「宇田川源流」【宇田川教育論】 女子大学をつぶしているのは何か?

「宇田川源流」【宇田川教育論】 女子大学をつぶしているのは何か?


 毎週水曜日は「宇田川教育論」か「大河ドラマ」に関してお話をさせていただいている。ニュースの解説ばかりでは肩が凝ってしまうので、一週間の真ん中は少し気を抜いた話ができるようにということで、大河ドラマに関しては「現在よりも過去について、そしてテレビドラマということに関して話をする」ということを、また「宇田川教育論」に関しては「若者を教育するということを通して、日本の将来を考える」ということをテーマにしている。要するに水曜日は、いつの間にか「現在ではなく、過去や未来を語る日」というようなテーマになりつつある。もちろんそのようなことをはじめから企画したわけではないのであるが、いつの間にかそのようなテーマになっている。

 今週は「教育論」である。

 さて、また「女子大学」がなくなった。いやなくなることを発表したというのが正確な言い方であろう。これで本年度になって廃校や募集停止を決めた女子大学は4校目である。要するに、女子大学は社会的な役割を終えたということなのかもしれないと思わせる内容である。

 ちなみにいうと、女子大学はあるが男子大学というのはない。そのもともと、明治時代には大学は男子しか駄目であった。東京大学も京都大学も、アメリカでいえばハーバード大学もすべて男子だけであり女子禁制であった。日本の場合明治時代には「男女10歳にして席を同じくせず」ということになる。その意味でいえば、大学というか、儒教道徳的には学問というのは男性だけのものでしかなかったのである。そのうえで、学問を自由化した。その意味で女性を男性と区別するために「女子大学」ができた。現在の津田塾大学などはまさにそのような内容になる。ちなみにいえば、男子専門大学は、「東洋食品工業短期大学」が唯一の男子(短期)大学だったが、2008年より共学化により女子の受け入れを始めた。

 それでも女子大学は現在までも残ったのである。

学習院大に学習院女子大統合

 学校法人「学習院」は27日、運営する学習院女子大(東京都新宿区)を学習院大(東京都豊島区)に統合することを決めたと発表した。2026年4月の統合を目指し、国の設置認可に向け準備を進める。

 同法人によると、学習院女子大は国際文化交流学部の1学部のみで、学習院大に組み入れる。学習院大は法、経済、文、理、国際社会科学の5学部体制。同法人の担当者は「大学の今後を考えたうえで、よりよい方向にしていくため決断した」と説明している。

 学習院は幕末の京都に設けられた公家の教育機関が源流。学習院大は1949年に開学した。学習院女子大は50年に学習院大短期大学部として開設され、53年に学習院女子短大に改称。98年に4年制の女子大に改組した。

 今年5月現在の学部在籍者数は学習院大が8803人、学習院女子大が1588人。

2023年07月27日 21時43分読売新聞

https://news.nifty.com/article/domestic/society/12213-2468043/

 学習院大学と学習院女子大学が統合することになった。また女子大学がなくなることになるのである。今回はなくなったわけではない。統合したのである。その統合したものが学習院であるから、もちろんその内容になる。

 1847年(弘化4年)、仁孝天皇が京都御所内に設けた公家を対象とした教育機関である学習所を起源とする。1849年(嘉永2年)には孝明天皇により勅額が下賜されたことに伴い、京都学習院となる。明治維新を経て、華族制度が整備されると1876年(明治9年)には「華族学校」という校名となる。翌1877年(明治10年)に「華族学校学則」が制定され、さらに明治天皇のもとで開校式が行われた際に改めて学習院と改名された。学習院ではこの年を学校の創立年としている。もともとは皇室の設置する私塾という位置づけであったが1884年(明治17年)には宮内省が所轄する正式な官立学校となる。

 第二次世界大戦後に華族制度が廃止され、学習院設置の根拠法であった「学習院学制」および「女子学習院学制」が廃止されると、私立の学校法人学習院として再出発し、待遇格差も無くなった。

 女学部は1918年(大正7年)、女子学習院として分離・独立した。女子学習院は初め永田町の御料地に設置されたが火災にあい、青山練兵場の跡地を借り入れて、そこに1918年(大正7年)、新校舎を竣工し、同年8月12日に移転。同年11月14日、貞明皇后が臨席して開院式を挙行した。日本敗戦後の1947年(昭和22年)、根拠法である学習院・女子学習院学制の廃止に伴い、学習院と再度合併して「財団法人学習院」となり、宮内省管轄下の官立学校から私立学校に改められることとなった。空襲によって焼失した旧・女子学習院の校地は、現在の秩父宮ラグビー場の場所にあった。

 そのような形でできた大学がなくなるのである。一方「男女雇用機会均等法」ができ、徐々に「ジェンダーハラスメント」などが植われるようになる。もともとは「女性は、男性とは社会に出て役割が異なるので、学問よりも、じょせいとしてということがちゅううしんになる、。しかし、その内容はジェンダーというものになっておかしな話になる。つまり「女性の社会進出」が「女性だけ」ということを排除するような状況になっているのである。まさに「ジェンダー」が女子大学の敵なのである。もっと言えば、女子大学という女性だけの場所、今までの「女性の園」の価値観がある人々は行き場所がなじゅなったのである。

 本当にこれでよいのであろうか。

宇田川源流

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