「宇田川源流」 「歴史から学ぶ」ということの重要性と現代の政治
「宇田川源流」 「歴史から学ぶ」ということの重要性と現代の政治
私の新刊で上梓させてただいた「備中松山藩幕末秘話 山田方向伝」が発売されている。すでにAmazonなどで発売されているので、できれば読んでいただきたいと思っている。この本に関しては、かなり「ドラマ化」を意識した造りになっており、真実性よりもドラマ性、テーマ性を重視するということを行っている。
さて、この「山田方谷」に関して、知っている人は非常に少ない。現在の岡山県高梁市にあった「備中松山藩」といわれても、あまり多くの人が知らない。何をした人なのか、どんな人なのか、そもそもどの時代の人なのかも全く知らないという人が少なくないのではないか。これは私が行った他の小説の中でもなかなか難易が高いものではないかという気がするものである。
多分、司馬遼太郎氏が「竜馬がゆく」を書いたとき、坂本龍馬はそんなに有名であったであろうか。吉川英治氏が学生時代であったとき、同級生から「宮本武蔵を知っているか」というように言われ、「今は答えられないけれども、そのうちしっかりと調べて教えてやる」というようなことを言った。それが、後になって「宮本武蔵」という小説になるのだ。
小説家にとって、自分がスポットライトを当てた人物が、世の中で広まってゆく姿は面白い。実際は、「現代の人々に読んでもらって、その人々の感覚にあった内容にする」ということを考えているのであるが、しかし、読者からすれば時代を旅しているような感覚になる。それが歴史小説なのである。
では、その歴史小説だけではなく、歴史から現代の人が学ぶことというのは何か。
当然に、現代の人が、当時から技術や理数系の内容の事を学ぶということはない。技術や科学は、間違いなく「日進月歩」であり、絶対に現代の方が昔よりも進歩してしまっていて、学ぶことは少ないのである。
しかし、「今も昔も同じ人間」なのである。そのことから考えれば、「精神」「苦難への立ち向かい方」「人間関係」などは、ある程度社会環境が異なるとは言えども、人間であることは同じ。また、日本史から学べば、生活環境などもほとんど同じである。このように言うとかなり変わっているという人も少なくないのであえて言っておくと、例えば水を買ったりする必要はないということや、餓死する人が少ないということなど、共通性は少なくない。
このように「精神」「魂」というところを学ぶということでは、間違いなく歴史から学ぶということが最も良いのである。
方谷の大河ドラマ化へ情報発信を 超党派議連が東京で総会
幕末の備中松山藩の財政改革に尽力した儒学者山田方谷(1805~77年)を顕彰する超党派の「山田方谷の志に学ぶ国会議員連盟」は7日、東京・永田町で総会を開き、NHK大河ドラマ化に向け、方谷の情報発信に努める方針を確認した。
役員改選で新会長に就任した加藤勝信官房長官(衆院岡山5区)は、ドラマ化を目指して官民で取り組んだ100万人の署名運動に触れた上で「方谷先生の思いを知ってほしいというのが活動の原点。この時代、次の世代にその教えをつなげていきたい」とあいさつ。会長代行の逢沢一郎氏(同1区)が「記者会見や懇談、国会での質疑など、事あるごとに方谷を話題にしていこう」と呼び掛けた。
同議連は県関係国会議員を中心に2013年に発足。この日は高梁市出身で、署名運動実行委員会の共同代表を務めた橋本徹みずほフィナンシャルグループ名誉顧問らも参加した。
(2021年04月07日 18時33分 更新)山陽新聞
友に求めて足らざれば天下に求む。 天下に求めて足らざれば古人に求めよ。
これが山田方谷の言葉であるとされている。この言葉は、彼の弟子であり北越戊申戦争の中心的な人物である河井継之助が、山田方谷の所に弟子入りした時に、その山田方谷が河井継之助に渡した言葉である。
その言葉を考えれば、この山田方谷が「本から学んだことが多い」ということをもっとも高いということを意味している。そして、そのようにして江戸時代に、過去から学んだ人から、また新たに学ぶということになる。まさに、「歴史は繰り返す」であるが、山田方谷は、中国や室町時代などから学び、そして現代の人は江戸時代から学ぶのである。
「心」「魂」が最も重要なのは、現代の政治の世界でも同じである。「政治」は、「仁術」といわれるが、まさにその「仁」を重要視をするのは重要なのではないか。
さて、今の政治の中で最も大きな力を発揮しなければならないのは「仁」である。まさに、コロナウイルス禍の中で、そのような内容を考えなければならないのではないか。
「平和」を愛すること、まさに「平和」であることは、「平和を守るために戦う」ということも、そして「戦う覚悟をもって平和を尊ぶ」ということも最も重要であるし、また「仁」は「民に対する心」である。まさにその「民に対する心をどのようにするか」ということを、今の政治家はどうあるべきか、そしてそれを国民の中で、どのように考えるべきか。そのような事こそ、今の政治家に最も必要なのではないか。
知っている人は知っているが、私は「方谷新聞」というボランティア新聞を作っている。その中で「現在の政治に山田方谷がいたらどのようになるのか」という特集を書いているのであるが、まさに、今の政治家の中に「至誠測怛」の心、思いやりの心が必要なのではないか。それは「政治家」だけではなく、マスコミ諸氏も同じであるし、国民もお互いに政府対しても思いやりの心を持って接するべきである。
今回できたのは「国会議員の議員連盟」であるが、このような思想は、しっかりと国民の中に残してゆくべきではないのか。
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