「宇田川源流」【大河ドラマ 鎌倉殿の13人】 尼将軍政子の演説に感動

「宇田川源流」【大河ドラマ 鎌倉殿の13人】 尼将軍政子の演説に感動


 毎週水曜日は、対アがドラマ「鎌倉殿の13人」について書いている。実際にこの時代の小説は全く本に書いたことはないので、なかなか好き勝手に書かせてもらっているという感じだ。

それにしても今回は、源頼茂の乱から承久の乱前夜、まさにクライマックスでもある北条政子の演説までというようになっていた。この北条政子の演説は本当はなかったのではないかというような学説が少なくない。また東鑑などの記録によれば、北条泰時は上皇と戦うことに関して非常に抵抗感があり、大江広元に「今戦わないで何とする」ということを言われ、奮起するというようなことになっていたはずであるが、ドラマでは、全く逆。北条義時が自分の首を差し出して自体を収めようとしていたのにたいして、北条泰時は上皇と叩くという急先鋒になっているという展開である。

実際に承久の乱は、北条義時は鎌倉にいて、北条時房と北条泰時が最先鋒になって戦う。その主戦場は美濃国(現在の岐阜県)の辺りである。

次回は最終回なので書くことはたくさんあるのであろうから、今回のうちに承久の乱について書いておくと、後鳥羽上皇は、自分の策で鎌倉の武士たちが内紛を起こすものと考えていた。これに対して、鎌倉は北条政子の演説もあって19万に膨れ上がる大軍で攻め上ることになる。次郎朝時は北陸・武田信光が中山道・泰時と時房が10万の軍を率いて東海道を進んだ。これに対して京都方は本当に戦争になるとは思わず、藤原秀康が2万弱の軍で対抗したに過ぎない。京方は美濃と尾張の国境の尾張川に布陣するが、少ない兵力を分散させる愚を犯していた。藤原秀康と三浦胤義は支えきれないと判断し、宇治・瀬田で京を守るとして早々に退却を決める。6日に泰時、時房の率いる主力の東海道軍10万騎が尾張川を渡河し、墨俣の陣に攻めかかった時にはもぬけの殻、山田重忠のみが杭瀬川で奮戦するが、京方は総崩れになり、大敗を喫した。

美濃・尾張での敗報に京方は動揺して洛中は大混乱となった。後鳥羽上皇は自ら武装して比叡山に登り、僧兵の協力を求めるが、上皇の寺社抑制策が災いして比叡山延暦寺はこれを拒絶した。京方は宇治川の橋を落とし、雨のように矢を射かけ必死に防戦する。幕府軍は豪雨による増水のため川を渡れず攻めあぐねたが、翌14日に佐々木信綱を先頭として強引に敵前渡河し、多数の溺死者を出しながらも敵陣の突破に成功。後鳥羽上皇は幕府軍に使者を送り、この度の乱は謀臣の企てであったとして義時追討の院宣を取り消し、藤原秀康、三浦胤義らの逮捕を命じる院宣を下す。上皇に見捨てられた藤原秀康、三浦胤義、山田重忠ら京方の武士は東寺に立て篭もって抵抗した。三浦義村の軍勢がこれを攻め、藤原秀康、山田重忠は敗走し、三浦胤義は奮戦して自害した。

【鎌倉殿の13人】政子の”魂の大演説”に視聴者感動「神回」「鳥肌が立った」

 俳優の小栗旬が北条義時役で主演を務める、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(毎週日曜 後8:00 NHK総合ほか)の第47回「ある朝敵、ある演説」が、11日に放送された。

 『鎌倉殿の13人』は61作目の大河ドラマ。脚本は、2004年の『新選組!』、2016年の『真田丸』に続き3度目の大河ドラマ執筆となる三谷幸喜氏が務め、野心とは無縁だった若者が、いかにして武家の頂点に上り詰めたのかを描く。

 第47回は、幕府の後継者争いが発端となり、乱れる京。朝廷の象徴である内裏が焼け落ちると、後鳥羽上皇(尾上松也)は再建費用を日本中の武士から取り立てることを決める。しかし、北条義時(小栗旬)は政子(小池栄子)と大江広元(栗原英雄)の支持を得て、要求を先送りにすることを決断。泰時(坂口健太郎)をはじめ御家人たちが後鳥羽上皇との関係悪化を心配する中、三浦義村(山本耕史)は京で大番役を務める弟・胤義(岸田タツヤ)に…というストーリーだった。

 “尼将軍”となった政子が自らの言葉で御家人たちを鼓舞し、大演説を繰り広げるシーンに視聴者からは「鳥肌が立った」「魂の演説、胸に響きました」「紛れもなく神回です」「号泣です」など反響の声が広がっている。

2022年12月11日 20時56分ORICON NEWS

https://news.nifty.com/article/entame/showbizd/12173-2041825/

 さて、このような戦いにおいて「鎌倉軍」は、19万もの武士を動員するに至った。これに対して後鳥羽上皇は、軍をあまり動員できていない。自らの権威を中心に考える天皇や条項に多いもので、後の鎌倉幕府を滅ぼした「建武の新政」における後醍醐天皇もほぼほぼ同じような間違いを犯してしまっている。日本人の多くは、「正しければ武力が無くても多くの武士は自分に靡く」というようなことを思っている場合が少なくないのであるが、これは現代の憲法9条を猛進する人々につながるものではないか。

まあその辺をドラマで語るのはやめておき、実際に、後鳥羽上皇はかなり自分の策に溺れてしまって、鎌倉が分裂するというような感覚になっていたに違いない。そのことから、西国の武士を動員することができず、結局はその武士の動員が遅れて敗北することになる。逆に鎌倉武士の分裂を防いだものが「北条政子の演説」とされる。

今回、小池栄子さん演じる北条政子は、本当に素晴らしい内容であった。初めは脚本を大江広元に作らせての文章であったが、途中でその文章の朗読を止め、自分の言葉で物事を話すということになる。その表情の切り替えや、言葉の使い方の違いなどは、さすがに素晴らしい。脚本のすばらしさもあるが、一方で演じている人々の素晴らしさが際立ったのではないか。

上記に吾妻鏡の記述と違うというように書いたが、このドラマの面白い所は、このドラマのストーリーにのってしまうと、その解釈の方が自然に流れて自分の中に入ってくるということである。ある意味で、権力者が権力者を擁護するための文章を「史実」としているが、ドラマにはある意味でそのドラマの流れがあり、その流れの中で、人間であれば、またはその人であれば、このような行動をとるに違いないというようなことがあり、その通りの行動をとってくれることではないか。ある意味で「史実」と言われる記録に残る歴史よりも、はるかに、ドラマの方が現在の人の心に訴えるものが大きいというような結果になっているのではないか。

そのように考えれば、この一年間で作られれてきた「ドラマのキャラクターとしての歴史上の人物たち」や「架空の人物」は、その人物固有の性格や人間性を持ち、ある意味で、演じる役者や脚本家の中のイメージを越えて、独自に視聴者の頭の中で動き出すというようになっているのではないか。そのような物語になった時に、何か物語が本当の一つの流れを生み、そして独自に歴史を作るのではないか。

今回の「北条政子の演説」は、当然に「この演説になる」ということはよくわかっている。歴史を知っている人は、当然にそのような演説になることは見えていたのではないか。しかし、その演説を聞いて、わかっていても感動するという事が、今回の内容ではないか。まさに、制作者の意思がうまく伝わったドラマになったのではないか。

宇田川源流

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