「宇田川源流 日本万歳!」 規律意識の高い日本国民の緊急事態における「功罪」としての飲食業界の悲劇

「宇田川源流 日本万歳!」 規律意識の高い日本国民の緊急事態における「功罪」としての飲食業界の悲劇


 月曜日は「日本万歳!」をお届けしている。日本人が何気なく毎日行っていることや、日本人が「普通に」思っている価値観、または生活習慣や、何か事件に関する感覚。実はそれが世界に比べてかなり素晴らしいということが最近になって明らかになってきている。日本人の「当たり前」は世界にとって「非常識なほど素晴らしい」とされているのである。

 また、日本人はそのことについて全く「すごい」とは思っておらず、「当たり前」と思ってしまっているのであり、また「なぜすごいといわれるのか」というような感覚になってしまうのである。

 さて、日本の場合、よく世界から「経済一流・政治三流」といわれることがある。まあ、全く失礼な話であるが、冷静に見てみて、そのように思うことも少なくない。

これは「民主主義」という中で、日本人がまともな政治家を選んでいないのではないか、というような日本人を卑下するような話に聞こえるのであるし、また私もそのように考えていた。しかし、実際はそうではない。

この「経済一流・政治三流」という言い方は、言い方は悪いが「ぼんくらな政治家を選んでも国が落ち着いており、国民一人一人のモラルと全体としての秩序が整っているために、経済活動は政治などとは関係なくしっかりしている」ということになるのである。

 もう少し違う言い方で言えば「国民一人一人と為政者として選ばれる政治家のレベルがあまり違わず、政治家の指導力が目立たないし、また指導をする必要もない」ということに過ぎない。国民一人ひとりの考え方が実は「帝王学」(儒学。朱子学というのはもともとは君主に対して帝王学を授ける学問であった)の素養がしっかりとあり、その立場で物事を考えられるということになるのである。

 しかし、ときにはそのような「日本人のモラル」が、功罪を生み出すこともあるのだ。


解除1週間 飲食"客足戻らず"

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が解除されて29日で1週間となる。飲食店への営業時間短縮要請は1時間緩和されて午後9時までとなったが、飲食店関係者からは「客足は戻っていない。ワクチン接種が広がらないと……」という声が上がっている。【山越峰一郎】

 埼玉県のJR大宮駅東口の目の前にあるアーケード街「すずらん通り」。25日夜に取材に訪れると、飲食店内には8割ほどの人が入っているように見えた。NTTドコモによると、この日の午後3時時点の大宮駅西口の人出は、感染拡大前の2020年1~2月の平均より5・5%多かった。

 居酒屋「鐘屋(かねや)」には6組12人の笑い声があふれていた。だが、オーナーの池田和靖さん(64)は「多少はお客さんが増えたが、もう少し期待していた」。36席あるが、社会的距離を取るため4人用の席を2人用にしており、席数は実質半減している。

 「県や国がどうではなく、ワクチン接種が広がり、安心できないと」と池田さん。店は透明ビニールシートをのれん代わりにして、ドアは開けたままだ。時短要請解除後も、当面は現在の席数を維持するつもりという。

 ラストオーダーの午後8時。店内にいた5組13人の客からは、ハイボール計6杯の注文が入った。飲食時以外はマスクをして会話をする客もいた。

 大宮の不動産会社に勤める男性2人組は、今年初めて飲みに来たという。上司(41)は「『飲みニケーション』も大事。職場の外でねぎらったり、相談を受けたりすることができず仕事にも影響していた」。部下(28)も「午後9時までになり、仕事の終わりに行けるようになった」と話す。これから上司は神奈川、部下は栃木に帰宅するという。

 閉店の午後9時が近づくと、店員が声をかけずとも客は帰っていった。「以前は午前0時まで開けていたが、客足はもう戻らない気がする」。池田さんは複雑な表情だ。

 大宮駅周辺では午後9時以降、多くの店が閉まったが、南銀座通りでは営業を続ける店舗もある。「居酒屋いかがですか」「午後11時まで大丈夫ですよ」。通行人に声をかける店員の姿もあった。

2021年03月29日 08時52分 毎日新聞

https://news.nifty.com/article/domestic/society/12159-0329m040009/


 新型コロナウイルスによって、生活様式が変えられてしまったことによって「三密」を避けるということが言われてきた。このことによって、「同一時間に同一空間に多数(不特定・特定を問わない)が集まること」そして「その中で飛沫を拡散させながら話をすること」が、感染の原因とされている。

まあ、感染症の専門家からすれば、そのような感染症防止の基本であることはわかるが、実際には、今回の新型コロナウイルスに関しては、その「発症しない保菌期間」があり、そのことによって自分でも気が付かないうちに他人に感染させているということが問題になる。

つまり、三密状態で誰かに感染させられた場合、自分が発症していない状態で、家に帰ってまたは他の場所に行って第三者に感染させてしまう可能性があるということを意味している。これによって「気を付けていてもクラスターが発生する」というメカニズムがあり、いつまでたっても飲食や観光に客が戻らないということになるのである。

 さて、日本人というのは、このようなことに対する「理解力」が優れている。はっきり言ってしまって、日本人というのは、それがある程度俗説でしかなく、科学的根拠がなくても、ある一定の集団(村社会というような言い方をしてもよいのだが、ママ友などを含める特定の集団を指す)の中におけるコンセンサスのある「常識」という価値観に左右されることになる。

そのことによって、その「村社会」の倫理観によって左右され、そして、そのことによって規律が守られるという行動になる。そしてそれが法律的に問題がなくても「村八分」という、その特定集団の内部の制裁が行われるという特殊社会になるのである。

 さて、このような特殊な倫理観が、また他の村社会の影響を受けて多層構造的に同一価値観を生み出すことになる。日本人の「みんながしているから、私もやってかまわない」、まあ古いギャグで言えば「赤信号・みんなで渡れば・怖くない」というのは、まさに、この多層構造的な同一価値観によるものであり、また国家などに裁かれるよりも村社会的制裁の方が恐れられているということなのである。

 そのような価値観があることから、日本人は「ある程度の情報」と「村社会的な忖度」によって動く。暗黙の了解などはまさにそのような価値観によるものに他ならない。しかし、そのことは、「何か禁止事項を解禁すること」に対しては最も遅く作用する。

 この特徴は今回のコロナウイルスでも同じで、「国がお墨付きを付けたGoToキャンペーン」になれば、一気に「みんなが旅行や外食をする」から、私も外食を行うことになるが、そのようなお墨付きがなければ、過去の価値観を引きずり「もしも、はみ出した行為をして感染したら恥ずかしい」というような心理が作用して、客足が戻らなくなるということを意味しているのである。

 安倍首相の時代に「GoTo」をやったというのは、まさにそのような日本人の心理をしっかりとわかっていることによる政策であったが、残念ながら菅政権はそこまで日本人のことをわかっていないのかもしれない。そのことは、今回のような「日本人の規律性が飲食店の収益や経済構造よりも価値観が上になり、客足が思ったよりも戻らない」ということにつながるのである。

日本が「政治が三流」でありながらも住みやすい国であるということ、つまり、それだけの村社会的多層構造による同一価値観は、逆に今回のような緊急事態には最も経済復興の妨げになるのである。

 そのような日本人の特性を生かした経済政策や企業PRをしてもらいたい。

宇田川源流

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