「宇田川源流」 なぜ習近平が一人っ子政策を終わらせたのかがわかる現在の中国人民解放軍

「宇田川源流」 なぜ習近平が一人っ子政策を終わらせたのかがわかる現在の中国人民解放軍


 数年前の話、中国が一人っ子政策を止めた。とりあえず漢民族であっても二人までは子供を持って良いということにし、人口増加抑制路線を終焉させたのである。この時日本の評論家や中国ウオッチャーという人々は、その多くが「経済的な問題」ということを言っていた。私は、当時のブログを見ていただければわかるが、私だけは「軍事的な問題」であるということを主張した。まあ、誰も反論はなかったが、それでも経済的なことをひっこめる人はいなかった。

 単純に、この時思ったのは「日本の中国に関する評論家や中国ウオッチャーという人々のほとんどは、中国共産党の出先機関か、あるいはスパイ機関で軍事的な目的を全く日本に意識させないようにしたのではないかという気がしていたのである。まあ、そのようなスパイ的な評論家も少なくない。しかし、そうではないと思う人も経済の事しか言わない状況であれば、さすがに日本の平和ボケも進んでしまったと、かなり落胆したものである。それ以降、このブログとクローズの勉強会以外であまり中国の事を語らなくしたし、あまりにもばかばかしくなったので、マスコミで物事を話す気もなくなった。まあ、このまま平和ボケを進めるのであれば、日本がどうなっても仕方がないのかもしれない。

 さて、そのような日本の事はまた別の機会に考えるとして、なぜ軍隊ということが問題になるのかを解説しなければならないであろう。単純に考えて、まずは一人っ子であると、その兵士が戦死した場合、その妻、子供、妻の親二人、本人の親二人と合わせて6人の生活の面倒を見なければならない。それだけの戦死遺族年金が必要になる。共産党とすれば、毎年退役軍人の年金のデモが起きている状況の中で、この現実はかなり大きなものである。ましてや海軍が主流になった場合、例えば空母が一隻沈めば1000人の犠牲者になる。つまり6000人の戦死遺族年金が必要になるということになるのだ。

 そのうえ、一人っ子で育っていることから、当然に無理はしなくなってしまうし、また、わがままになってきてしまう。そのうえで、経済的に中国が発展してしまえば、わがままになって、軍隊を辞める人が続出することになる。いざ戦争となっても戦争をする人がいなくなってしまうのである。

中国人民解放軍の7割が「1人っ子」 駄々こねて訓練サボる兵士続出

 中国が前例のない超高齢社会に突入する。中国国家統計局によると、2020年の中国の総人口は14億1178万人。出生率が過去最低となった一方、65歳以上人口は約1.9億人に増え「少子高齢化」が顕著になった。

 2022年にも人口減少に転じる可能性が指摘され、政府系シンクタンクの試算では2050年に60歳以上が5億人に迫ると予想される。

 高齢化が進んで労働力人口が減れば、驚異的なペースで進んでいた「経済成長」も、大きな曲がり角を迎える。

 米・ウィスコンシン大の易富賢研究員は、中国の労働人口が減少するとの見地から、近年は年7~8%である中国の実質経済成長率が、「2030年には3.3%まで低下する」と試算している。

 1978年のトウ小平氏による「改革開放」以降、外資による技術導入と国内の安価な労働力を武器に「世界の工場」の地位を確立してきた。ただ、2000年代半ば以降は農村から都市部への人口流入が減り、沿海部を中心に労働コストが急上昇した。

「中国は2015年には人口オーナス(総人口に占める高齢者や子供の人口割合が高く、経済成長を阻害している状態)に転換しており、国際的に見ても労働力や価格競争力は緩やかに低下を始めました。これまで消費バブルが補っていましたが、いよいよ経済成長の鈍化は避けられなくなるでしょう」(経済評論家の渡邉哲也氏)

 急速な高齢化の進行による社会保障負担の増大、都市部を中心にした不動産価格の上昇による住宅難などもあり、若い世代の不満は鬱積する一方だ。

「体制批判を封じるべく、習近平政権は中国経済の立役者・アリババなどハイテク企業への締め付けを強めた。しかし、共産党の関与が強まれば、企業から技術革新や世界的競争力が失われ、経済にさらにブレーキをかける結果になることが懸念される」(経済誌記者)

 経済大国としての地位が揺らぐとともに、軍事大国としてのポジションにも変化が起きると考えられる。

 党中央軍事委員会の指揮下にある中国海警局や空軍は尖閣諸島周辺で領海・領空侵犯を繰り返し、中国海軍は南シナ海・台湾周辺での軍事演習を活発化させている。海軍は国産空母や強襲揚陸艦の新規建造を進めており、軍拡に余念がない。

 だが、ストックホルム国際平和研究所の推計によれば経済成長の鈍化に伴い軍事費の伸びは鈍化。今後、軍拡を続けられなくなる公算が大きい。

 人民解放軍兵士の7割が両親や祖父母に大事に育てられた「1人っ子」という問題もある。

「2008年の四川大地震の際に『危険だから行きたくない』と駄々をこねた、仮病を使って訓練をサボったといった話は数多くある。士気の低い兵士ばかり増えれば、米国と覇を競うどころの話ではなくなる」(中国事情に詳しいジャーナリスト)

 社会的な競争を好まず、勤労や結婚、出産に消極的で物質的な欲求にも乏しい20~30代の若者を表わす言葉として、中国では最近、「横たわり族」なる言葉が使われ始めた。幼少期からの厳しい競争に疲れ果て、無気力になる中国の若者が増えている。彼らに、5億人の高齢者を支えられるだろうか。

※週刊ポスト2021年7月16・23日号

2021年7月15日 7時5分 NEWSポストセブン

> https://news.livedoor.com/article/detail/20533690/

 人が少ない、高齢化社会という状況であれば、上記のように人がいなくなるということを意味する。「労働人口不足」というだけではなく「戦闘人員不足」ということが発生するのである。

 このようなことを言うと、今の戦争はミサイルの戦争で人員を必要としない、などということを言う人がいる。もちろん、ドローンとミサイルの戦争であるが、しかし、それは「敵の武器」「敵の根拠地」を「破壊する」ということであり、相手の町を占領したり、あるいは相手の首謀者を逮捕するということは、間違いなく、人員を必要とする。イラク戦争の最終であるフセイン大統領の確保も、パキスタンにおけるウサマ・ビン・ラディンの確保も、また一昨年のISの首謀者バグダディの確保も、すべてアメリカ軍が特殊部隊という「人間の兵士」を投入して、殺害し、なおかつ確認している。確認というのは、遠くから打つのではなく、遺体から血液などを持ち帰りDNDで本人であることを確認しなければ、任務が成功したということにならない。影武者や成形した物まね芸人を殺しても意味がないのである。

 このようなことから、どうしても訓練された兵士は必要である。しかし、人が少ない、つまり、兵士の権利が強くなるということは、軍隊の指揮命令系統が乱れる結果になる。そのようなことを解除するためには、間違いなく「余剰人員」つまり「一般の社会に出ても生きてゆけない、軍隊でなければ生活できないような人材を作る」ということになり、軍隊外の部分で、貧しく、軍隊が豊かにして軍隊に入ればよい生活ができるというような幻想を与えなければならないのである。

 しかし、そもそも中華人民共和国は中国共産党の国である。つまり「共産主義」という平等社会であり、個人の権利を最大限に発揮することができる物であり、なおかつ、唯物史観を持っているということになるのであるから、当然に精神論では統一性を図ることはできない。そのために、アメとムチ、特にムチの部分を多くして統一性と命令系統の意地を計らなければならない。しかし、一人っ子で甘えて育った人間には、それが耐えられなくなってしまうということになるのである。

 単純に高齢化社会ということと、少子化(労働人口の現象)という中で、経済発展を維持しながら軍隊を強くするという、全てにおいて背反している内容を行おうとしている。これらは国の内政のどこかで矛盾をきたすことになり、その矛盾をいかに解消するかということになる。兵士がいないことはミサイルやドローンの充実ということになるのかもしれないが、しかし、国内内政の問題はそのような簡単なものではない。最終的には「排外主義」というように国外に戦争をしなければならない。旧ナチスドイツが行った手法と同じだ。祖ようなことが無ければルイ十六世のフランスのように、国内で革命が起きることになる。

 さて習近平がナチス型かルイ十六世型か、どちらを取るかは明らかであろう。では、それに備えたことはできているのか。日本がこのような情報では問われているのである。

宇田川源流

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