「宇田川源流」【日本万歳!】 世界の水不足を救う技術を持つだけではなくそれを戦略に使わない日本のすごさ

「宇田川源流」【日本万歳!】 世界の水不足を救う技術を持つだけではなくそれを戦略に使わない日本のすごさ


 毎週月曜日は「日本万歳!」をお届けしている。今回は、東洋経済の記事で日本の水技術に関する記事を扱っているのであるが、その記事が少々長いので、解説側を短くしてい行かなければならないと思っている。

 そこで、いつも懇切丁寧にお知らせしている「日本万歳!」のコンセプトなどに関しては、今回は省略させていただくことにして、今回の記事の凄さとそのポイントに絞ってお話をしてゆくことにしよう。

 さて、世界の水というのは非常に少ない。日本人くらいではないだろうか、水を「無料」であると思っているのは。それほど世界では水に苦労している。ちなみに2050年には20億人が水不足に悩むことになり、世界は水に関して戦争が起きるのではないかといわれているほどである。

 そもそも、地球は「水の惑星」と言われているものの、実は世界の水の0.01%しか飲み水としての真水は存在しないのである。ちなみに世界の水全てをバスタブの水と例えると、飲み水として使える水は「ティースプーン一杯」程度しか存在しないということになっている。日本は、そのような中でもどの地域に言っての飲める水があり、なおかつ、その水をまた消毒して都市部において飲み水をトイレに流すことができるほど水が豊かな国であるということができる。

 ほかのくには、自分たちで水を汚してしまっているということもあるが、一方で、間に鉱山があるなどのこともあり、水そのものが出てきているところから重金属に汚染されているというところも少なくない。もちろん、中国のように化学薬品や農薬で自分で飲めなくしてしまっている国も少なくないのである。

 そのような水を何とかすべきであるということを考えるのは、やはり水の国日本の考える国なのではないか。

深刻「世界の水不足」を技術で救う日本企業の凄さ

 日本では少子高齢化が進み人口は減少する一方だが、世界人口は爆発的に増えている。国連の予想では2020年に77億9480万人だった人口は2050年には97億3503万人となる(国際連合:World Population Prospects 2019)。30年間で約20億人も増加すれば、さまざまな問題が生じるはずだ。まず、「水」は足りるのだろうか。水がなければ人間は生きていけない。

 地球は水の惑星と言われているが、地球の水のほとんどは海水で、真水は全体のわずか0.01%に過ぎない。真水は稀少資源そのものだ。人口がどんどん増加しているので、この希少資源を大勢の人々が奪い合うという構造が生まれつつある。そこで、注目されるのが真水を作り出す「水ビジネス」だ。

 水ビジネス関連企業について、東洋経済新報社・田宮寛之記者の新刊『2027 日本を変えるすごい会社』から一部を抜粋・再構成してお届けする。

   海水から真水を作り出す

 世界中で水が足りないならば作るしかない。水を作るには熱を利用するか、濾過膜を利用するか、2つの方法がある。昔は海水を熱して水蒸気を集めて淡水にする方式が主流だったが、これでは燃料費がかさむし、CO2が大量に発生してしまう。そこで、最近では海水に高い圧力をかけ、濾過膜を通過させて塩分や不純物を除去する方式が優勢になっている。中東ではすでに多くの淡水化プラントがあるが、今後は世界的にもっと増えていくだろう。

 大阪に本社のあるササクラ(6303)は有力な淡水化プラントメーカーのひとつ。1949年に捕鯨船に搭載する海水淡水化装置の製造で創業した。

 1966年に松島炭鉱池島鉱業所へ日本初の陸上用海水淡水化装置を納入、1967年にはクウェート政府から当時世界最大の海水淡水化プラントを受注した。その後、中東諸国の求めに応じてプラント建設を行うなかで海外進出が本格化していった。

   海水淡水化と下水処理を同時に行う

 画期的な発想で淡水化のコスト低減を実現したのは日立製作所(6501)だ。

 発展途上国では水不足解消のために海水淡水化システムへの期待が高まっているが、多大なコストがかかるため普及していない。同社は海水に下水を混ぜてから処理することでコストダウンに成功した。

 淡水化の工程では海水を濾過膜に通過させる時にポンプで圧力をかける。塩分濃度が高ければ高いほど圧力も高くしなくてはならず電力代金がかさむ。そこで、海水に下水を混ぜることで塩分濃度を下げてから濾過して、塩分と不純物を同時に取り除くことにしたのだ。その結果、従来の海水淡水化プラントに比べてコストを30%削減することができた。

 この海水淡水化と下水処理を統合したシステムの名称は「RemixWater」。下水を混ぜると聞くと汚いイメージがあるかもしれないが、濾過膜で不純物も取り除くので衛生上の問題はない。

   濾過膜では日本が圧勝

 熱処理より濾過膜を使用するシステムの方が優勢だが、このシステムの心臓部は言うまでもなく濾過膜であり、日本企業は濾過膜の分野で圧倒的に強い。東レ(3402)、日東電工(6988)、東洋紡(3101)の3社で世界シェアの50%以上を占めている。

 東レは1933年に自社製のレーヨンを活用して排水処理用の濾過膜を製造して以来、濾過膜の製造を続けている。

 日東電工はシンガポールにおける水ビジネスで先行している。シンガポールは国土が狭くて雨水をためにくいため、排水の再利用や海水淡水化によって自国の水を確保しているほか、隣国マレーシアから真水を輸入している。淡水化プラントなしにシンガポールは存続できないのだ。

 日東電工は2000年からシンガポールの排水再利用プロジェクトに参画。水処理膜技術を提供し同国の公益事業庁と共同で排水再利用の事業を進めてきた。水処理プラントの電力量が嵩むことが課題だったが、日東電工が膜面積を拡大して省エネ性と高い透水性を両立させる膜を開発することに成功した。

 これまでの実績と技術力から、シンガポールの水ビジネスにおいて日東電工の優位性は揺るがないだろう。

 東洋紡は1970年代から海水淡水化の研究に着手。1978年に濾過膜の製品化に成功し販売先を中東に絞ったが、当時の中東では熱を活用した蒸留法が主流だったため相手にされなかった。そこで、同社は同社の濾過膜を組み込んだ淡水化装置を大型トレーラーに積み込んで現地に赴き、既存プラントと比較することで同社製品の優秀さをPRした。デモンストレーション効果は抜群で80年代の半ばからは同社の濾過膜が普及するようになっていった。

   ポンプメーカーも活躍

 濾過膜に海水を通す過程ではポンプで高い圧力をかけ、海水を濾過膜の反対側に押し出す必要がある。また、海水を取水する際にもポンプを使用する。海水淡水化においてポンプは極めて重要な役割を担う。

 酉島製作所(6363)はポンプ専業メーカーで、ポンプ国内大手3社のうちの1社。海水淡水化分野において40年の実績があり、世界中で数多くのポンプを販売してきた。

 2022年にサッカーワールド杯が開催されるカタールでは経済発展に伴って人口が急増、首都のドーハに約80%が集中している。酉島製作所はドーハ市内のすべてのかんがい設備にポンプ工事を請け負った実績を持つ。 

 工業用ポンプ国内最大手は荏原製作所(6361)。これまで淡水化プラント用大型ポンプを世界中に供給してきており、その技術力は高く評価されている。

 同社の高圧ポンプの中でもとくに強力なポンプは富士山を上回る高さ4000メートルまで水を噴き上げることが可能だ。また、同社最大のポンプの吐き出し口は直径4.6メートルもあり、このポンプを使えばわずか7秒で25メートルプールをいっぱいにすることができる。

(田宮 寛之 : 経済シ゛ャーナリスト、東洋経済新報社記者・編集委員)

2022年7月26日 10時0分 東洋経済オンライン


 濾過膜の話は水のンポンプの話を様々に書いている。上記にはそのような記事がありそしてそれらが日本の企業のこれからの異世界の出の担い手になるということを書いているのであるが、まあ、その内容に関しては、東洋経済者であるから、企業説明も含めて、つまり商品コマーシャルも含めてかなり詳しく書いてあるのでその内容をしっかりと見ていただければよいのではないか。

 さて、この「日本万歳!」で取り合上げたいのは「なぜ水が豊富な国日本が、これを開発しているのか」ということである。

 まずん本はつねに日本の事だけを考えているのではない。そもそも日本では使用しない膳出てい出会っても、外国で必要がある開発物であれば、開発をするということになっている。これが日本の世界貢献の一つの考え方であることは間違いがない。

 日本は、私から見ていると「お人よしが過ぎる」と思うほど、他者のことを考える人ばかりで、開発物をそのまま開発して他者に譲ったりしてしまっている。しかし、そのことが海外を甘やかしている可能性もあるのだ。さて、今回の水に関しても、たぶん初めは「緊急時」屋「災害時」ということが中心に開発されたのであろうが、それでは、平時はどのようして採算をとるようにするのかということが大きな問題になってくるということになるのである。

 そしてもう一つは、そのようにして世界で通用する技術を「外交の道具」や「政治の道具」にには使わない。

 中国などはワクチンがあれば、すぐにワクチン外交などといって、自分の言うことを聞くところにだけワクチンを配布するというようなことを行い、相手国を従わせる道具に使う。ある意味でその方が普通の姿なのかもしれないが、しかし、日本人は、そもそも「滝に塩を送る」文化がある国であるからそのようなことは望まない。

 そのように考えると「債務の罠」などというようなことをしている国と日本の「外交」が「科学技術にかかる姿勢」の違いが見えてくるのではないか。もちろんどちらが素晴らしいのか、そして本当に困っている人々にとってどのようなことなのか。そのことを考えるべきではないか。

 このような開発物一つでm、そのように、日本のすばらしさを考える必要があるのではないか。

宇田川源流

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