「宇田川源流」【大河ドラマ 鎌倉殿の13人】 人を信用できなくなった頼朝晩年の描き方とその犠牲の「散り際」の描き方

「宇田川源流」【大河ドラマ 鎌倉殿の13人】 人を信用できなくなった頼朝晩年の描き方とその犠牲の「散り際」の描き方


 毎週水曜日は、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」について描いている。まあ、はっきり言って好き勝手に書いているという状態である。まあ、ある意味で素人の勝手な妄想をかいているということで認識してくれればよいのかもしれない。

さて、今回はまずは「大姫の悲劇」ということと「源範頼の悲劇」という二つの悲劇があり、なおかつ源頼朝そのものの死への伏線ということが描かれている。

そもそも「大姫」とは、。鎌倉幕府を開いた源頼朝の長女で母は北条政子。大姫というのは長女を意味する通称であり、本名は一幡とする説があるが不明。6歳の時に頼朝と対立した源義仲との和睦のため、義仲の嫡男・義高と婚約するが、義仲の敗北に伴い義高が処刑されたことに衝撃を受け心を病む。のちの縁談も拒み通し、後鳥羽天皇への入内の話も持ち上がったが実現する事無く20歳で早世した。

大姫入内運動は、頼朝が通親・丹後局に利用され、結果的に朝廷の反幕府派の台頭を招く重大な結果をもたらしたとされることが多い。頼朝は大姫の死後、次女・三幡の入内工作を進めて女御とするも、自身と三幡の相次ぐ病死で頓挫する。これらは、それまで常に冷徹な政治家であった頼朝の最大の失策とされ、それは父親としての思いからとも、娘を天皇の后に立て自らが外戚になるという、中央貴族の末裔としての意識を捨てきれなかった限界とも評されている。

ある意味で、この大姫の死が、「範頼の呪詛のせい」ということになり、そのことから範頼を修善寺に流罪、そこで、暗殺されるということになるのである。

豊臣秀吉の晩年と同じで、周辺を信用できなくなった源頼朝をうまく書いてるということになるのである。ある意味で、狂気に満ちた内容を顕在化させるために草笛光子演じる「比企尼」が諫めるという場面を盛り込む辺りが、三谷幸喜のすごい所であろう。多くの人が恐れる源頼朝に対して叱責できる唯一の存在をここで出すということになる。その動きが非常に素晴らしかったのではないか。

もちろん、この大姫の死、そして範頼の死が頼朝の死期を早めるという結果になるということになるのではないか。

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 俳優の小栗旬(39)が主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜後8・00)は19日、第24話が放送された。

 <※以下、ネタバレ有>

 稀代の喜劇作家・三谷幸喜氏が脚本を手掛ける大河ドラマ61作目。タイトルの「鎌倉殿」とは、鎌倉幕府将軍のこと。主人公は鎌倉幕府2代執権・北条義時。鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学び、武士の世を盤石にした男。野心とは無縁だった若者は、いかにして武士の頂点に上り詰めたのか。新都・鎌倉を舞台に、頼朝の13人の家臣団が激しいパワーゲームを繰り広げる。三谷氏は2004年「新選組!」、16年「真田丸」に続く6年ぶり3作目の大河脚本。小栗は8作目にして大河初主演に挑む。

 第24回は「変わらぬ人」。源頼朝(大泉洋)と万寿(金子大地)が「富士の巻狩り」を終えて無事に戻り、喜ぶ政子(小池栄子)。しかし、頼朝は自身に代わって鎌倉殿の座に就こうとした弟・範頼(迫田孝也)を許さず、余波が鎌倉を揺るがしていた。そして、亡き許嫁“冠者殿”源義高(市川染五郎)を慕い続ける大姫(南沙良)は、頼朝が用意した縁談話を歯牙にもかけず…という展開。

 範頼は起請文を書き、身の潔白を訴えたが、頼朝は厳しく詮議。さらに大江広元(栗原英雄)が起請文の文面に難癖をつけ、範頼は「もう結構にございます」と自ら身を引いた。比企尼(草笛光子)が頼朝を叱責。範頼は死罪を免れ、伊豆・修善寺に幽閉、謹慎となった。

 大姫は巴御前(秋元才加)に励まされ、入内を決意。しかし、丹後局(鈴木京香)の洗礼に萎縮。寝所から抜け出し、雨に打たれると高熱を発し、鎌倉に帰った後も体調は悪化。「私は、私の好きに生きてもいいのですか。好きに生きるということは、好きに死ぬということ。死ぬのはちっとも怖くないのだって、死ねば義高殿に会えるんですもの。楽しみで仕方ない」。母に見守られ、20歳の生涯を閉じた。

 大姫の病死は範頼の呪詛が原因だと思い込み、頼朝は怒りに震える。村人と畑仕事中の範頼を善児(梶原善)が襲った。

 村人・五藤太(藤田健彦)、その妻(山田里奈)を音もなく殺め、範頼も瞬殺。しかし、立ちすくむ少女トウ(高橋愛莉)を手にかけるのは、意外にもためらった。

 善児に育てられた孤児(みなしご)・トウ役を“新世代アクション女優”の呼び声も高い山本千尋が演じることは今月9日に発表済み。仕事人・善児に何があったのか、注目される。

 SNS上には「範頼、流罪で済んでよかったと思わせておいての善児。凄すぎる展開」「OPに名前のあった善児が、40分経過して今日まだ出てきてないと気付いた時の恐怖よ」「ぼんやりとピントが外された背景で人が崩れ落ちていく演出、もの凄く怖かった。善児周りの描写はホラー気味にやっている気がする」「ピンぼけシルエットの写り込みからの無表情で淡々と仕事をする善児…今までの中で最恐のホラー回かもしれない」「“善児に育てられた孤児”が、孤児になった理由が善児だったというのが今日イチの衝撃なんよ」「待って!?善児に育てられた孤児って、善児のせいで孤児になったってことだったの!?」「善児に育てられた孤児、まさか孤児にしたのが善児とは思ってなかったし、何なら善児もそうやって…」などの声が続出。視聴者に戦慄が走った。

[ 2022年6月19日 20:45 ] スポニチ

https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2022/06/19/kiji/20220619s00041000388000c.html

 今回の内容は、三谷幸喜の割には「救いがない」ということが非常に良く書かれている。実際に源頼朝の晩年は豊臣秀吉の晩年のように「誰も逆らえない」という中での「猜疑心で誰も信用できなくなっている」状態において身内を殺し始めるということになる。この事が最も大きな「勢力の削減」になる。豊臣秀吉はその後徳川家康に政権を取られる。同じように源頼朝は、自分の死後、源頼家、実朝、公暁が暗殺され、その後、北条氏が実質的な政権を握る。その内容こそが最も大きな内容になる。

さて、その範頼の死であるが、修善寺の解説には、梶原景時に殺されたとあり、今回おドラマでは善児が暗殺するということになる。まさに、その善児は梶原景時に雇われているということであり、その修善寺の解説に寄せた内容になっている。この辺が脚本家の三谷幸喜氏がしっかりと様々な場所に調べに歩いているということに他ならないことなのではないか。

さて、45分の番組で結局二人が死ぬということになっている。それも関連はあるもののその二人の死が次の展開の布石になる。その布石がわかるようにしっかりと人の死をかくということが大きな内容になってきているのである。そのことが実に面白い内容になってきているのではないか。

そして「わからないところは忍者を使う」という原則もその通りになっている。善児が忍者であるかどうかは不明であるが、少なくとも全く感情のない暗殺兵器であるということは間違いがない。その人物を使い、そのうえで、その人物がしっかりと「歴史上不明な人の死」を見てくるということになるのではないか。

その善児が、人並みの感情を持ち、本来ならば暗殺するはずの「娘」を活かした。これが幼女として育てられる「とう」ということになる。その感情が出たということに反応する人は少ないのであるが、感情がない人が感情を得られた時に、何が起きるのか。そのことがうまく重なることになるのではないか。

なかなか面白いことになったような気がする。

宇田川源流

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