「宇田川源流」 一度住民投票を行って否決されたものを再度住民投票するというのは一回目の投票結果を無視するということではないのかという声の聴かれる大阪都構想再否決

「宇田川源流」 一度住民投票を行って否決されたものを再度住民投票するというのは一回目の投票結果を無視するということではないのかという声の聴かれる大阪都構想再否決


 先日の日曜日、大阪では「大阪と交渉の賛否を問う住民投票」が行われた。

この大阪都構想の内容は、2015年5月17日に行われた住民投票の結果、反対705,585票が賛成694,844票を上回り、わずか0.8ポイントの僅差で否決となっている。今回の結果を受けて、橋下は松井と共に記者会見し、ことし12月までの任期は全うするものの、次の市長選挙には立候補せず、政界を引退する意向を表明。また、この結果を受けて、大阪維新の会の関連団体である維新の党代表・江田憲司は18日未明、「責任を痛感している」などとして党代表を辞任する意向を表明。その後、維新の党は19日午後に開いた両院議員総会で、江田の代表辞任を了承し、新代表に前幹事長の松野頼久を選出した。

しかし、その後大阪ダブル選挙を迎え、共に大阪維新の会のメンバーで大阪府知事選挙に立候補した松井一郎と大阪市長選挙に立候補した吉村洋文が揃って対立候補に大差をつけて当選した。両者は、副首都大阪の確立、経済成長戦略などの5つの行政目的の実現と「それら5つを実現するための統治機構改革」という第6番目に掲げた公約を根拠に、大阪都構想の是非を再度浮上させ住民投票で問うことを進めている。

その結果、今回も大阪都構想に貸しては反対多数で否決されたのである。

まあ、本来ならば「ダブル選挙」の時に、公約に掲げたといえども、そのことは、「都構想とは別物」として他の五つの公約を実現することを求められいると解釈すべきである。しかし、「自分たちの都構想という欲」にかられた人々はそのような解釈を行わなかった。その結果が今回の投票結果である。

まあ、なるべくしてなったとか、様々なことになると思う。実際に「行政の二重化の防止」ということは「都構想しかないのか」ということが議論しつくされていない。実際ん住所表示などすべてを変えるのにどれくらいコストを抱えなければならないのか。

そのようなことよりも私自身は「地名を変えることによる伝統や文化の消滅」の方が怖いのである。それこそ「日本喪失」になるのではないか。

「大阪都構想」住民投票で再び「反対」…松井・大阪市長、任期満了で政界引退

 大阪市を廃止し、4特別区を新設する「大阪都構想」の賛否を問う住民投票が1日、投開票され、反対が多数となった。2015年5月の前回住民投票に続いて都構想の制度案は廃案となり、大阪市の存続が決まった。都構想を推進してきた日本維新の会の松井一郎代表(大阪市長)は反対多数を受け、23年4月の市長任期満了をもって政界を引退すると表明した。

 住民投票は、都構想実現への手続きを定めた「大都市地域特別区設置法」(大都市法)に基づき、大阪市民を対象に実施された。人口約270万人の大阪市を約60万~75万人の「淀川」「北」「中央」「天王寺」の4特別区に分割する制度案への賛否が問われた。

 当日有権者数は220万5730人。投票率は62・35%で、前回の住民投票(66・83%)から4・48ポイント下がった。

 都構想は、地域政党・大阪維新の会を創設した橋下徹氏が大阪府知事だった10年、大阪市との二重行政の解消を目的に提唱した。5年前の住民投票では、市を5特別区に再編する案が反対70万5585票、賛成69万4844票の僅差で否決され、橋下氏の政界引退につながった。

 その後、維新は都構想の再挑戦を掲げ、松井氏と吉村洋文代表代行(大阪府知事)が昨年4月の知事・大阪市長のダブル選に圧勝するなどして、2度目の住民投票にこぎ着けた。

 前回の住民投票では、維新以外の全ての党が反対に回ったが、今回は公明党が賛成に転じて維新と連携した。これに対し、自民、立憲民主、共産などの各党が反対する構図となった。

 賛成派は、都構想の実現を見据えて府・市の類似施設を統合し、コスト削減を進めたことを成果として訴えた。新型コロナウイルス対策も府・市協調で進めたことをアピールし、「大阪の司令塔を一つにして、政策決定のスピードを上げる」と主張した。

 反対派は、「大阪市が特別区に分割されればコストが余計にかかり、住民サービスが低下する」とデメリットを強調し、「大阪市解体」に強い不安を持つ市民の支持を集めた。

 ◆大阪都構想=東京都と23特別区の関係をモデルにした都市再編策。大阪府と大阪市の役割分担を見直し、大阪市の持つ都市開発や産業政策など、広域的な権限を大阪府に一元化する。福祉、教育など住民に身近なサービスは、大阪市を解体して設置する特別区が担う。特別区には公選の区長、区議会を置く。

2020年11月01日 22時57分 読売新聞

https://news.nifty.com/article/domestic/government/12213-846339/

 少し目線を変えて、イギリスのブレグジットは2016年6月に国民投票を行い、やはり僅差ではあったが、EU離脱派が多数を占めた。その後国会などで議論が紛糾し、日本の多くの「評論家」「有識者」と言う人々は、イギリスの国民投票を「やり直して」EUに残留するのではないかということを言い始めていたが、2020年1月、ジョンソン首相はEUを離脱した。

イギリスは「一回国民投票の意志が決定したものを、再度やり直すということは民主主義にとってどのようなことなのか」ということをしっかりと議論している。国民投票というのは、国民の直接の意思表示であり、その意思は最も尊重されるべきものである。主権在民の中において、主権者の意思表示を無視するなどということは、本来、その国民に選ばれた政治家には不可能な話である。これは「国を亡ぼすという決議を国会で行うことができるのか」ということと同じ内容であり、条文または名分にそのようなことがなくても、ある意味で「国家」というものがありその憲法で決められているものであるならば、孫憲法を要する国家を守るのは自明のことである。あまりにも当たり前すぎて名分に規定がないものであり、名分がないことをもってできると判断することはあり得ないのである。

そのように考えた場合、「国家を滅ぼす」のではなく「憲法に記載された地方自治の項目の内容を大幅に変更する」ということにおける住民投票の内容を、別な内容も多く含まれている知事選や市長選挙で勝利したことをもってできるのかということになる。それは、一回目の住民投票という結果を無視し、国民の意志を全く反映しない「日本維新の会のエゴ」であるとしか言いようがない。

私利私欲で政治を動かしてはならない。ある意味で当然のことであり、そのようなことをすれば、当然に責任が問われるものである。もっと言えば、「日本維新の会は、日本国憲法に書かれた民主主義ということを根本的にわかっていない」ということに他ならないのである。

そのような人々が大阪では政治を行っているということなのであろう。

そのうえで、「地名」には、必ずその地名にちなんだ歴史と伝統や文化がある。もちろん「市」「府」ということにはないのかもしれないが、それだけではなく、様々な名前には由来がある。一部の人々は、その名前やその歴史にちなんだ状況を嫌う人がいるが、実際にはその歴史が非常にさまざまなことを教えてくれるものである。地名などによる文化の継続ということは当然に様々な内容を生むことになるのではないか。そのことを見なければわからないこともたくさんあるし未来へのヒントを自ら消してしまうことはあまり良いことではない。

そして最後に、今後の維新の会に関してであるが、これは別にまた書くかもしれないが一部の報道で「菅政権に打撃」などと書いているが、逆に「日本維新の会」とすれば公明党と組んでも、与党自民党と組まなければ自分たちの目玉政策が通らなくなったということを意味している。そのことを維新の会がどのように受け止めるかによって変わってくるのではないか。

まあ、様々なことが示唆されることになると思われる結果であったと評価される。

宇田川源流

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