「宇田川源流」【大河ドラマ 鎌倉殿の13人】 まさかこうなるのかという最終回と終わり方の妙
「宇田川源流」【大河ドラマ 鎌倉殿の13人】 まさかこうなるのかという最終回と終わり方の妙
毎週水曜日は大河ドラマ「鎌倉殿の13人」について、相変わらず好き勝手書いているママ、すでに1年経過し、第48回最終回が先日終わったところだ。それにしてもすごい終わり方であった。民法のドラマならばとにかく、まさか、終わってから画面を暗転させ、スタッフロールを出し、その中で小池栄子さん演じる北条政子のすすり泣く声で終わるなど、全く予想をしていなかった。ある意味で「長編映画」の終わり方であり、なかなかおしゃれでNHKとは思えない内容であった。
それにしても、まずは最終回だけを考えてみよう。
「吾妻鏡」と「ドラマ」を非常にうまく組み合わせた内容であり、その内容に関して最も「現代の人ならばこのように行動するということがわかりやすい」というような内容をしっかりとまとめたものであると考える。当然に鎌倉時代の人々なのであるから、現代の人とは価値観も住んでいる環境も異なる中で、ドラマの中では、その「鎌倉時代」を全く感じさせない内容を出していたのではないか。
その一つが後妻のえ(菊地凛子さん)との関係であろう。そもそもこの後妻と北条義時の関係はかなり複雑であったのではないか。北条義時の死因として「毒殺」説に関しても、書物によって異なり、吾妻鑑では書かれていないというような内容になっている。その内容をいかにドラマに取り込むのかと思ったが、まさか三浦義村とのえ(吾妻鑑では伊賀の方)が共謀して義時を殺そうと毒を盛ったということになるとは思わなかった。何年も飲ませる毒ということで、うすいヒ素や銅など重金属などを混ぜた何らかのものを飲ませたというように推測できるが、しかし、そのことが直接の試飲ではなくしてしまったという内容は本当によく考えられた内容ではないか。
「鎌倉殿の13人」衝撃の最終回 のえ&義村毒殺→政子“介錯”ネット放心&号泣“鎌倉殿&義時ロス”一色
脚本・三谷幸喜氏(61)と主演・小栗旬(39)がタッグを組み、視聴者に驚きをもたらし続けたNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)は18日、最終回(第48回)を迎え、完結した。主人公・北条義時の最期を大河史に刻み込んだ衝撃的なラストシーンに、SNS上は放心&号泣。放送終了を惜しむ声や感謝の声が続出し、瞬く間に“鎌倉殿ロス”が広がった。
<※以下、ネタバレ有>
大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は大河出演8作目にして初主演に挑んだ。
最終回は「報いの時」。北条義時(小栗)は北条泰時(坂口健太郎)を鎌倉方の総大将に据え、朝廷との“最終決戦”「承久の乱」(1221年、承久3年)に勝利。後鳥羽上皇(尾上松也)を隠岐島へ流罪とし、泰時と北条時房(瀬戸康史)を六波羅探題として京に留めた。
3年後、義時は不意に昏倒。京の知り合いが送ってきたという「薬草を煎じたもの」を、のえ(菊地凛子)に勧められて飲むが、体調は次第に悪化。医者(康すおん)によれば、毒を盛られたという。義時が問い詰めると、のえはあっさり白状。「私に頼まれ、毒を手に入れてくださったのは、あなたの無二の友、三浦平六殿ね」――。
政子(小池栄子)が見舞いに訪れた。時の流れを振り返る2人。
政子「たまに考えるの。この先の人はわたくしたちのことをどう思うのか。あなたは上皇様を島流しにした大悪人。わたくしは身内を追いやって、尼将軍に上り詰めた稀代の悪女」
義時「それにしても、血が流れすぎました。頼朝様が亡くなってから、何人が死んでいったか。梶原殿、全成殿、比企殿、仁田殿、頼家様、畠山重忠、稲毛殿、平賀殿、和田殿、仲章殿、実朝様、公暁殿、時元殿。これだけで13。そりゃ、顔も悪くなる」
義時は嘘をついていた2代鎌倉殿・源頼家(金子大地)の死の真相を政子に打ち明けた。
この日、ひどく体調が芳しくない義時は、毒消し薬を取ってほしいと頼む。「私にはまだやらねばらぬことがある。隠岐の上皇様の血を引く帝が、返り咲こうとしている。何とかしなくては」「まだ手を汚すつもりですか」「この世の怒りと呪いをすべて抱えて、私は地獄へ持っていく。太郎のためです。私の名が汚れる分だけ、北条泰時の名が輝く」「そんなことしなくても、太郎はきちんと新しい鎌倉をつくってくれるわ」「薬を」「わたくしたちは、長く生きすぎたのかもしれない」。政子は小さな瓶を逆さにし、薬を床にこぼす。「姉上…」「寂しい思いはさせません。わたくしもそう遠くないうちにそちらへ行きます」「私は、まだ死ねん!」。義時は最後の力を振り絞って立ち上がるが、バランスを崩して倒れ込む。
「まだ!」。薬を舐めようと床を這いつくばるが、それも政子が袖で拭いてしまう。「太郎は賢い子。頼家様やあなたができなかったことを、あの子が成し遂げてくれます」。悶え苦しみ、息も絶え絶えの義時。「北条泰時を信じましょう。賢い八重さんの息子」「確かに…、あれを見ていると…、八重を…思い出すことが…」「でもね、もっと似ている人がいます。あなたよ」「姉上…、あれを…太郎に…」。義時が指さし、部屋の隅にあるのは、源頼朝(大泉洋)の形見の小さな観音像(髻観音)――。
政子「(髻観音を手に、義時に一歩近寄り)必ず渡します」
義時「姉上…」
政子「ご苦労さまでした…小四郎」
政子はさらに近寄り、弟の顔に手をやった。義時は静かに息を引き取る。政子の嗚咽だけが聞こえる。
小栗と小池、2人きりによる一連のラストシーンは実に約13分。SNS上には「感情がグチャグチャになる最終回だよ本当」「鎌倉殿の13人完走。ラスト衝撃的すぎた」「はー、本当に凄すぎた。完の切れ味も良すぎ」「放心状態…」「こんな泣いたドラマ初めてだわ…1年間ありがとう…この作品に出会えて良かった…けど辛すぎる」「凄かった。歴代大河ベストかもしらん」などの声が相次いだ。
12/18(日) スポニチアネックス
https://news.yahoo.co.jp/articles/0ba88c3b463c6c5fdcd18e2e52a97a3b8a52dbfb
この後の歴史がある。1239年になると三浦義村・北条泰時・北条時房三人が相次いで死んでしまう。これを京都では後鳥羽上皇の怨霊に取り殺されたのではないかとした。しかし、のえと共謀して毒を飲ませたくだりがあり、その内容で「お前は一度死んだ」として泰時の跡を頼むというくだりは、さすがである。この時の北条義時は自分の世継ぎである泰時を助ける人はすべて許し、泰時に害をなす人間であるのえなどはすべて追放するというような感じに書かれている。親が子供に対してすべてやってあげられることをするという人間の「業」がここに書かれているのではないか。
ちなみに、三浦義村は、この時に「俺の方が優れているのになぜおまえが執権なのだ」というようなことを言う。この言葉は、後に「法治合戦」といわれる鎌倉幕府内の内紛があり、三浦義村の子泰村と五代執権北条時頼と安達景盛で合戦があり、三浦が滅ぼされるということになる。ある意味でこの法治合戦の伏線を三浦義村が作ったということであろう。三浦は結局義村の野望を息子の代でかなえようとして滅ぼされる。いや、鎌倉幕府では、頂点の権力を究めようとした人物がすべて滅ぼされるという歴史を、梶原・比企・北条時政・源頼家・源実朝というように消えてゆき、三浦家もその中の一つとして滅ぼされる運命になる。源頼朝に初めに付き従った北条義時と安達家が残るということになるのである。。
その三浦義村と北条義時は、女性はキノコが好きだというところで、コミカルな話にもなる。このようなコミカルな部分とシリアスな部分を混ぜる内容がやはり三谷幸喜氏の脚本の妙であろう。そのキノコが好きで、キノコ機雷であったのえが追放されるというのもなかなか興味深い。
さて、そして最後の場面で、北条政子と、北条義時。この会話がある。上記の記事の中にそれが再現されているのでそこは割愛しよう。しかし、この北条義時が最後まで北条泰時と北条家のことを考えていたということ、そして、それに対して北条政子が「ご苦労様」という表情。今回この北条政子の演技が本当に素晴らしかったのではないかと思うのだ。そのことは上記に書いたが、最後にむせび泣く鳴き声で終わった。その後のことなどは全く書かずに、北条義時が死んだ瞬間にドラマそのものもエンディングにしてしまったという手腕は、本当にすごい。まさに「北条義時のドラマ」をうまく完結させたという気がする。そして、その改装の場面で「13人」という数の内容もすべてが見えてきた。この様な伏線の回収もすべて行われた内容が素晴らしいのではないか。
さて来年の「どうする家康」今回最終回の冒頭に出てきたのであるが、それはどうなるのか。非常に楽しみである。
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