「宇田川源流」<現代陰謀説> 中国が「法律戦」を絡めて尖閣を取りに来ているのに日本政府は手をこまねいているだけという不思議

「宇田川源流」<現代陰謀説> 中国が「法律戦」を絡めて尖閣を取りに来ているのに日本政府は手をこまねいているだけという不思議


 金曜日は「現代陰謀説」をお届けしている。陰謀というのは、相手そのものの動きを利用し、また社会を巻き込んで行うというような感じになる。そしてそのままその動きが「既成事実化」してしまい、そうではない、当初の原則通りの動きがそのままおかしな話になるような感じになっている。そのような工作を行うということを宣言しているのが中国の「三戦」といわれるものである。

 この件に関して1999年に中国空軍の喬良、王湘穂は「超限戦」という本を出版し新しい戦いに関して提案している。日本では、そもそも「戦争」ということを拒否してしまい、このような本そのものを全く研究しない。また、日本の保守派も、中国の戦いなどは鼻から相手にしていないというような状況であり、そのような内容に関してあまり検討をしていないのが大きな問題である。

 「超限戦」の中では、25種類にも及ぶ戦闘方法を提案し、通常戦、外交戦、国家テロ戦、諜報戦、金融戦、ネットワーク戦、法律戦、心理戦、メディア戦などを列挙している。そして、このような戦争の原理として、総合方向性、共時性、制限目標、無制限手段、非対称、最小消費、多元的協調、そして全ての過程の調整と支配を挙げている。

 このような戦争は、別に中国に限らずグローバリゼーションの時代の戦争に特徴的なものであり、軍人と非軍人の境界もまたあいまい化する。したがって、本書は、単に戦争手段の多様化を示すだけではなく、それに対応した安全保障政策や戦略の研究の必要を主張している。

 さて、実際にこれらの戦いは2014年のロシアによるクリミア半島の戦いにおいて「ハイブリッド戦争」という言い方で行われている。単純に「国際法にのっとった正規軍の戦い」ではなく、テロや陰謀による戦いをそのまま行っているということになる。陰謀はこのように身近に行われているのである。

 その「超限戦」を書いた中国は、いま日本に何を仕掛けているのか。そのことを示すような新聞記事が出ていたので、そのことに関してみてみよう。

中国の狙いは香港から尖閣へ 力だけでは奪い取れないと国内法を整備

 中国がコロナ禍の混乱の隙を突くように日本の領海への侵入を繰り返し、東シナ海の緊張が高まっている。

 中国海警局の船舶は昨年1年間のうち333日間、尖閣諸島の日本領海に接する「接続水域」を航行し、そのうち29日間は領海に侵入した。

 今年2月1日に中国政府が海警局に武器使用権限を与える海警法を施行し、海警局を「第2の海軍」化すると行動はさらに活発化する。2月16日には海警船2隻が日本領海に侵入、尖閣周辺で操業していた日本漁船に接近し威圧行動を取った。

 そうした中国の海洋進出強化には日本より欧米が警戒を強めている。中国の香港での民主化運動弾圧に厳しい姿勢を取る英国は、最新鋭空母「クイーンエリザベス」を中心とする空母打撃群を沖縄など日本近海に派遣し、中国を牽制すると報じられた。

 フランス海軍のフリゲートは2月19日に米国海軍、海上自衛隊の補給艦と共同訓練を行なった。5月には日米仏の艦船と陸上部隊が南西諸島の無人島で共同の「上陸訓練」を行なう予定だ。23日には米国防総省が「(領海侵入を)やめるよう求める」と言明した。欧米が中国封じ込めに動き出し、尖閣がその“最前線”になっている。

 海洋問題研究者の山田吉彦・東海大学海洋学部教授は尖閣危機のレベルが上がったと指摘する。

「中国の海警法のターゲットは日本の尖閣諸島です。中国はベトナムやフィリピンとの間で領土問題がある南シナ海の南沙諸島には人工島を建設し、法律がなくても力ずくで不法占拠した。しかし、尖閣は力だけでは奪い取れない。だから法と秩序を前面に出す日本に対して、中国はまず国内法を整備する方法を取った。いわゆる法律戦です。

 海警法では侵入する日本漁船や海上保安庁の船をどんな手段を使っても排除できることになっている。世界に対し、あくまで国内法の“法と秩序”に基づいて自国領土を守るため実力行使をするのだという口実を整えた」

 ところが、肝心の日本政府の動きは非常に鈍い。加藤勝信・官房長官は領海侵入に、「遺憾である」と繰り返すだけで、茂木敏充外相は海警法について、「国際法に反する形で適用されることがあってはならない」と中国に“お願い”する始末だ。

 その間に中国は尖閣周辺に海警局の船舶を常駐させ、日本漁船を排除する姿勢を見せ、いまや尖閣諸島を実効支配しているのは日本か、中国なのかわからない状態だ。

「次は島に上陸し、占拠しようとすると考えるべきです。香港でも、国際社会は中国が強行手段を取るとは思わなかったが、躊躇なく実力行使に出た。尖閣も同じ目に遭う。しかも、いったん上陸されると海上保安庁では対処できない。日本は今のうちに環境調査とか、慰霊のための上陸とか、島の実効支配体制を世界に知らしめる運動・行動をすべきです」(山田氏)

※週刊ポスト2021年3月12日号

2021年2月26日 16時5分 NEWSポストセブン

https://news.livedoor.com/article/detail/19760150/

 中国人民解放軍政治工作条例とは、中華人民共和国人民解放軍における政治工作を規定した法規である。このようなものが中国では正規に採用され、そして日本を含め多くの国に工作を行っている。中国人民解放軍周桓上将によって草案が作られた。中国軍事略年表(1927~1996)によれば草案策定は1954年4月15日。後に毛沢東が了承し、1963年3月27日には中国共産党中央委員会(中共中央)より公布され、1964年8月1日に人民出版社より一部80ページ16元にて2万分印刷された。

 2003年12月5日には修正され、解放軍に「三戦」の任務を与えることが明記された。この「三戦」については国際社会からの注目を浴び、各国研究機関・軍事機関の調査研究対象となっている。解放軍の各部隊は、本条例に基づき作戦を実施しているとされる。また、2010年9月13日にも修正版が告知された。そのため、政治工作条例(2003)、政治工作条例(2010)と表記される例もある。

 三戦(さんせん)とは、世論戦(輿論戦)、心理戦、法律戦の3つの戦術を指している。平成21年版防衛白書によれば、

「輿論戦」は、中国の軍事行動に対する大衆および国際社会の支持を築くとともに、敵が中国の利益に反するとみられる政策を追求することのないよう、国内および国際世論に影響を及ぼすことを目的とするもの。

「心理戦」は、敵の軍人およびそれを支援する文民に対する抑止・衝撃・士気低下を目的とする心理作戦を通じて、敵が戦闘作戦を遂行する能力を低下させようとするもの。

「法律戦」は、国際法および国内法を利用して、国際的な支持を獲得するとともに、中国の軍事行動に対する予想される反発に対処するもの。

とされる。これらを通して経済・文化交流を通じて世論誘導あるいは分断をし、敵の戦闘意思を削ぎ、戦わずして中国に屈服するよう仕向けるものを目的としている。

 さて、日本ではすでにこの三戦に負けてしまっている政治家が数多くいるばかりか、買収されてしまっているような人も少なくない。まあ、あえてここで名前を挙げる必要もないので、国会などの話をよく見てみればよいのではないか。

 、肝心の日本政府の動きは非常に鈍い。加藤勝信・官房長官は領海侵入に、「遺憾である」と繰り返すだけで、茂木敏充外相は海警法について、「国際法に反する形で適用されることがあってはならない」と中国に“お願い”する始末だ。<上記より抜粋>

 このような対応しかできないあたりで、何が出てきているのか見えてくるようなものではないか。

 イギリスやアメリカ、フランスまでもその問題に大きく問題視している状況であるのに、党の日本がこれでよいのであろうか。まさに「日本がこのようになっている」ということとこそ、すでに政治工作で陰謀的に完全にやられてしまうということであり、また、そのことを全く指摘しない日本のマスコミは、完全に役に立たない状況にあるといえるのではないか。

宇田川源流

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