宇田川源流」【大河ドラマ 鎌倉殿の13人】 北条義時の無償の愛と巴御前の尽くす愛

宇田川源流」【大河ドラマ 鎌倉殿の13人】 北条義時の無償の愛と巴御前の尽くす愛


 毎週水曜日は、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」について好き勝手なことを書いている。今回の大河ドラマに関しては、脚本の三谷幸喜氏が、かなり源平の時代についてしっかりと学んだうえで、独自に一人一人丁寧にキャラクター設定をして書いているということが、非常によくわかる内容のものではないか。

ドラマに関して、最も面白くなくなるのがキャラクターがぶれてしまうことであり、そのことで物語が崩れてしまうということは少なくないのではないか。その意味で、三谷氏は非常に面白く書いているけれども、その面白さの中にしっかりしていながら際立ったキャラクターが書かれているということになるのではないか。

その意味で今回「女好き」というか「女に対してだらしがない源頼朝」というキャラクターがしっかりと描かれていて、そのことが様々な物語を進める「きっかけ」になっているのが非常に興味深いのではないか。

第12回の「亀の前事件」によって、関東の豪族の信用が失われたということから、木曽義仲を頼るという源行家が出てくることになり、また、それでも亀の前の所に行く源頼朝を先回りして、政子が亀の前と直接話して手を引かせるというような形になる。そのうえ、亀の前に振られた形になった源頼朝が、八重の所に行って、八重がやっと北条義時の気持ちに気づくということになっている。

一つの事件が次々に別な所に影響を及ぼし、そのうえ、そこで様々な動きのきっかけになる。えてして人生とはそのようなものであり、ドラマの中でも「待った謀ったものではない偶然が、次の新たな動きを作り出す」というような本物の人生の動きになってくるのではないか。

さて、今回から木曽義仲が出てくるのである。河内源氏の一門で東宮帯刀先生を務めた源義賢の次男として生まれる。出生地は義賢が館を構えた武蔵国の大蔵館(現・埼玉県比企郡嵐山町)と伝えられる。父・義賢はその兄(義仲にとって伯父)・義朝との対立により大蔵合戦で義朝の長男(義仲にとって従兄)・義平に討たれる。当時2歳の駒王丸は義平によって殺害の命が出されるが、畠山重能・斎藤実盛らの計らいで信濃国へ逃れたという。以仁王の宣旨により義仲は兵を率いて北信の源氏方救援に向かい(市原合戦)、そのまま父の旧領である多胡郡のある上野国へと向かう。2ヵ月後に信濃国に戻り、小県郡依田城にて挙兵する。

鎌倉殿の13人:ストーカー、ここに極まれり? 義時「八重さんの背中が幸せそうなら、私は満足」 視聴者「小四郎ーーーー」(ネタバレあり)

 俳優の小栗旬さんが主演を務めるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(総合、日曜午後8時ほか)第13回「幼なじみの絆」が4月3日に放送された。同回では、八重のことを一途(いちず)に思い、鎌倉と江間を往復する日々を送る義時(小四郎、小栗さん)の姿が描かれた。

 ◇以下、ネタバレがあります

 「鎌倉殿の13人」は61作目の大河ドラマ。脚本は、2004年の「新選組!」、2016年の「真田丸」に続き3度目の大河ドラマ執筆となる三谷幸喜さんで、後の鎌倉幕府の二代執権・北条義時が主人公。野心とは無縁だった若者が、いかにして武家の頂点に上り詰めたのかを描く、予測不能のエンターテインメント作だ。

 第13回では、政子(小池栄子さん)が男児を出産し、頼朝(大泉洋さん)の嫡男誕生に沸く鎌倉であったが、頼朝の浮気が大騒動に発展。激怒した北条時政(坂東彌十郎さん)は伊豆へと戻り、これを比企家の好機と捉えた能員(佐藤二朗さん)は源義経(菅田将暉さん)らに近づく。

 そんな中でも、鎌倉と八重のいる江間を往復する日々を送る義時。八重に半分ストーカー扱いされながらも、「私は好きなのです、八重さんの笑っている姿が。いつか、八重さんに笑いながら『おかえりなさい』と言ってほしい」と思いを伝える。

 迎えた終盤、木曽から戻った義時は、またも土産を手に八重の元へ。「私と八重さんは幼なじみ。私の思いはあの頃からずっと変わりません。私はそれを大事にしたい。八重さんに振り向いてもらいたい。そんな大それたことはもう考えません。振り向かなくても構わない、背を向けたいのなら、それでもいい。私はその背中に尽くす。八重さんの背中が幸せそうなら、私は満足です」と告げると、とうとう八重も「お役目、ご苦労様でございました。おかえりなさいませ」とほほ笑んでみせた。

 SNSでは義時と八重のやりとりに対して「鎌倉殿の初恋をこじらせた男」「なんかアオハルみwww」「あっ。好感度ポイント入った…」「小四郎前向きなストーカー宣言しやがった」「ストーカー、ここに極まれり」などと反応。

 うれし泣きする義時には、「小四郎! 八重ちゃん、笑って『おかえりなさい』って言ってくれたよ!」「小四郎ーーーー良かった小四郎うううううううう!」「とうとう八重さん根負け」「小四郎、良かったね。小四郎…」といった感想の声が次々と上がっていた。

2022年04月03日 ,MANTANWEB

https://mantan-web.jp/article/20220403dog00m200031000c.html

 さて、木曽義仲の周辺には巴御前が有名であるが、実は三人の女性武者空いたと伝えられる。巴御前、山吹御前、葵御前である。このうち葵御前は、砺波山の戦いで討死したと記されている。山吹御前は、義仲最期の戦いの大津の戦いで討死に、そして巴御前に関しては、生きのこって木曽義仲の菩提を弔ったというような話もあるし、鎌倉で朝比奈の妻として迎えられたというような話もある。

この時代であったも女性は基本的には戦に参加しない。しかし、木曽義仲の場合は、当時兵が少なくまた源頼朝のように地方豪族を集めて軍隊を編成したわけではなく、なるべく自前の軍隊を増強するということをしたので、豪族の娘であってもつまり、女性であっても積極的に武士として登用したのである。その中で最後まで残り、その後菩提を弔ったことから、巴御前は有名になったのであろう。しかし、その巴御前の木曽義仲に対する愛は、かなり無償の愛であったことはよくわかる。

今回のドラマでも、秋元才加さん演じる巴御前は「木曽義仲を慕っていて他の男性を近づけない」ということが非常によく表されている。ヤツメウナギを取って「目にいいから木曽義仲に食べさせる」というあたりは、なかなかよい話ではないか。そのような女性に支えられていたということ、もっといえば、木曽義仲にそれだけの魅力があったというようなことになるのではないか。

同じように北条義時の八重に対する愛も、非常に素晴らしい愛ではないか。八重は、源頼朝との間に子供があったという状態であるのに、そのことをすべて飲み込んだうえで、八重をずっと慕っている。八重のために何かしようとしているという姿は、非常に良い物ではないか。何か愛や恋に駆け引きなどをしてしまったりマウントを撮ったりというような話ばかりの最近の恋愛ものよりも、何か無償の愛を捧げ、相手の見返りを求めない姿というのは、なかなか美しい。そのような美しい男女の関係と、一方で、源頼朝のだらしない女性関係がうまく対比され、笑いの中に書かれているのが今回のドラマのすばらしさなのではないか。

源平の時代といえば、基本的には男性中心で、静御前の悲劇ばかりになってしまうような話なのであるが、そのようなイメージではなく、男女の関係や夫婦関係などの家族関係でその中の「些細な事件」から、天下を揺るがす大事件になるというような動きが非常に面白く書かれているのではないか。

宇田川源流

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