「宇田川源流」 連日ニュースになっているがイスラエルでは何が起きている
「宇田川源流」 連日ニュースになっているがイスラエルでは何が起きているのか
連日のニュースというのは昨年からコロナウイルスの事ばかりであって、あまりにもニュース的な価値がなかった。
本来であれば、昨年あった中国の五中全会や全人代など、アメリカの教書演説などは解説付きのトップニュースでなければならないし、また、ウイグルの人権迫害のジェノサイドに関する内容や、あるいは台湾に関する圧力、南シナ海や東シナ海の問題などはかなり大きなニュースであるはずで、これを扱わないのは、日本の報道機関として一体どうなのかと疑いたくなるような話である。
しかし、日本のマスメディアは新聞も雑誌も、テレビもラジオも、まあ、買収しているのか感度が鈍いのか、いずれにせよ、そのような所の内容も全くなく、せいぜいミャンマーの軍事政権の内容しかないのではないか。
そのような中では珍しく、イスラエルのガザ地区侵攻に関してはしっかりと報道している。もちろんそれほどのニュースでもある。このことをめぐって、国連安全保障理事会が開かれ、そしてその安全保障理事会が結論もなく終わったということになっているのである。
このことを理解するためには、「エルサレム」を理解しなければならない。
そもそもエルサレムは「アブラハムの宗教」といわれる「ユダヤ教」「キリスト教」「イスラム教」そのほかの小宗教を含む聖地とされている。ユダヤ教にとっては、エルサレムはその信仰を集めていたエルサレム神殿が置かれていた聖地であり、キリスト教にとっては、エルサレムはイエス・キリストが教えを述べ、そして処刑され、埋葬され、復活したとされる場所、イスラム教にとっては、エルサレムはムハンマドが一夜のうちに昇天する旅を体験した場所なのである。
そのような場所に、戦争などにおいてイギリスは第一次世界大戦の戦費などをユダヤ人のロスチャイルド家に援助を求めた、第一次世界大戦の時期においては、まだエルサレムはオスマントルコ帝国の支配下であり、そこを取り戻すことを条件に資金提供をしたのである。
その後、パレスチナの分割統治などを経て第二次世界大戦後の1947年に国際連合のパレスチナ分割決議において、パレスチナの56.5%の土地をユダヤ国家、43.5%の土地をアラブ国家とし、エルサレムを国連の永久信託統治とする案が決議された。この決議を基にイスラエルが独立宣言をするが、直後に第一次中東戦争が勃発。1967年6月の第三次中東戦争(六日間戦争)を経て、ヨルダンが統治していた東エルサレムは現在までイスラエルの実効支配下にある。イスラエルは東エルサレムの統合を主張しており、また、第三次中東戦争による「再統合」を祝う「エルサレムの日」を設けている。
このイスラエルの建国から、パレスチナは国家としてのていをなすこともできず、祖国奪還音ために武力闘争を行っている。何度か停戦や和平を行っているが、周辺国の圧力がなくなると、またすぐに戦争が勃発することになるのである。
イスラエルの空爆でハマス幹部が死亡 再び多数のロケット弾攻撃
パレスチナのイスラム組織ハマスは12日、イスラエルに向けて再び多数のロケット弾を発射した。この直前には、ハマスが実効支配するガザ地区をイスラエルが空爆し、複数のハマス幹部が死亡し、高層ビルが崩壊していた。
ハマスは、ガザ地区のアルシャルーク・タワーがイスラエルの空爆で破壊されたとし、報復としてロケット弾130発を発射したと明らかにした。
イスラエルの空爆で破壊された高層ビルは、同タワーで今週3棟目。ハマスのテレビ局、アルアクサ・テレビが入っていた。
一方、イスラエル国防軍(IDF)は12日、ガザ地区への空爆で複数のハマス幹部を殺したと明らかにした。ロケット弾の発射施設も攻撃対象にしているという。
戦闘機による今回の一連の空爆は、2014年以降で最大規模だとしている。ハマスは、幹部1人と「他の指導者たち」が死亡したと認めた。
空爆の前には、ガザ地区の住民らに対し、建物から避難するよう勧告が出された。それでも一般市民に死者が出たと、保健当局は話した。
AFP通信によると、11日のガザ地区の空爆では、年少の兄弟2人を含む一家5人が死亡した。兄弟のいとこのイブラヒムさん(14)は、「笑いながら遊んでいたら突然、爆撃が始まった。周りのすべてが燃え上がった」と、当時の状況を涙ながらに説明した。
多数の国民がシェルターに
報道によると、ハマスが報復として発射したロケット弾は、イスラエル南部の数カ所に着弾した。スデロットではアパート群が被弾し、6歳の子ども1人が死亡した。
IDFの説明では、イスラエル各地で12日夜、ロケット弾が発射されたことを知らせるサイレンが鳴り響いた。何百万人もの国民がシェルターに入って避難したという。
地元紙エルサレム・ポストの安全保障担当記者はBBCに、5カ月の幼児を連れて11日夜にシェルターで一夜を過ごした経験を語った。
何百発もの迎撃弾の音と、ロケット弾が近くに落ちる音を聞くのは恐ろしかった」
IDFは13日午前、ガザ地区からイスラエル各地に発射されたロケット弾は、今週に入って対立が激化して以降、約1500発に上っていると発表した。
イスラエル当局によると、同国の兵士1人が12日午前、ガザ地区から発射された対戦車ロケット弾で死亡した。ロードではロケット弾が車に当たり、乗っていたアラブ系市民2人が死亡したという。
治安維持に軍派遣も
双方の攻撃は10日以降エスカレートしている。 同日以降の死者は、ガザ地区で子ども14人を含む65人以上、イスラエルで7人となっている。ハマスが管轄するガザ地区の保健省は、同地区の負傷者は360人を超えているとしている。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は12日夜、暴力的な行動が見られる都市で秩序を保つため、軍を派遣して警察を支援する考えを明らかにした。
イスラエル紙タイムズ・オブ・イスラエルによると、ネタニヤフ氏はビデオ演説で、ここ数日の攻撃で「無秩序」状態に陥っていると主張。
「アラブ系市民の暴徒がユダヤ人を襲う正当な理由などないし、ユダヤ人の暴徒がアラブ系市民を襲う正当な理由もない」と述べた。
ネタニヤフ政権は、国外の敵や国内の暴徒らから国民を守るため、あらゆる対応を取ると宣言している。
一方、パレスチナ自治政府は、イスラエルの「軍事侵攻」が「すでに窮地にある200万の人々を深く傷つけている」とツイッターで非難した。
国連は「全面戦争」を警告
国連はパレスチナとイスラエルが「全面戦争」に陥る恐れがあると警告している。
国連安全保障理事会はこの問題を協議しているが、声明の発表には至っていない。
アメリカのジョー・バイデン大統領は12日、イスラエルのネタニヤフ大統領と電話で協議し、イスラエルの安全保障を支持すると伝えた。一方で、「穏やかな状況の持続」を回復させる必要があると強調した。
バイデン氏はホワイトハウスで記者団に、「早期の収束を期待し願っている。ただ、イスラエルは何千発ものロケット弾が飛来しており、自国を守る権利がある」と述べた。
アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は、イスラエルとパレスチナの両当事者と協議するため、代表団を派遣したと明らかにした。
一方、ロシアは「中東カルテット」と呼ばれるアメリカ、欧州連合(EU)、国連、ロシアの4者による緊急協議が必要だと訴えている。
ロシア外務省は声明で、イスラエルが東エルサレムで「暴力行為」と「アラブ系住民に対する違法な措置」をやめれば停戦に応じる用意があるとする、ハマスの広報担当の発言を紹介した。
交戦激化の経緯
今回の攻撃の応酬は、東エルサレムで数週間にわたって、イスラエルとパレスチナの人々の間で緊張が高まっていたことが背景にある。イスラム教とユダヤ教の両方にとって聖地とされている場所で、衝突が起きていた。
イスラエルの警察によると、ユダヤ人とアラブ系市民が混住するイスラエルの地域で、12日夜に374人以上が拘束された。警官36人が負傷したという。
イスラエルのメディアは、同国各地でユダヤ人とアラブ系市民の両方が暴徒らに襲われていると報じた。
イスラエルは1967年の第3次中東戦争以来、東エルサレムを占領し、エルサレム全体を国の首都としている。しかし、国際社会の大半はこれを認めていない。
一方のパレスチナ自治政府は、東エルサレムが、将来建設する国家の首都になるとしている。
近年では、イスラエルとパレスチナが領有権を争う東エルサレムのシェイク・ジャラー地区で、イスラエル人入植者がパレスチナ人の住人に立ち退きを迫っていることから、双方の緊張が高まっている。
(英語記事 Rockets pound Israel after Gaza militants killed )
2021年5月13日 12時50分 BBC News
昨年まではトランプ大統領が武力的威圧と、交渉によって抑えていた。暴発しそうなイスラエルに対して大統領個人の発言で「エルサレムを首都と認める」と発言して留飲を下げさせ、一方パレスチナに対してはトルコやサウジアラビアに会う力を書けることによって治めていたのである。
サウジの、ムハンマド皇太子のトルコ国内によるカショギ氏暗殺事件など、そのようなことを使いながら、様々な手段を講じていたということが言える。しかし、バイデン大統領になってそのような圧力がかからなくなった。トランプ大統領とバイデン大統領の外交力の差が如実に出たような感じになったと言える。
そのうえで4月中旬にイスラム教徒の念の一階の断食月であるラマダンが始まり、その中でパレスチナ人の聖地巡礼が行われた。イスラム教の聖地といえば「メッカ」であるが、しかし、パレスチナ人にとってはわざわざ遠くメッカに行くよりもエルサレムの方が近い。
そこで、4月の半ば東エルサレムで夜間にパレスチナ人とイスラエル警察の衝突が起きた。これは、バイデン大統領によるパレスチナ人への睨みが効かなくなったことから、パレスチナ人が秩序を持たず、ままたはエルサレムにおける集会などを目的として殺到したことによる。
イスラエル側も、基本的にはイスラム教徒の流入をすべて認めていないわけではなく、政治的な活動をさせないということに他ならない。
これは、例えば皇居の乾通通り抜けをするときに、中でいきなり天皇制反対のデモなどをする人間が出てくれば、警察によって排除されるのと同じである。
警察側がパレスチナ人の集会を阻止するため旧市街の入り口の1つ、ダマスカス門にバリケードを設置して封鎖した。これに対して抵抗するパレスチナ人はバリケードを集会の自由に対する制限措置とみなし、警察は秩序維持のために配置についていると主張した。
衝突は旧市街のアルアクサ・モスクがある地域にも拡大。アルアクサ・モスクは、イスラム教にとって3番目に神聖とされ、イスラエルとパレスチナの対立に最も影響を受けやすい場所にある。この地域や旧市街近辺の衝突により、ここ数日で数百人のパレスチナ人が負傷している。
ガザを実効支配するイスラム組織ハマスや他の武装組織はイスラエルに対して、エルサレムで起きた暴力的な衝突は「レッドラインを超えた」と主張し、ロケット弾による報復を示唆した。
それが今回のロケット弾攻撃である。そのロケット弾攻撃に対して、イスラエルが「虐殺」であり和平交渉違反であるとして、空爆、それでもロケット弾攻撃が毎日3000発(報道による)続いていることから、イスラエルは陸上部隊を投入したということになる。
ハマスはなぜそのようなことを行ったのか。当然にトランプ大統領による庇護がなくなった、イスラエルのネタニヤフ首相体制を潰し、そのうえで、政局の不安定をついてエルサレムにおける優位性を確保するために画策した。これに対して、ネタニヤフ首相は、政局を作らせないために、国内の意見を統一し、軍を起こしたということになる。
バイデン氏はホワイトハウスで記者団に、「早期の収束を期待し願っている。ただ、イスラエルは何千発ものロケット弾が飛来しており、自国を守る権利がある」と述べた。
アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は、イスラエルとパレスチナの両当事者と協議するため、代表団を派遣したと明らかにした。<上記より抜粋>
このようにしながらも、結局収まっていない。バイデン大統領は、無駄にロシアに敵対してしまったので、安全保障理事会においても主導権を握ることができない状態であるといえる。まさにそのことこそ、大きな問題なのではないか。
イスラエルの戦争が日本において直ちに問題になることは少ないが、しかし中東戦争になり、それが中東全体に飛び火するようなことになれば、日本は大きな資源的または経済的な問題を抱えることとになる。
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