「宇田川源流」【大河ドラマ 鎌倉殿の13人】 家族団らんとその後の権力闘争をうまく対比させて描いた三谷幸喜の筆と坂東弥十郎の演技力

「宇田川源流」【大河ドラマ 鎌倉殿の13人】 家族団らんとその後の権力闘争をうまく対比させて描いた三谷幸喜の筆と坂東弥十郎の演技力


 毎週水曜日は大河ドラマ「鎌倉殿の13人」について、私の思うところを好き勝手に書いている、もちろん、どこかに許可をえているわけでもなんでもないのであるが、なんとなく、感想を書きてもいいのではないかということで行っている。そううえば、この「毎週水曜日に大河ドラマについて書く」というのは、一昨年の「麒麟がくる」から行っていることなのであるが大河ドラマそのものの、話や演出、脚本の話もそうであるが、同時にその背景や歴史的な事実、そしてその歴史的な事実と結び付けた町おこしということも非常に面白い話になってきているのではないか。鎌倉殿の13人という内容で言えば、基本的に「鎌倉」が中心になるのは当たり前であるが、しかしその鎌倉のイメージが、今回の大河ドラマからすると「血塗られた歴史」のようになってしまうのではないかという気がするのである。

 まあ、もともt鎌倉にあった(台風で折れてしまったが)鶴岡八幡宮の大銀杏の木は、公暁が源実朝を殺す時に隠れたということで、以前から有名な場所であるが、今回の大河ドラマではそれ以外にもさまざまな人が権力争いで死んでいっているということが明らかになる。

 もちろん死んだ場所は異なる。梶原景時や畠山重忠は鎌倉ではない場所で戦で死んでいっているのであるが、しかし、やはりその中心は鎌倉であることは間違いがない。ある意味で「鎌倉殿の13人」という大河ドラマによって、今までは「古都」的(天皇がいたわけではないので都ではないのだが)な場所として存在しているのであるが、一方でやはり「武家の棟梁のいた場所」として児印象になるのではないか。

 今回の大河ドラマはそれほど「多くの人」が死んでいっている。もちろん、三谷幸喜氏の創作ではなく、基本的には吾妻鑑などにそのように書いているのであるから仕方がないということになる。三谷氏の捜索で死んでいったのは、基本的には「善児」だけであり、それ以外は、その死に方などは伝えられているものと異なっても、それなりに死んでいるのである。

 しかし、今回の鎌倉殿の13人はそのような「死」が描かれなかった。

「鎌倉殿の13人」時政“覚悟”の北条家最後の団らん…ネット涙「過去一番泣かされるなんて」

 俳優の小栗旬(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)は25日、第37話が放送された。

 <※以下、ネタバレ有>

 稀代の喜劇作家にして群像劇の名手・三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。鎌倉を舞台に、御家人たちが激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。

 第37話は「オンベレブンビンバ」。畠山重忠(中川大志)と死闘を繰り広げた北条義時(小栗)は、政子(小池栄子)大江広元(栗原英雄)らと新体制を始動。長男・泰時(坂口健太郎)を自身のそばに置き、強い覚悟で父・時政(坂東彌十郎)と向き合う。一方、りく(宮沢りえ)は夫・時政を蚊帳の外に置かれ、憤慨。娘婿・平賀朝雅(山中崇)を担いで対抗することを画策。三浦義村(山本耕史)を誘い、反撃ののろしを上げる。北条家内の対立が激化する中、源実朝(柿澤勇人)は和田義盛(横田栄司)のもとへ…という展開。

 腹を括った時政は実朝の身柄を自身の館に移し、出家する旨の起請文を強いる策に出る。りくと抱き合うと「夜までに一つ、やっておきたいことがある。ちょっと出てくる」。時政の策は、義村を通じて義時に筒抜けだった。

 義時が政子に相談していると、時政が酒や魚を手に現れる。実衣(宮澤エマ)、時房(瀬戸康史)も加わり、北条家久々の集い。

 時政が酒を飲みながらが「オンベレブンビンバ」と唱え続けている。政子が何と言っているのか尋ねると、時政は「忘れたのか。大姫(南沙良)が教えてくれたまじないじゃ。これを唱えると、いいことがある」。そこから“思い出し合戦”が展開される。

 政子「ウンダラホンダラゲー」

 義時「ピンタラポンチンガー」

 実衣「ウンタラクーソワカー」「ボンタラ、ポンタラよ」

 5人は「ポンタラクーソワカー」の大合唱。「正しくは、オンタラクーソワカー、である」(語り・長澤まさみ)。第19話「果たせぬ凱旋」(5月15日)、脇に手鞠を挟み、脈を止める芝居を打った後白河法皇(西田敏行)への“注意ナレ”「真似をしてはいけない」に続く“訂正ナレ”が入った。

 実衣「思い出せるものね」

 政子「ご苦労さまでした。父上の楽しそうな顔、久々に見た気がする」

 そして、小さな畑に植えられた茄子の苗。時政は「もっと間を空けるんだよ。拳2つ分、空けるんだぞ」。義時、時房を駆り出して植え直し。3人の畑仕事を政子と実衣が見守る。政子は憂いを帯びた顔。伊豆時代の平穏さが一時、戻った。

 しかし、時政の命を受けた義村たちが、実朝を和田邸から時政邸へ。

 義時は「父上は、この企てがうまくゆかないことを見越しておられる。りく殿の言う通りにすれば、必ず行き詰まる。しかし、父上は敢えてその道を選ばれた。太郎、おまえをなぜそばに置いたのか教えてやる。父の覚悟を知ってもらうためだ。(立ち上がり)執権北条時政、謀反。これより討ち取る!(政子の『命だけは助けてあげて』に)それをすれば、北条は身内に甘いと日本(ひのもと)中からそしりを受けます。こたびの父上の振る舞い、決して許すわけにはいきませぬ!太郎、付いてまいれ」と覚悟を決めた。

 実朝は毅然と起請文を書かない。時政は刀を抜いた――。

 時政が“覚悟”を決め、北条家最後の団らん。SNS上には「号泣状態。時政パパは覚悟の上だったのかな」「初期の北条家を思い出して涙がポロポロ出てくる」「こんな…『オンベレブンビンバ』で過去一番泣かされるなんて思わないじゃないですか」などの声が続出。視聴者の涙を誘った。

9/25(日) スポニチアネックス

https://news.yahoo.co.jp/articles/5c5911eb5b5ce840a56f7dd398e82f1ddbdde799

 人が死ぬときに、もっとも悲しいということなのであるが、一方で「死ぬこと(争うこと)がわかっている直前に最後の晩餐」をすることの悲しさというのは、また異なった感慨を生む。「家族団らん」という最も温かいことを書いて、その後にその家族が引き裂かれてゆく様を描くのが、もっとも悲しみを誘う。まさにその「コントラスト」を利かせた脚本を、三谷幸喜氏はしっかりと書いているのではないか。

 その内容をよりコミカルにしていたのが、第37回の題名である「オンベレブンビンバ」出会った。これは大姫(源頼朝と北条政子の娘、早世している)が、木曽義仲の息子義高と引き裂かれた後に、「この言葉を唱えると幸せになる」といって唱えていたオンタラクーソワカーを間違って覚えていた北条時政が、場面の中で唱えていた言葉である。これを、政子や北条義時亜土が家族団らんで「思い出しながら笑っているという姿こそが、もっとも涙を誘う。

 虎舞竜の「ロード」という歌が昔はやった。その歌詞の錆の部分が「なんでもない湯なことが、幸せだったと思う」という言葉こそ、まさに「日常が最も幸せな瞬間である」ということの最大のものではないのか。人間は何か大きなことに目を捕らわれてしまうと、それに対して、「日常」を忘れてしまうが、実は人間基本は、家族や恋人との「日常」であり、その日常を毎日楽しく幸せに迎えるために、様々な事件を乗り越えてゆくのである。この北条家の家族団らんの背後に、りく(牧の方)が、自分の息子も髪(当時は髪を遺品として持っておく風習があった)を握りしめて昔を思い出すというしーんがあり、北条時政とりくのウフフが全く異なる「日常」を持っていたということをしっかりと描き出しているところ、つまり「北条時政が無理をしている」ということをしっかりと書き出しているところにすばらしさがあるのだ。

 このシーンだけで、本来は対立する必要のない北条家の中の事や、りくに振り回されている北条時政の姿、そして本当に大事なものは何かということなど、さまざまなことが、現代の人々に対して訴えかけている部分が多いのではないか。

 義時は「父上は、この企てがうまくゆかないことを見越しておられる。りく殿の言う通りにすれば、必ず行き詰まる。しかし、父上は敢えてその道を選ばれた。太郎、おまえをなぜそばに置いたのか教えてやる。父の覚悟を知ってもらうためだ。(立ち上がり)執権北条時政、謀反。これより討ち取る!(政子の『命だけは助けてあげて』に)それをすれば、北条は身内に甘いと日本(ひのもと)中からそしりを受けます。こたびの父上の振る舞い、決して許すわけにはいきませぬ!太郎、付いてまいれ」と覚悟を決めた。<上記より抜粋>

 北条時政と北条義時という親子、そして北条義時と北条泰時という親子、この二つの親子のコントラストもうまく使っての内容は須原いいものではないか。さすがは記載の書いた脚本である。誰にでもかけそうで、ここまで鮮やかに一つのシーンのなかにさまざまなことをいれこむことはむずかしいのではないか。

 来週は「牧の方事件」といわれる北条時政の追放になるのであるが、まさに、そのことがわかっているだけに、誰も死なないのに、涙を誘う内容であった。

宇田川源流

「毎日同じニュースばかり…」「正しい情報はどうやって探すのか」「情報の分析方法を知りたい」と思ったことはありませんか? 本ブログでは法科卒で元国会新聞社副編集長、作家・ジャーナリストの宇田川敬介が国内外の要人、政治家から著名人まで、ありとあらゆる人脈からの世界情勢、すなわち「確実な情報」から分析し、「情報の正しい読み方」を解説します。 正しい判断をするために、正しい情報を見極めたい方は必読です!

0コメント

  • 1000 / 1000