「宇田川源流」【現代陰謀説】 ウイグルの件で日本向けの影響力工作を行う中国の本音

「宇田川源流」【現代陰謀説】 ウイグルの件で日本向けの影響力工作を行う中国の本音


 毎週金曜日は「現代陰謀説」をお届けしている。最近は「現代陰謀説」といいつつも外交政治の裏側や、または、日本人の苦手な宗教・軍事・民族に関する内容を書いているような気がしているのであるが、それはそれでよいのではないかという気がしている。実際に、日本で言う「陰謀」という内容は、単純に日本人の問題解決に対する思考停止の呪文のようなものであり、それ以上の内容ではないのである。どこかの秘密結社がすべての国の裏側にいて操っているというようなことを、今回のロシアのウクライナ侵攻の裏側にあるようなことを書いている人が少なくないのであるが、まあ、そのような団体があるならばぜひお目にかかりたいものである。

 さて、なぜ日本の「陰謀論」はそのようなことになっているのか。

 このような「陰謀論を陰謀的に解釈する」というのも面白いのではないか。そのように考えると、「日本において陰謀という者はばかばかしくてこの世に存在すものではないと信じ込ませること」がその目的ということになるのではないか。もちろん、そのような陰謀は存在しないというような感覚もあるし、また、そのような陰謀が有るという証明も短所も存在しないのであるが、まあ、日本の現在の状況を見れば、何らかの陰謀によって国民全体が数世代にわたって価値観をおかしくしてしまっているのではないかというような感じになっているのである。そのように考え場合に、なぜこのような陰謀老んが出てくるのかということを考えてみるということが必要になります。単純に「日本人が真実を知るということを畏れさせる」「日本人の思考を停止させる」ということを誰かが仕組んでいるのではないかという気がするのである。

 このように書くと、また何か秘密結社が出てくるのであるが、実際はそのようなものではなく、日本国内にいる誰かというような気がしてならないのである。まあ、それが親米主義者なのか、あるいは、親中主義なのか、または共産主義者なのかはよくわからないが、なぜかそのような陰謀論が、「娯楽」としながら、日本人の心の中に入ってしまい、今回のようなウクライナ侵攻という、隣国とその向こう側の国の実質的な戦争の時に、国論が二分されるような状況が生まれてくるということ自体が、何か大きな弱体化を感じるのである。

 そのように考えるのは私だけなのであろうか。

「ウイグル族弾圧はデマ」、個人装い「中国寄り」投稿拡散…日本標的に組織的情報工作か

 個人を装い、中国政府寄りの主張を英語などで不正に拡散させていたとして昨年、米ツイッター社が2160のアカウントを凍結し、その中の少なくとも45アカウントから日本語で発信されていたことが、読売新聞の調査でわかった。

 中国による新疆ウイグル自治区の少数民族弾圧を「デマ」だとする内容だった。同社は組織的な情報工作を指摘しており、日本が標的になっていることがうかがえる。

■アカウント凍結

 欧米諸国などは自治区でウイグル族が労働や不妊手術を強制されるなど、人権侵害を受けていると指摘しており、米国は昨年以降、「ジェノサイド(集団殺害)」と非難。これに対し、中国は「完全にデマだ」と主張している。

 米ツイッター社は、複数のアカウントや偽のアカウントを使って情報を増幅する行為などを利用規約で禁止している。ウイグル問題に関する中国寄りの投稿について昨年12月、「国家的関与が疑われる」として規約違反でアカウントを凍結したと発表していた。

■多言語で

 読売新聞は、2160アカウントの凍結後、閲覧が停止された投稿とリツイート(転載)の計約6万7200件のデータの一部を同社から取得。内容を調べた結果、大半は英語で中国語やフランス語もあったが、日本語のものが少なくとも52件確認された。

 発信元は45アカウントで、架空とみられる英語や中国語の個人名だった。

 最も多かったのは、ウイグル族を名乗る人が出演し、人権侵害を否定する動画が添付された投稿のリツイート。投稿には動画の中での発言の日本語訳が記され、人権侵害を指摘した米CNNの報道について「記者が偽ニュースを作り出した」などとしていた。

 中国政府系のメディアの日本語記事のリツイートも確認された。自治区の発展をアピールするシンポジウムで、出席者が「一部の勢力が事実を無視し、自治区の人々が美しい生活を享受する権利を中傷し、破壊しようとしている」などと発言する内容だった。

■内容と日付同じ

 こうした発信は内容と日付がほぼ同一で、31アカウントが4時間以内に同じような投稿をリツイートしたケースもあった。

 時期は2021年1~3月に集中しており、春頃に凍結されたとみられる。

 英語など他言語の投稿でも共通する特徴が見られた。「ウイグル問題は米国の戦略的陰謀だ」という中国の主張を紹介する政府系メディアの記事を投稿したり、中国の外交官の投稿をリツイートしたりしていた。

 オーストラリア戦略政策研究所の報告書によると、アカウントは数百個が同じ日に開設されていたほか、他人から購入したとみられるものもあったという。

 中国政府の関与は不明だが、同研究所は「中国が国際的批判をかわす目的で行っている」との見方を示し、「効果は限定的だが、今後、巧妙になっていく可能性がある」とする。

■◆識者「国内問題介入に備えを」

 国家に関係する組織が、SNSなどを舞台に自国に有利な情報を広め、他国の世論に影響を与えようとする手法は「影響力工作」と呼ばれる。近年、活発化しているとして欧米を中心に警戒感が高まっている。

 個人の自発的な投稿を装う手口が巧妙化すれば、より懸念されるのは日本国内の問題への影響だ。2016年の米大統領選ではロシアが介入したとされる。20年の台湾総統選では、中国が偽情報の拡散に関与した可能性が指摘されている。

 フランス軍事学校戦略研究所は昨年公表した報告書で、中国がすでに日本を工作対象にし、反米感情をあおろうとしていると言及している。

 各国のプロパガンダに詳しい日本大の小谷賢教授は「SNSの情報工作が水面下で広がれば、気付かないうちに世論が誘導される危険がある。安全保障など賛否が分かれる問題に関し、他国が社会の分断を画策することが考えられる。国はツイッターやフェイスブックなどを運営するプラットフォーマーと連携し、工作を阻止できる体制の構築を急ぐべきだ」と指摘する。

2022年6月5日 11時41分 読売新聞オンライン

https://news.livedoor.com/article/detail/22285474/

 さて、今回は、中国が日本に思考させないという「工作」を行っているという。これはロシアやウクライナの話ではなく、ウイグルの件である。実際に、私も知っている中国の評論家(某大学の教授らしい。誰だかわかると思いますがあえて名前は伏せます)は、「台湾問題に口を出すと戦争に巻き込まれる」というような論文をマスコミに掲載しているのであるが、まあ、その文字通りに解釈をしたとしても(つまり悪意を持って解釈をしなかったとしても)、「命が惜しければ口を出すな。正義の実現をせずに見て見ぬふりをせよ」ということを言う。はっきり言って、国際社会において「正義」を実現せずにいるということは、そのまま「信用を失う」ということであるが、それは、中長期的に見て、日本という国家そのものについて完全にマイナスにしか作用しない。日本の今後外交的に発する話が全て信用されないで終わってしまうということなのである。そのようなことを理性的な日本人が言うであろうか。そのようなことを「誰か」に言わされているとすれば、それは本当に日本国のための言葉なのであろうか。

 中国による新疆ウイグル自治区の少数民族弾圧を「デマ」だとする内容だった。同社は組織的な情報工作を指摘しており、日本が標的になっていることがうかがえる。<上記より抜粋>

 さて、なぜこのようなことをするのか。単純に日本での「ウイグルでジェノサイドが行われている」という言説が、中国政府にとっては非常に邪魔なのであろう。日本という国がそのように騒ぐことが、たぶん最も問題なのであろうと思う。

 中国から見れば、日本は、古くから会ってなおかつ中国に全く膝を屈しない国であり、東アジアで最も強い国であり中心であると自認している中国人にとっては面白くない国なのであろう。そして中国国内におけるウイグルという「不満分子」が、その日本を頼ることは、なんとなくいやであるし、また戦略的に言えば北京政府を挟んで西と東にそのような勢力があって結ばれることはあまり良いとは思っていないのであろう。

 日本国の一部には、すでに、金の力または何らかの弱みを握って、上記の大学教授のように中国寄りの意見を強く言うような人が何人もいる。しかし、日本国内の多くの意見は、反中というような感覚になってしまい、また、親米で傾いている。もちろん、中国に進出し、中国を嫌いになった人も多く、また日本にいる中国人の態度や、図々しい態度を見て、嫌悪感を催す日本人も少なくないので、そのような意味で、「本当に中国が嫌い」と思っている人も少なくない。

 そのような意味で、中国はさらなる工作が必要であり、同時に日本をなるべく「反米国」にするということが必要になるということになる。逆に言えば、日本はそれだけ「脅威」であるということになる。それは軍事力ということではなく、世界に対する影響力ということなのではないか。

 繰り返しになるが、様々なところで、工作が行われている。しかし日本人の多くはそれを「陰謀論」としてしまって、思考停止をする。本当にそれで大丈夫なのであろうか。

宇田川源流

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