「宇田川源流」【日本万歳!】 今年もイグ・ノーベル賞を受賞した「まじめの国日本」

「宇田川源流」【日本万歳!】 今年もイグ・ノーベル賞を受賞した「まじめの国日本」


 毎週月曜日は「日本万歳!」をお届けしている。ちなみに本日は敬老の日であり国民の祝日になっている。ちなみに、「敬老の日」の始まりは、兵庫県多可郡野間谷村(後に八千代町を経て現在の多可町八千代区)で、1947年(昭和22年)9月15日に村主催の「敬老会」を開催したのが「敬老の日」の始まりであるとされる。意外に新しいエピソードで敬老の日ができていることにはある意味で驚きである。本来江戸時代などは、「年長者を敬う」ということは当然のこととして様々に言われれいたのであり、またそれが儒教道徳的に奨励されていたのであるが、しかし、この昭和22年、つまり戦後になってから、意外とその道徳がなくなってきた兆しがあったのかもしれない。さいきんでは「敬老」ではなく「老害」などといわれているのが年長者であるが、実際に「敬われる」ということはどのような話なのかということを一度考えてゆかなければならないのかもしれない。「長く生きている」「経験が他よりも豊富」というだけでは意味がないというような雰囲気が出てきてしまっているのではないか。年功序列をやめて能力主義で物事を評価するという社会は、そのようなことにつながってくるということなのかもしれない。

なお、昭和22年の兵庫県の「敬老の日」は「55歳以上」が老人として祝われたとのことである。ちなみに、この9っ月15日というのは、「養老の滝伝説」があるという。『昔、貧しいきこりが、谷深い岩壁から流れ落ちる水を眺め、「あの水が酒であったらなあ」と老父の喜ぶ顔を思い浮かべたとき、岩から滑り落ちて気を失っていました。しばらくして、気がつくと、酒の香りがするので、あたりを見回すと、近くの岩の間から、山吹色の水が湧き出ており、なめてみると酒の味がしました。これを汲んで帰って、老父に飲ませたところ、大変喜び、すっかり若々しくなりました。

このことは、都にも伝えられ、元正天皇が、この地へ行幸になり、本湧水を飲浴せられ、「老を養う若返りの水」とおおせられ、年号を養老と改められました。』

 さて、滝ノ水がすべて酒になるはずがないし、また、そのような伝説を考えれば、様々ンあ「おかしな話」が出てくるのであるが、そのおかしな話を真剣に研究するのも日本のすばらしさの一つであろう。

イグ・ノーベル賞に日本人

 【ワシントン=冨山優介】ユニークで奥深い研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」の今年の受賞者が14日(日本時間15日)、発表された。電流が流れるはしやストローを使って味覚を変化させる研究に取り組んだ宮下芳明(ほうめい)・明治大教授(47)と中村裕美・東京大特任准教授(37)が「栄養学賞」を共同受賞した。

 イグ・ノーベル賞はノーベル賞のパロディー版で、米国の科学雑誌が主催している。日本の研究者の受賞は17年連続となった。

 明治大の大学院生だった中村さんと、指導教官だった宮下さんは、受賞対象となった研究を2010年以降に本格的に始めた。電流の刺激を加えると味覚が変わることは知られていたが、食事の際にその効果を活用できるようにするため、食器に電流を流すことを思い付いた。

 微弱な電流が流れるストローやはしを使って飲み物や食べ物を口に入れると、塩味が強まったり、金属の味がしたりと、味に変化が出ることを確認。味覚を変える新しい手法として、論文を11年に発表した。

 宮下さんの研究室はその後、キリンホールディングスとの共同研究で、減塩食の塩味を強めるスプーンとおわんを開発した。年内にも商品化される予定だ。

 宮下さんは「この12年間の大きな進展全体を評価してもらったと思う」と受賞を喜び、中村さんは「健康とおいしさを両立させる技術をさらに発展させていきたい」と意気込んだ。

2023年09月15日 07時00分読売新聞

https://news.nifty.com/article/technology/techall/12213-2555040/

 イグ・ノーベル賞という賞がある。「イグノーベル」とは、ノーベル賞の創設者ノーベルに、否定を表す接頭辞的にIgを加え、英語の形容詞「恥ずべき、不名誉な、不誠実な」にかけた造語である。公式のパンフレットの中には説明書きがあり「ノーベルの親戚と疑わない Ignatius Nobel(イグネイシアス・ノーベル)という人物の遺産で運営されている」と書かれているが、この説明自体がジョークであるといわれている。いずれにせよ、「人々を笑わせ考えさせた研究」に与えられる賞。ノーベル賞のパロディーとしてマーク・エイブラハムズが1991年に創設した。1991年、ユーモア系科学雑誌のマーク・エイブラハムズ編集長が廃刊の憂き目に遭いながらサイエンス・ユーモア雑誌『風変わりな研究の年報』 (Annals of Improbable Research)を発刊する際に創設した賞であり、面白いが埋もれた研究業績を広め、並外れたものや想像力を称賛し、科学、機械、テクノロジーへの関心を刺激するために始めた。 その雑誌と編集長がイグノーベル賞を企画運営している。

さて、実はこのイグ・ノーベル賞の常連は「日本」である。1991年に創設されたこの賞において、1991年、93,94、98,2000,2001、2006年は日本人が受賞していないものの、それ以外はすべての年で受賞している。特に2007年以降17年連続で日本人が受賞しているのであるから、なかなか面白い。

先に結論じみたことを言ってしまうが、日本という国は「ばかばかしい、笑えるネタを研究することのできる環境の整った、ゆとりのある国」であり、同時に「その研究を真剣に、そして勤勉に、そして学術として疑わずに行う」という特徴がある。非常に学問の自由を実現した国であるといえる。特に「軍事技術」などと結びついた最先端を行うのではなく、何かの考えに面白いところを考えて、その面白さを抽出して行っているというところが日本の素晴らしいところではないか。

さて、今年は宮下芳明(明治大学教授)と中村裕美(東京大学特任准教授)によって研究された「電気刺激を施した箸やストローを用いた味覚の変化について」である。ある意味で、「人間の味覚」ということをしっかりと考え「口の中にそのものを入れなくても、電気刺激をもって、味覚を左右することができる」ということから、この研究をもとに、栄養分を調整したり、薬であったりというものを「味覚を関係なく体内に摂取することができる」ということになる。つまり「おいしくない」「味が悪い」ということによる偏食を回避できるだけではなく、「食品の廃棄」を減らすことができることに「希望が出る」ことになる。

しかし、「味覚」をこれだけ研究することは非常に少なく、その意味で選ばれたようだ。

いや、このような研究ができるのが、実に日本の面白いところではないか。

宇田川源流

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