「宇田川源流」 アメリカコンサルタント会社の発表する今年の最大のリスクは中国共産党であるという「当たり前」

「宇田川源流」 アメリカコンサルタント会社の発表する今年の最大のリスクは中国共産党であるという「当たり前」


 世界の10大ニュースというのはよくある。このブログでも年末には10大ニュースをやるのであるが、「10大リスク」というのは、ここ数年アメリカなどで言われ始めた概念であって、なかなか日本では目にしない内容である。何よりも「ニュース」は過去のあった内容をそのまま検討し、自分たちにとって印象に残ったものを選ぶという「確定事実の作業」であるが、しかし「リスク」となるとそのようなものではないことは明らかである。

 だいたい「危険」という単語の英文訳は「リスク」と「クライシス」の二つの訳文がある。「そこにある危機」というのは「クライシス」であり、その場合は、その場で逃げなければ死に至るとか致命的な打撃(経済などでも)受けてしまうということが挙げられる。それに対して「リスク」というのは「漠然とした危険」とか「不安」というように訳すべきであり、そもそも切迫した危機に対しては使わない。

 つまり「「10大リスク」とは「10個の漠然とした不安」ということであり、つまりは「このまま行けばアメリカにとって脅威になる」という物ではあるものん、すぐに戦争になるなどの「差し迫った危機」とは認識していないということになる。もっと端的に言えば、「冷戦中の敵対国」とか「漠然とした潜在的敵対関係」ではあるものの「宣戦布告をして、すぐにミサイルが飛んでくるような関係ではない」ということである。

 昔、ブッシュ大統領はこのような関係において「悪の枢軸国」といい、北朝鮮とイランとイラクの参加国を挙げた。しかし、残念ながらそのあとのオバマ政権はそのようなことは全く関係なくオバマケアなどを行っただけであった。このことはイランの核問題や北朝鮮のミサイル問題がオバマ時代の8年間に放置され、また、その弱気なアメリカを見て中国が一気に覇権主義に移行した。また、ロシアはウクライナやベラルーシに圧力をかけていったという時代になったのである。

 そしてトランプ大統領の時代に元に戻ったが、昨年バイデン大統領になった。

 そのバイデン大統領になってから、この「10大リスク」ということが、日本でも報道されるようになったのではないか。

"世界10大リスク"1位は中国

 【ニューヨーク=村山誠】国際情勢のリスク分析を手がける米コンサルタント会社「ユーラシア・グループ」は3日、2022年の世界の「10大リスク」に関する年次報告書を発表した。1位には、中国が新型コロナの感染封じ込めを目指す「ゼロコロナ政策」に失敗し、世界経済や各国の政情が不安定化する事態を挙げた。

 報告書は、「先進国ではワクチン接種の推進などによってパンデミック(大流行)の終息が近付いている」とした一方、「ほとんどの国はより困難な時期を迎えることになる」と指摘した。

 中国国内の消費の落ち込みやサプライチェーン(供給網)の混乱といった影響は世界に波及し、経済不安やインフレの加速、格差拡大などに対する不満が、各地で政情不安を引き起こす恐れがあると警告した。これを「ノー・ゼロコロナ」と表現した。

 2位としたのは、国家や政府の力が及ばない「巨大IT企業の影響が強まる世界」のリスクだ。デジタル空間では一握りの巨大IT企業が主役となり、個人の思考にも影響を与えると指摘。米国では11月の中間選挙を前に、デジタル空間に誤情報がさらに広がり民主主義への信頼が損なわれると予測。デジタル分野において米中の緊張が高まるだろうとの懸念を示した。

 3位には「米中間選挙」を挙げ、トランプ前大統領の2024年米大統領選への出馬を左右するだけでなく、「歴史的な転換点となる」とした。民主党のバイデン大統領の支持率が低下する中、野党共和党が議会上下両院の多数派となる可能性があると分析した。そして民主党と共和党のどちらが勝っても、「不正選挙だ」との批判合戦となり、混乱や暴動が起こる恐れがあるとした。

 4位には「中国内政」を挙げた。今年後半の共産党大会で習近平(シージンピン)総書記(国家主席)が異例の3期目政権に踏み出すことが確実視されており、習政権に対するチェック機能がほとんどないと指摘した。

 5位は「ロシア」で、ウクライナ情勢を巡るプーチン大統領の次の一手に注目し、米露関係は極めて危険な緊張状態にあるとした。6位には、核合意の立て直しを巡り、対外強硬姿勢を崩さない「イラン」を選んだ。

 7位には「脱炭素政策とエネルギー政策の衝突」、8位には「世界の力の空白地帯」、9位には「価値観の衝突に敗れる多国籍企業」、10位には「トルコ」を挙げた。

 ユーラシア・グループは、国際政治学者イアン・ブレマー氏が社長を務め、戦争や政情不安が起きる危険性など、地政学的リスクの分析に定評がある。

2022年01月03日 20時58分 読売新聞

https://news.nifty.com/article/world/worldall/12213-1406079/

 仮想敵国がいる国において「リスク」というのは仮想敵国の存在そのものであり、また、仮想敵国の発展的な行動はすべてリスクになる。つまり。仮想敵国の発展は、その発展した国力が全て自分の国に向かってくるということを意味しているからに他ならない。

 また、その仮想敵国が小さな国であるには、そのようなリスクにはならない。それはもしもその小さな国と武力衝突を伴う戦争になった場合も、実際には、その武力衝突の被害が限定され、リスクとはならないし、そのような事前の動きを察知してその時に事前に行動を封じてしまえば、問題にはならないからである。つまり、仮想敵国があり、それなりの希望の場合に、その仮想敵国の受動がリスクにつながるということになる。

 さて、アメリカの研究機関なので、アメリカ政府ではないという前置きをしながらも、アメリカの場合、このような研究機関が広報機関の役目をする場合が少なくないので、そのような意を込めて考えておく。

 その意味で1位4位に中国、2位にGAFA、5位がロシアで6位がイランということになっているその上なんと10位にはトルコが入っているのである。要するにトランプ大とうりょの時代から考えて「アフガニスタン」「イラク」「シリア」が抜けて、その分ロシアが入り、中国とは経済的な面だけでなく、全面戦争的になってきたということになる。それは4位に内政問題が入っているということから、「中国の国力発展そのものがアメリカにとってのリスク」ということを意味しているからに他ならない。

 このように考えれば、様々な意味で現在のバイデン大統領の政策が、「アメリカにとって敵を増やす」つまり「世界大戦に近づく」政策であることはなんとなく理解できるのではないか。

 そしてそのことがわかってきたことによって「アメリカ国内の分断」が発生し、「アメリカの中間選挙」が大きなリスク項目になるのである。先ほども開設したように「リスク」というのは「不安」とか「不安定要素」であり、「確実な危険の存在」ではない。つまり、中国(実際には1位は中国のゼロコロナの失敗となっているのであるが)の問題が非常に大きく世界を不安定にさせているということになる。

 さて、中国とロシア、単純に台湾問題や南シナ海問題とウクライナ・クリミア半島問題、そしてイランの核問題というような内容が挙げられることになり、そのことを悪化させた要因のであるオバマ大統領時代の副大統領であったバイデン氏が、それを解決しなければならない、そのリスクに対処しなければならないというのも、なかなか困った話である。実際に、その時に日本は何ができるのか。今の岸田内閣、林外務大臣にそのような提案型で、世界をリードすることができるのか。

 日本にとってはそのことの方がリスクなのかもしれない。

宇田川源流

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