「宇田川源流」【宇田川版教育論】 日本大学の改革の「難しさ」とは何か
「宇田川源流」【宇田川版教育論】 日本大学の改革の「難しさ」とは何か
毎週水曜日は「宇田川教育論」か「大河ドラマ」に関してお話をさせていただいている。ニュースの解説ばかりでは肩が凝ってしまうので、一週間の真ん中は少し気を抜いた話ができるようにということで、大河ドラマに関しては「現在よりも過去について、そしてテレビドラマということに関して話をする」ということを、また「宇田川教育論」に関しては「若者を教育するということを通して、日本の将来を考える」ということをテーマにしている。要するに水曜日は、いつの間にか「現在ではなく、過去や未来を語る日」というようなテーマになりつつある。もちろんそのようなことをはじめから企画したわけではないのであるが、いつの間にかそのようなテーマになっている。
今週も「教育論」をお届けしよう。
日本大学というと、2019年のタックル事件から始まり、田中前理事長の「私物化」そして林真理子新理事長の就任と大学の改革というような話になっていて、その中で改革ができていないのかまたは、改革に抵抗しているのかはわからないが、実際には「アメフト大麻事件」などが発生し、活動停止になっている。
実際に、物事を動かしながら改革するというのは難しい。日本人は、スマートフォンの出現によって「ながら」が増えてしまい、じっさいにできているような「つもり」になっているものの、実際のところは、何もできていないということが少なくないのである。要するに人間は、人間である以上「癖」があり、また「慣習」というものがある。細かく指示がありその指示通りにやらない場合に「罰則」がある場合などはよいが、そうでなければ、人間は基本的には「改革」という大義名分は頭の中で見えていながらも、どうしても「今までやりなれた慣習に従って行ってしまう」ものであり、それが改革の内容に反していても慣習が優先されてしまう。そして、その慣習を指摘されると、延々と言い訳が始まりまたはもしもその場合何らかの良い返事をしても「面従腹背」でそのまま癖の通りに行い、そして改革がなされないのである。
以前も出したと思うが、イトーヨーカドーは、1970年代に改革を行う際、日々の営業は別にしても、その本社機能などはすべてストップし、従業員の慣習を作り替えるところから行った。そのような形が見えなければ、改革などはできない。
日大アメフト部で20歳未満が飲酒 薬物事件受けた保護者会開催日に
日本大アメリカンフットボール部に所属する20歳未満の部員が7月下旬に飲酒していたことが22日、明らかになった。日大アメフト部は7月に学生寮(東京都中野区)で覚醒剤と大麻が見つかり、部員1人が逮捕されたことなどを受けて無期限活動停止となっている。
日大によると、外部からの情報提供により、7月22日に20歳未満の部員が飲酒していたことが判明。その日は薬物事件を受けて部内で保護者会が開かれており、当該部員は薬物問題の発覚後に飲酒をしたことになる。
大学側はアメフト部による当該部員への処分などを承認した。個人に対しての無期限活動停止▽保護者同伴で個別指導の面接を実施▽掃除等の社会奉仕活動を行うこと▽日々の行動内容などの日誌、反省文を書くこと▽活動停止中は保護者同伴でなければ授業以外の外出を控えること――が処分内容という。
日大は毎日新聞の取材に対し「大変遺憾であります。健全な競技生活及び安心できる寮生活を実現すべく、競技部のあり方についても検討を進めるなどして努力しているところです」とコメントした。
日大を巡っては、文部科学省が警察への届け出までに12日かかった要因や、事件に関する日大内部での情報共有に問題がなかったかなどを調べ、今月15日までに調査報告書を提出するよう指導。日大側は弁護士らによる第三者委員会を設けて関係者へのヒアリングなどを進めてきたが、調査対象が拡大したため提出期限を「10月中」に延ばすよう同省に申し入れていた。
新たな問題発覚を受け、盛山正仁文科相は22日、「次から次へというか、過去にも問題があって取り組んできたにもかかわらず、今回(再び問題が)出てくるのは残念。大学側からの報告を待って対応を考えることになる」と話した。【鈴木悟、岩壁峻】
2023年9月22日 20時29分 毎日新聞
https://news.livedoor.com/article/detail/25037370/
私も近年、ある大学において改革を依頼された。1年位入り込んで行ったのであるが、それにしても大学の教職員(当然教員という人々も含む)が、本当にダメな人ばかりである。正直なところを吐露すれば、よくまああんな人々が他人を指導していると思って驚きを隠せないものであろう。もちろん私自身であっても、それほど褒められた存在ではないが、まあ、あれよりはましであろうと思うくらいひどい。
とにかく、「改革」ということができないだけではなく「いかに自分が楽をするか」そして「いかに自分が責任を負わないか」ということを考えたうえで「虚飾を求める」という事しかしない。その為に、4年間(薬学部や医学部であれば6年であるが)共に過ごす学生たちは、皆その本質に気づいてしまい、そして評判が悪くなるのである。とはいえ大学などは外圧からどうにかなるようなものではない。「白い巨塔」というのは医学部を舞台にした物語であったが、まさに他の部分もすべて同じである。
まあ、そのように考えれば、大学組織とは全く異なる部分から入り込んだ林真理子理事長は本当に苦労しているのであろうと思う。同時に、大学というのは、上記に挙げたイトーヨーカドーのような毎日の営業とは異なり、一年で完結する動きをしているので、すべてが一年に一度しか結果が出ない状態になっているのであるから、改革の内容も、結果も、そしてその評判も一年に一度しかわからないような状況になっている。その一年に一度しか結果が出ないという状況から、今まで通りのことを行ってしまい、また、同じように世間から非難されていることになる。はっきり言ってしまえば、「林真理子新理事長という新たな看板と責任を取ってくれる存在が来た」くらいしにしか思っておらず、今まで通り同じことを行ってしまう。
その「同じこと」が「タックル」であり、また「大麻」であり、ここには記事を載せていないが「いじめ」であり、また「飲酒」なのであろう。本人たちには罪の意識がないばかりか「改革の時に特に注意されなかったのだから許されていると思った」というような責任転嫁型の感覚しかないということになる。まさにそのような「ことなかれ主義」は、よくないことの慣習化も、そのまま残ってしまうということになり、それが日本全体(特に官僚制度や大企業の文化)などにおける悪癖となってそのまま残ってしまうのである。
さて、私個人としては「大学生の飲酒」はなんとも思っていない。正直なところ自分が傷つくだけでありまた、一方で早くから酒になれていなければ、いきなり大人になって飲酒などをして事故(どこかに連れ込まれたりという話だが、それは土曜日のエロの話だ)が増えるということになるから、ある程度は問題ないと思うが、「飲酒そのもの」ではなく「酒の飲み方をしっかりと知っているか」ということの方が重要であり、その内容を教えられる人がいないところが最大の問題であると思っているが、さすがに大学などの教育機関にその感覚を持っていては意味がない。そのように考えるべきではないか。
まあ、これも改革の時に出る「膿」の一つであるとは思うが、教育機関だけに注目は大きい。
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