資料や下記の症例など、または医学論文などを見て、患者が行ってきた症状や検査結果などの数字から判断すればよいということになれば、完全に機械的な内容になるので必要はないということになる。医師よりも看護師の方が残るというように言われているもなんとなく興味深い。そのほかに、作家や裁判官なども必要ないというようになっているようだ。作家はすでに星新一賞などは、すでにAIが作成した作品でも受賞が可能内容になっている。そのような仕事の中に、政治家ということや、あるいは法案を作成する官僚なども必要はないというように判断されることになるのではないか。単純に、過去のデータベースから引っ張って、同様の事案を出し、そのうえで似たような事例と同じようなことをするということになれば、人間は不必要である。

チャットGPTが15秒で作った条例が議会で可決、ブラジルで物議醸す

 生成AI(人工知能)の「チャットGPT」を使って短時間で作成された条例がブラジルの市議会で可決されたことが明らかになり、物議を醸している。

 AI利用を伏せて条例案を議会に提出した議員は、AIを巡る倫理論議を巻き起こすのが狙いだったと話すが、非難の声が噴出している。

 異例の条例が成立したのは、ブラジル南部第2の都市、ポルトアレグレ(人口約130万人)の市議会。住民宅の水道メーターが盗難に遭った場合、無償で交換が行われるという内容だ。

 条例案は議員36人の満場一致で可決され、先月23日から施行された。

 ところが、米紙ワシントン・ポスト(電子版)などによると、条例案を提案したハミル・ホザリウ市議が可決成立から6日後、AIのみで作成したことを暴露し、騒動へと発展した。

 250字の指示で、わずか15秒後に条例案が完成。同案は委員会で審議されたとはいえ、表現の一部が修正された程度で内容はほぼ当初通りになったという。ホザリウ氏は「AIが作ったブラジル初の条例」と胸を張る。

   「政治家の数が減る」可能性

 同氏の行為については肯定する声もあるが、反発の声も広がっている。アミウトン・ソスメイヤー市議会議長は一定の理解を示しつつも、「危険な前例になる」と警鐘を鳴らした。

 AI利用を伏せたまま条例案を提出したことについて、ホザリウ氏は「(他の議員が)先入観を持ったままでは、可決が阻止されると考えた」とした上で、「偉大な技術革新の状況について議論を巻き起こすためのものだった」と狙いを強調。

 AIは自身が考えもしなかった内容を含む条例案を作った、と明かすとともに、「政治家や公務員の時間を節約し、彼らが真に何をすべきかに焦点を与えるものだ」と強調した。また、AIによって「政治家の数が減る可能性」についても言及した。

 生成AIは偽情報・画像の拡散につながるとして、問題視されることも少なくない。ブラジルでは今秋、連邦裁判所判事がチャットGPTを使って判決文を作成したとして、司法当局から事情聴取された例がある。(黒沢潤)

2023年12月7日 12時9分 産経新聞

https://news.livedoor.com/article/detail/25486952/

 その法案の作成に関して、前回、要するに本年の4月にブログに書いたときに、官僚の皆さんの一部から「法案作成は、血の通った人間でなければ人間の感覚に従った法案はできない」というようなことをいってクレームが出た。もちろん、そのようなクレームも一理あるということになりますが、しかし、今回ブラジルでは、今回生成型AIが法案を作り、その内容に対して議会が承認したということになる。

もちろん、その内容に関して、法案に関してもレベルがある。何か大きな法律ができた時に、他の関連法律の条文を変更する、というような法律に関しては、当然に生成型AIであっても簡単にできるということになる。例えば、数年前の話、野田佳彦内閣の時に消費税率を8%から10%にするということがあった。それは当然に消費税法を変えるのであるが、その法案が通れば、そのほかの法律で消費税の税率を10%と記載しなければならない。今まではそれをすべて人的にチェックして見ていたのであるが、そのような法案をすべて「生成型AIによ書き換えで行う」ということができるのであれば、それで人的資源の節約にもなる。

しかし、全くの新規の法律に関して言えば、確かに一部の官僚が言うことも理解できるということになる。特に国家の運命を左右する内容などに関しては、当然に、人間が作るべきであろう。

AIは自身が考えもしなかった内容を含む条例案を作った、と明かすとともに、「政治家や公務員の時間を節約し、彼らが真に何をすべきかに焦点を与えるものだ」と強調した。また、AIによって「政治家の数が減る可能性」についても言及した<上記より抜粋>

要するに「法案を作る人」や「審議」もいらないということになるのであろう。AIが作った法案を審議しても何の意味もないということになるのだ。立法趣旨などは基本的にはAIでしかわからないということになる。そうなれば、官僚も必要ないということになるのであろう。AIの法案に関しては、そのように「政府の人々を必要がなくなる」ということを意味しており、ブラジルでそれが立証された形になるのではないか。

宇田川源流

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