「宇田川源流」 ミャンマーで軍事クーデターという報道の問題点とその根幹
「宇田川源流」 ミャンマーで軍事クーデターという報道の問題点とその根幹
2021年2月1日にミャンマーにおいてミャンマー軍によるクーデターが行われた。
さて、その解説をする前に、まずミャンマーという国について知っておくことにしよう。ミャンマーは東南アジアの国で、とりあえずは仏教国。首都はネピドー、最大の都市はヤンゴン(ラングーン)である。北西にバングラデシュとインド、北東に中国、東と南東にラオスとタイ、南と南西にアンダマン海とベンガル湾に接している。
ミャンマーは東南アジア本土最大の国であり、面積ではアジア第10位の国である。2019年の人口は約5,404万人。英植民地体制崩壊の流れの中で1948年に英連邦に参加せずビルマ連邦共和国として独立。1962年のクーデター後、ビルマ社会主義計画党のネ・ウィンの独裁政権となる。1974年に国名をビルマ連邦社会主義共和国と改名。1988年に民衆の民主化運動でネ・ウィン体制は崩壊したが、これを危惧したミャンマー国軍がクーデターを起こして軍事政権を開始し、国名をミャンマー連邦に改名した。
2016年3月にはNLDのティンチョーが大統領に就任した。NLDがティンチョーを大統領に擁立したのは、軍事政権下で制定された憲法の規定ではNLD党首のアウンサンスーチーは、外国人と結婚していることから大統領就任資格がないため、アウンサンスーチーの「代理」としての意味合いであった。
つまり「アウンサンスーチー」と「軍部」の戦いであるといえる。しかし、その戦いというのは一体何なのか。単純に「スーチー」という人物との戦いなのかどうか。その辺は非常に大きな疑問になるという気がするのである。
今回のクーデターの理由を見れば、単純に「スーチーが嫌い」という話なのかという気がする。もちろん、個人的にというよりは政治的にということが大きな問題になるのではないか。その辺の公私混同は避けるのが前提として。さて、そのうえで「民主主義の選挙そのものの不正」ということが大きく上げられている。
何かアメリカの大統領選挙と似ているのではないか。
スー・チー氏声明か「立ち上がる必要ある」
クーデターが起きたミャンマーで、軍が情報当局を通じてフェイスブックを遮断するよう通信各社に命じました。軍への反発を抑え込む狙いがあるとみられます。
ヤンゴン在住の日本人「フェイスブック止まりましたね。古いのしか出なくなったんですよね。メッセンジャーの方はこんな感じで真っ白になっちゃいました」
ミャンマー軍は情報当局を通じ、「間違った情報が広まり国が不安定になる恐れがある」として、7日までフェイスブックを遮断するよう通信各社に命じました。SNSで広がる軍への反発を抑え込む狙いとみられます。
フェイスブック社は「人々が家族や友人と連絡をとり、重要な情報にアクセスできるよう接続の復旧を要請する」とコメントしています。
こうした中、軟禁されているアウン・サン・スー・チー氏が書いたとみられるメッセージがフェイスブックなどで拡散しています。
「私たちの国は立ち上がる必要がある。すべての市民が強くあろうと行動していることをうれしく思う」と書かれていて、スー・チー氏に近い複数の関係者も本物とみられるとしています。
ミャンマーで広がる軍への抗議行動に賛同の意を示したものとみられます。
2021年2月4日 17時55分 日テレNEWS24
https://news.livedoor.com/article/detail/19645042/
昨年の11月の時点で、すでに、選挙における公平性ということで問題化されている。記事全文掲載はしないが、昨年のBBCの記事で「ミャンマー総選挙、アウンサンスーチー氏率いる与党が過半数 公平性に疑問も」(2020年11月13日:https://www.bbc.com/japanese/54927217)というような記事が出てきている。その中を一部抜粋すれば「今回の選挙はロヒンギャを初めとする多くの民族マイノリティーが投票できない仕組みだったことから、総選挙そのものの信頼性を疑問視する声もあがっている。」というように、選挙制度そのものに大きな疑問が出ているということになるのである。
さて、昨年来民主主義そのもの、または選挙の不正ということで国内が荒れていることが少なくない。中国の香港にベラルーシ、そしてアメリカ、今回のミャンマーもそうである。
このように考えれば民主主義そのものの問題が非常に大きなことになっているのではないかという気がする。民主主義において、その投票行動や選挙権被選挙権などにおいて、何らかの作用が入れば、不公平ない結果になってしまうということになる。工作する側も何らかの形で民主主義の立候補の取り消しや、あるいは、その資格はく奪、そのうえで選挙管理委員に介入すればそれで工作が完了し、その議員または大統領の任期期間中はあまり大きな変化なく「工作後政権」ができることになるので、あまり大きな力を必要としない。
さて、今回のミャンマーの選挙が工作であるかどうかは別にして、実際にスーチーがイスラム教のロヒンギャ民族に対して、「不法移民」との扱いをしていることから、実際に長期間国民として認められていたにもかかわらず、スーチーの関係する政権になっってから不法移民扱いになり12人の立候補のうち、6人が立候補取り消しになり、3700万人の有権者のうち200万人が選挙権を奪われているという結果になっている。
このことをもって不法選挙である。少なくとも、公平性を欠いた選挙であるという主張になっていることになる。もちろんロヒンギャが、軍隊をバックにした政党に投票したとは限らないが、しかし、スーチーを嫌っていたことは間違いがないということになるのである。
さて、昨年来民主主義に疑問が出てきたことが多い。今回のミャンマーのクーデターには中国共産党がかなり深く関与しているのではないかというようなことが言われている。実際に、上記に例に挙げた香港も、アメリカの大統領選挙も中国の関与が言われている(ベラルーシに関してはロシアの介入とされている)のであるが「民主主義ではない国が民主主義にその民主主義の根幹である選挙制度の信用を毀損する行為に関与する」ということはいかがなものであろうか。単純な内政干渉ではなく、その根幹のところの信用を壊してゆくということは、いったいどのようになるのであろうか。
今後「選挙」そのものも信用できなくなる時代がくるのであろうか。
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