「宇田川源流」【現代陰謀説】 ディープステートに支配されている政府を打倒するとしたドイツのクーデター未遂事件

「宇田川源流」【現代陰謀説】 ディープステートに支配されている政府を打倒するとしたドイツのクーデター未遂事件


 毎週金曜日は「現代陰謀説」をお届けしている。今回は面白い事件なので、記事そのものが長文の記事を準備した。もちろんもっと短い記事もあったのだが、現時点で最も詳しい内容を出してきている。その方が面白いからだ。その為に、少々長くなることをお許しいただきたい。

しかし、まず何よりも「ドイツのニュースなのにBBCが最も詳しく報じている」という事実がなかなか興味深い。そもそもドイツとイギリスはあまり仲が良いわけではない。少なくとも、この二つの国の関係が良ければ、少なくともイギリスがEU身体つするブレグジットなどはなかったであろう。

さて、全く関係のない話になるが、ドイツと言えば、先日のワールドカップにおける日本との戦いが印象的であるもちろん、ドイツの方が勝つと思われていて、日本が勝った。この勝負そのものに関ては様々なところでいろいろな人が書いているし、私自身もオンラインサロンでしっかりと書いているので、そちらに譲ることにする。しかし、そこに書いてあるのは試合の流ればかりである。さて、この時に日本が勝ったことに対するヨーロッパ全体の称賛の声は書いていない。ちなみに、この時カタールで日本のユニフォームを着ているだけでビールを覆ってもらえたという。ちなみに、イスラム教でアルコールの禁止されているカタールでのビールはカップ一杯1800円程度。それをおごってもらえるほどの事なのである。もちろん「ジャイアントキリング」と言われる内容が大きくかかわっているかもしれないが、しかし、それだけではなく、ドイツを倒したことが大きな内容になっていたのだ。何故あらばスペインを倒した後はそのような現象は少なくなっていたからだ。

そのワールドカップの最中に、裏でクーデター計画が行われたいたというのは、なかなか面白い。そのクーデター計画も「ディープステートに支配されたドイツ政府を倒し、内戦状態を作り出す」まあ、内戦だけでは意味がないので、当然にその内戦に勝って国を支配するというような話になっていたのではないか。

まあ、その内容に関して、取り敢えずBBCの主張が下記のとおりである。

ドイツ、クーデター計画容疑で25人逮捕 議事堂襲撃を画策と

 ドイツ連邦検察は7日、政府転覆を図ったとして、25人を逮捕したと発表した。貴族の末裔(まつえい)や極右関係者、元軍人、ロシア人女性、陰謀論「Qアノン」の信奉者などで構成されるグループが、連邦議会議事堂を襲撃し、政権を奪取するつもりだったという。

 連邦警察は、国内11州で25人を逮捕したと発表。貴族出身の「ハインリヒ13世」と呼ばれる71歳男性が、クーデター計画の中心だったとしている。逮捕された主犯格2人のうち、1人はこの人物だという。

 ドイツのDPA通信によると、捜査当局の強制捜査には約3000人の警官が動員され、130カ所が家宅捜索を受けた。ドイツ国内のほか、オーストリアとイタリアでも行われた。

 クーデター計画には、ドイツ警察がかねて監視対象にしていた極右勢力「ライヒスビュルガー(帝国の住民)」運動の関係者も含まれているという。「ライヒスビュルガー」は現代ドイツ国家を認めず、暴力を推奨し人種差別的な陰謀論を掲げている。

 「ライヒスビュルガー」運動に参加する約50人の男女が、現在のドイツ連邦共和国を転覆させ、1871年のドイツ帝国に模した新国家「第二帝国」を樹立しようとしていたという。

 連邦検察の報道官は、「我々はまだこのグループの名前を確定していない」と述べた。

 ナンシー・フェーザー内相は、「今回摘発されたテロリスト集団は、現時点の捜査によると、暴力的な国家転覆の空想と陰謀論的イデオロギーを動機としている」と話した。

 また、このグループは「理事会」と軍事部門から成り立っていたと説明。その上で、当局は「民主主義の敵に対して」司法の力を十分に発揮して対応すると述べた。

 検察は、別の主犯格とされる容疑者の名前を「リュディガー・フォン・P」と公表。この人物は、ドイツ北部で警察官を仲間に取り込もうとしていたほか、中部ヘッセン州や南部バーデン=ヴュルテンベルク州、バイエルン州の陸軍基地や兵舎を、新政府の施設として使うために視察していたという。

 また、政府転覆後に組織する新しい軍隊のトップに立つ計画だったという。

   「ライヒスビュルガー」とは

 「ライヒスビュルガー」運動には昨年の時点で約2万1000人の支持者がおり、その数はさらに増えている。

 そのうち約10%が暴力的で、仲間内では反ユダヤ主義や陰謀論が広がっている。また、ドイツの民主主義を認めておらず、納税を拒否している。

 BfVインテリジェンスのトマス・ハルデンヴァング氏によると、一時は無害なグループと思われていたが、近年活動が活発化し、危険な存在となったという。

 逮捕された人々の中には、アメリカで始まった陰謀論「Qアノン」の信奉者も複数含まれていたとされる。このQアノン信奉者たちは、自分たちの国は世界的な権力者の闇のネットワーク「ディープステイト」に支配されていると信じていたという。

 アメリカのQアノン信奉者たちは、アメリカ政府の奥に潜む「悪魔崇拝の小児性愛者」による「ディープステイト」関係者を、トランプ氏が逮捕し処罰するという陰謀論を信じ、その一部は、昨年1月の連邦議会襲撃に参加。ジョー・バイデン氏の大統領就任は実現しないと昨年1月20日の就任式直前まで主張していた。

   内戦状態を作ろうと

 7日未明から行われた捜査は、現代ドイツにおいて最大の反過激派作戦のひとつと言われている。

 逮捕者の大半が、南部のバーデン=ヴュルテンベルク州とバイエルン州で拘束された。「ライヒスビュルガー」の構成員の5人に1人が、バーデン=ヴュルテンベルク州で活動しているとみられている。

 ドイツのマルコ・ブシュマン司法相はツイッターで、「大規模な対テロ作戦が今朝から実施されている」と書き、「連邦検察官が、ライヒスビュルガー勢力によるテロ計画を捜査している」、「憲政機関への攻撃が計画されていた疑いがある」と明らかにした。

 連邦検察は、「ライヒスビュルガー」が2021年11月から暴力的なクーデターを計画していたと述べた。

 検察によると、クーデター勢力はドイツ統治計画をすでに策定しており、自分たちの目標実現には「武力行使や国家の代表への暴力」が不可欠で、それには殺人も含まれるとお互い納得していたという。

 捜査当局は、今年4月に「愛国者連合」と名乗るグループの誘拐計画を摘発した際に、「ライヒスビュルガー」の存在を知ったとみられている。

 「愛国者連合」グループも「ライヒスビュルガー」の一派。カール・ラウターバッハ保健相の誘拐を計画するとともに、ドイツの民主主義を終わらせるために「内戦状態」を作り出そうとした疑惑がある。

 また、極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD) の元連邦議会議員もクーデター計画に参加し、「ハインリヒ侯子」を首班にした新政府の司法相になる予定だったという。逮捕者の中にはほかに、裁判官や弁護士も含まれていたとされる。

 複数報道によると、計画には軍を組織する内容も含まれており、現役の軍人と元軍人がクーデター計画の重要な部分を占めていた。精鋭の特殊部隊出身者もいたという。検察は、この軍事組織は地方で民主的な組織を排除する目的があったとみている。

 捜査対象者には、陸軍特殊戦団(KSK)の隊員もいた。警察はこの隊員の自宅と、シュトゥットガルト南西部カルフのグラーフ・ツェッペリン軍事基地の自室を捜索した。

   侯爵家の末裔やロシア人女性

 「ハインリヒ13世」は、ドイツの古い貴族ロイス家の末裔。現チューリンゲン州の一部は1918年まで、ロイス家の領地だった。この家では男子全員に「ハインリヒ」の名前が与えられてきた。

 一族は今も複数の城を所有し、ハインリヒ13世もチューリンゲンに狩猟用の別邸を持っているとされる。

 ロイス家はすでに、逮捕されたハインリヒ13世から距離を置いている。一族の広報担当はすでに今年夏の時点でドイツのMDR放送に対して、ハインリヒ13世は「時に混乱」しており、「陰謀論を燃料とした事実誤認」を信じ込んでしまっていると話していた。

 ほかにも検察は、逮捕した中にはロシア人女性がいたと発表。名前を「ヴィタリア・B」と公表した。調べによると、この女性はハインリヒ13世の代理としてロシア政府に接近するのが役割だったという。これについて在ベルリンのロシア大使館は、自分たちは「テロ組織など違法団体の代表と接触しない」とコメントを発表した。

 ドイツでは近年、極右関連とされる暴力事件が複数起きている。2020年2月には西部ヘッセン州ハーナウのシーシャ(水たばこ)バーで43歳の男が、トルコ国民5人を含む外国人や外国系の9人を射殺する事件が起きた。2016年には「ライヒスビュルガー」関係者が警官を殺害して有罪となった。

(英語記事 German raids target group who plotted coup)

2022年12月7日 BBC

https://www.bbc.com/japanese/63884601

 そもそも「ディープステート」なるものに関して、私は「完全に否定」はしないがしかし、一方でその存在については懐疑的である。なぜならば、「見たことがない」からである。よくネット上で言われているが、残念ながらその実態は全くわからない。そしてわからない相手をあてにしていられるほど、こちらは暇ではないのである。もちろん完全に否定しないのは「完全に否定する根拠もない」からである。ただし、「悪魔の証明」があるようにないことを証明することは難しい。そこで存在が確認できないことで基本的には「懐疑的」もっと言えば「基本的にはないモノと思っている」ということでしかない。

そもそも陰謀というのは、そんな大きな内容を行うのであれば、もっとシンプルに行うし、また初めから複雑で長期間の、複数選択肢があるような陰謀を行うことはない。目的を一つに絞り、そのうえでそのようなことをしたところで何の意味もない。例えばイルミナティという組織があるとされ、人口削減計画なるものがあるとされていたが、残念ながら地球上の人口は増え続けているのである。そのように主張と全く異なる現実が存在しているということは、そのような秘密結社があっても、言っていることが実現しないのであれば意味がない。

しかし、どうも日本人もまたヨーロッパ人もそのような「あまり証明性の少ない話」を信じて行動に起こす人がいるらしい。私の周辺でも何人か「ディープステート」なる内容をしっかりと信じてしまっている人々がいて、全てがそこに向かう。はっきり言って、そのような「実体のないモノ」を信じたほうが楽である。昔からそうであるが、禁忌における妖怪や幽霊、例を挙げれば「あそこに行くと祟られるから行ってはいけまs年」などと言う祟り系の言い伝えの中には、そのようなものはなく、実際は大人の何らかの事情があり、そのうえで、そこに子供などを近づけたくないための方便であることは少なくない。そのような方便は、そのまま「幽霊や祟りという実体のない、証明性の少ないものを出すことによって、聞いた者に思考停止をさせ、実態がないモノを信じさせることによって行動を規制することができる」というものでしかない。そもそもそのような「実体のないモノを取り出すこと自体が陰謀」なのである。

そのことが見えていない人々は、その「実体のない話」を信じて、そして宗教的に妄信することになる。日本の場合はそれでもネットで騒ぐくらいであるが、アメリカの場合は議会を占拠し、ドイツの場合はクーデターを起こそうとしたのである。

さて、ここで一つの疑問は、「なぜそのディープステートを攻撃しないのか」ということである。アメリカの場合は議会であって、それはバイデン大統領を承認するための議会である。つまりバイデン大統領に対する攻撃であってディープステートそのものを攻撃しているわけではない。ドイツの場合もドイツ国内における内戦状態であって、ディープステートそのものを攻撃するという話ではないのである。これは、二つの可能性があり、一つ目は、「本人たちがディープステートの存在を本当に信じながらも知らない」ということであり、もう一つは、「上位の者がディープステートを使いながら下位の者を精神的に支配し、そして、コントロールするための道具として実体のない存在を使った」ということになる。後者の場合「クーデターという陰謀が、そもそも陰謀によって生み出されていた」ということになり、なかなか興味深いものが出てくることになる。

この事件は、もう少し裏がありそうであるし、また他の国、アメリカや日本でも似たような動きが出てくる可能性がある。特に、ドイツの場合はロシア人女性が入っていることもかなり注目である。その辺も今後見てゆきたい。まあ、その前に賢明な皆さんは、ディープステートなるものについて、しっかりと考えてもらいたいと思う。

宇田川源流

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