「宇田川源流」【日本万歳!】 本日は日本の文化を守り抜いた人の訃報について語らせてください

「宇田川源流」【日本万歳!】 本日は日本の文化を守り抜いた人の訃報について語らせてください


 毎週月曜日は「日本万歳!」をお届けしている。日本の文化や日本のすばらしさに関してこの場を借りてご紹介させていただき、その中で日本人の素晴らしい所をご紹介し、その内容が日本人の国民性や我々の何気ない生活習慣であるということを確認し、そして、その国民性や生活習慣などは我々も持っているということから、「本物のヒーロー・ヒロインは、報道されている人ではなく、日本人全体なのであろう」ということを再確認するということを考えているのである。

しかし、中には傑出した人がいることも間違いない。

その傑出した人も、たまには紹介したい。特に、その人がこの世を去った時には、本来の日本人のすばらしさということではなく、その人の中にある「傑出した部分の日本人の国民性」や「日本愛」をここにご紹介したいと思っている。

過去には、アメリカ大リーグの大谷翔平選手について、その内容を紹介させていただいた。まあ、はっきり言うが、子供は別にして、ある程度大きくなってから「大谷翔平になりたい」などと言ってもよくないと思う。単純に「大谷翔平みたいに」という言葉を使ってごまかすのであるし、本来この「日本万歳!」の趣旨から考えれば、当然に、そのような話をしている人に対して「日本人の国民性からは、きっと大谷翔平に君もなれると思うよ」ということを言わなければならないのではないかと思う。しかし、実際に、大谷翔平選手がどれくらいの努力をし、どれくらいストイックに野球に打ち込み、そして私生活を犠牲にしているのかはわからない。その状態で「通常の練習」をしていても大谷翔平選手になれるはずがないのである。

ヒーローには、ヒーローの特別なところがある。しかし、日本のヒーローはヒーローのようになっているのではなく、全く一般であるという顔をしている。まさに、子供も大人も「大谷翔平のようになりたい」と言えるほど、一般人と同じように見えながらヒーローになるのである。いや、絶対に大谷翔平選手になれないのに、「なれるかのようにみえる」ほど身近に感じるヒーローなのだ。

そんなヒーローが、一人亡くなった。

三遊亭円楽さんが肺がんで死去、72歳…「笑点」で歌丸さんと掛け合い

 日本テレビ系演芸番組「笑点」のレギュラーとして知られた落語家の三遊亭円楽(さんゆうてい・えんらく、本名・会泰通=あい・やすみち)さんが30日、肺がんで死去した。72歳だった。告別式は近親者で行う。

 東京都出身。1970年、20歳で五代目円楽に入門し、楽太郎の名前で81年に真打ちに昇進。五代目が亡くなった翌年、60歳で六代目円楽を襲名した。

 「笑点」には77年から大喜利コーナーにレギュラー出演。桂歌丸さん(2018年死去)との毒舌の掛け合いが好評で、「腹黒キャラ」としてお茶の間に親しまれた。政治、社会への風刺の切れ味も鋭く、本業の落語も知的な語り口で「浜野 矩随のりゆき 」など五代目から多くの演目を継承した。

 今年1月、脳 梗塞こうそく で倒れて入院。8月に高座復帰を果たしたが、同月下旬に再び体調を崩して入院していた。

 大名跡「三遊亭円生」の七代目襲名にも意欲を見せていた。タレントの伊集院光さんは弟子の一人。

2022/09/30  読売新聞

https://www.yomiuri.co.jp/culture/20220930-OYT1T50193/

 六代目三遊亭円楽さん。

私は、元総務副大臣で現在は千葉科学大学学長の東祥三氏が政治家時代に、その後援会長として紹介された。東祥三氏が議員であった最後の選挙であったと思う。その選挙公示日の「選挙事務所開き」の日であった。ちなみにその選挙で大勝をした自民党が「捲土重来」で安倍晋三氏が二回目の首相担った選挙である。

あの公示日、東京の江東区は大雨であった。敗色濃厚であった「国民の生活が第一」という小沢一郎氏の率いる政党の幹事長であった東祥三氏は、敗色が濃厚である上に、大雨で事務所開きであるのに、ほとんど浩が集まらず、20名程度しかいなかった。最後には事務所の中の人もすべて外に出して「さくら」にしたのであった。その時の応援演説。多くの人がそのような形なので黒や赤の傘で前が見えないような状態であった。東祥三氏は秘書の方に傘を掛けられていた。そしてもう一人が円楽師匠に傘を出した時である。

「これから皆さんにお話をするのに、頭にかぶり物などできるか」と一喝。かなり高級なものであると思う黒紋付(もしかしたら紫だったかなあ)で段の上に上がった。

「皆さん、私は落語家ですから、政治の難しいことなんかわかりません。ここにいる東祥三さんがいつも話してくれる国際的なことどころか、私には目の前のお客さんの事ですら完全にわかっていなくて、うまく話が行かなくなってしまうときがあるのに、遠くの海の向こうの事なんかわかりません。でも、でもね。私はこの東祥三さんが好きなんです。この人を信用しているんです。生まれつき男だとは思いますが、この人を、世界に送り込んで、日本はこんなにいい国なんだと示して、それを陰で支えていたいんです。私みたいな落語家が支えていては迷惑かもしれません。でも、東祥三さんは、それでも温かく声をかけてくれるんです。円楽さんありがとうと、手を握っていってくれるんです。政治のことはわかりません。でもね、自分の好きな人を応援して、自分の好きな人に活躍してもらって、何が悪いんですか。私はね落語家ですから、こんなダメな人というのは、たくさん語ってきています。立派な人は落語には出てこないんです。東祥三さんは、そんな落語の中に出て来てもおかしくない立派な人なんです。だから、この通り(深々と頭を下げて)皆で東祥三さんを支えてください。東祥三さんを応援してください。私も全力で応援します。私は、好きな人、信用する人のために、私のできる限りの全力で応援します。皆さんも東祥三さんを好きになって下さい。お願いします。」

私が聞いた応援演説の中で、最も素晴らしい応援演説であったと思う。「ああ、円楽師匠は毒舌や落とし噺ではなく、こんな心のこもった話をできる人なんだ」と思った。その時の雨の中、そのまま頭を下げ続け、東祥三さんが頭を挙げてくださいと4回促した時にやっと頭を挙げた。紋付は完全に濡れて色が変わっていた。雨の日であったから、なおさら感動したのかもしれない。しかし、その時に円楽師匠の話を聞いた40名弱は、皆が感動辞たに違いないし、東祥三と三遊亭円楽を好きになっていたはずである。ここに文字にしているよりも、ずっと素晴らしい演説であったのだ。

「あのね、落語の中にね、日本人が忘れてしまった良いものが全て残っている気がするですよ。民主主義とか難しいことはわからないけど、落語の中の日本に戻してくれる人がいれば、その人を応援したい。あとは信用できる人かどうかでしょう。自分が託したんだから、文句は言わない。自分が他人を見る目が正しいかどうかということでしょう。自分が未来を託したら、後は自分のできることでその未来になるように努力する。皆がそうすれば、きっといい日本に戻ると思うんだよ」

選挙の後、円楽師匠の言ったことは、こんなことであった。東祥三さんが落選した後に、そんな話をしたのである。その時の笑顔は、温かい笑顔であった。

ご冥福をお祈り申し上げます。

宇田川源流

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