「宇田川源流」 香港における民主派の逮捕とアメリカの厚生長官の台湾訪問の関係から見る中国の「アメリカ恐怖症」
「宇田川源流」 香港における民主派の逮捕とアメリカの厚生長官の台湾訪問の関係から見る中国の「アメリカ恐怖症」
日本人、特に保守派も革新側もそうであるが、自己都合の悪いニュースになると、「マスコミは信用できない」などといいながらも、マスコミで報道された内容をそのまま鵜呑みにして信用して何かを語ってみたり、あるいは、他のニュースと組み合わせて読んで真相を探るということをほとんどせず、自己満足と自分の主張だけを適当に行うことだけを目的に自分の趣味に合った内容だけを受け入れる「情報エゴ」に陥っているのではないかという気がするときがある。
本来情報というものは、自分の足で稼ぎ、目で見耳で聞いたものを信用するのが基本。次に、自分の中まで信用できる人の情報を持つように心がける。このように情報を必要とするために、人脈というものが必要なのであり、単純に異業種交流会で名刺交換をしただけの人を信用するためのものではない。つまり「相手の性格を知り、そして、様々な事象に関してどのような反応をするか、どのような表現をするか知っている人」の情報を得るということをするのが二番目である。
それでも人脈に限りがある場合、複数のニュースを組み合わせてみたりあるいは、様々なニュースソースを比較して読み比べ、そのうえで、その現地に近い知り合いや信用できる専門家などの意見を得て、自らの糧とするものである。これくらいのものの読み方ができない人がSNSで様々なことを語っていて、それに一喜一憂しているのであるから、困ったものである。このままでは衆愚が進むと危惧している。
さて、その中の例を一つ見てみよう。
先週8月10日、香港の民主活動家周庭女史が、香港国家安全治安維持法に基づく国家反逆罪の疑いで逮捕された。まあ、民主活動家であり、その民主活動をされることを最も嫌っているのであるから、北京政府はすぐに逮捕するであろう。そのまま処罰されるのかあるいは北京に連行されるのかと思いきや、数日後に釈放されたのである。さてこれは何なのであろうか。
周庭氏を国家安全法違反容疑で逮捕
香港警察は10日夜、「民主の女神」と呼ばれる民主活動家・周庭氏を国家安全法違反の疑いで逮捕しました。
香港警察は10日夜、2014年の民主化デモ「雨傘運動」を指導し、「民主の女神」と呼ばれる周庭氏を香港国家安全維持法違反の疑いで逮捕しました。外国勢力と共謀して国家の安全をおびやかした疑いですが、具体的な内容は発表されていません。
周庭氏のフェイスブックには、10日朝、自宅周辺に見知らぬ男がいたことや、警察が家宅捜索に入ったことが記されています。イギリスに渡った香港の民主活動家・羅冠聡氏も10日夜、周庭氏が「国家安全法に基づいて逮捕された」とツイートし、「情報を集めているところ。最悪の日だ」と述べています。
香港では10日、中国共産党に批判的な論調で知られる香港紙「リンゴ日報」の創業者で民主派の重鎮、黎智英氏ら9人も逮捕されていて、国家安全法の施行後、民主派への締め付けが一段と厳しくなっています。(10日23:19)
2020年08月10日 23時08分 TBS
https://news.nifty.com/article/world/worldall/12198-756220/
中国、米長官訪台に抗議=「公式往来に断固反対」
【北京時事】中国外務省の趙立堅副報道局長は10日の記者会見で、アザー米厚生長官が台湾を訪問し蔡英文総統と会談したことを受け、米側に「厳正に申し入れた」として抗議したことを明らかにした。さらに「中国は米台の公式な往来に一貫して断固反対している」と強調した。
趙氏は「台湾問題は中米関係において最重要かつ最も敏感な問題だ」と主張。中国大陸と台湾は不可分とする「一つの中国」原則を順守し、「台湾との公式往来や接触、米台関係の実質的な格上げを止めるよう促す」と迫った。
中国英字紙チャイナ・デーリーは10日の社説で、蔡政権に対し「米国が中国大陸との地政学的ゲームの中で台湾を人質に利用していることを忘れてはならない」と指摘した。
共産党機関紙・人民日報系の環球時報の胡錫進編集長は10日、中国版ツイッター「微博」で、台湾側の情報を引用しながら中国軍機が台湾海峡の中間線を越えたと言及。「これは米厚生長官の訪台に対する大陸側のきっぱりとした返事であり、台湾当局への明確な警告だ」と記した。 【時事通信社】
2020年08月10日 21時03分 時事通信
https://news.nifty.com/article/world/worldall/12145-756198/
同じ8月10日、アメリカのアザー厚生長官が台湾の蔡英文総統と会談を行っている。まあ、この会談に関しては、コロナウイルスを克服した台湾と、まだ克服せずに世界一の感染者を出してしまっているアメリカとの、新型ウイルス対策に関する情報交換であるということが建前であるが、しかし、それであるならば蔡英文総統に対しては「表敬訪問」でよいはずであり「会談」までは必要がない。当然にその中には米中関係において最も重要な国である台湾に対するトランプ大統領からのメッセージが含まれていることはだれの目にも明らかである。
この会談に対して「中国は米台の公式な往来に一貫して断固反対している」<上記より抜粋>または「台湾との公式往来や接触、米台関係の実質的な格上げを止めるよう促す」<上記より抜粋>と表現している。まあ、相変わらず中国共産党は言うことだけは立派であると思てっていると、爆撃機が中台中間線を超えるなどの圧力をかけてきていたのである。
さて、中国共産党という組織は、常に秘密主義であり、何かを行うときには裏で別な行動を起こしているのが常である。そして、日本人も同じであるが、人間というのは相手の行動を図る時に、自分の行動を基準にして物事を見る癖がある。これは無意識にそして自分の考えられる範囲の中で最も安全に物事を進めるようにした場合、自分の行動を基準にして、相手の立場での行動をシミュレートするのが普通なのである。
そのシミュレートした行動の中に、「香港の民主派を先導して民主化デモを行わせる」というものがあったと考えるのがふつうである。当然に、何度か書いているが昨年の10月に四中全会で、習近平派の人々は香港の民主化デモと米中貿易戦争の終結と打開策を見ることができず、そのことから、アメリカに対しては爆撃機で威嚇しながら、一方で香港においては民主化デモのリーダーになりうる人々をあらかじめ逮捕したと考えるのが妥当であろう。一方で、アザー長官が帰国したのちは、「機会を逸した」ということになるのと、周庭女史の世界的な人気からそのまま中に入れておくことはあまり良いことではないということから、早めに釈放し、適当に泳がせておくということになる。
泳がせておけば、様々なメッセージを外国に出すであろうが、例えば実際に日本が周庭女史のメッセージを受けて、中国から経団連がすべての向上や会社を撤退させるということもあり得ないし、また、日本が国交を断絶するようなことはない。アメリカであってもイギリスであっても広報活動的に何かをするだけで、実質的に損害はないというように考えれば、泳がせておいて実質の損失は少ない。それどころか、その時に集まる香港や、外国人の民主運動家や反共産党の人々をすべてみることができ、そこにマークをつけることが可能なのである。
そのように考えれば、長く北京に連行するよりも香港で泳がせておいた方がよく、そのためにパスポートを取り上げて、香港市内に住まわせておくことが戦略的に良いということになるのである。
ニュースをこのように読めば真実にたどり着くことは意外と簡単であり、またそのことを現地の知り合いなどに確認することもできるのである。
さて香港の民主化は、かなり大きな問題になるのと同時に今後、今回逮捕された11人を中心にした運動はすべてマークされていることからかなり難しくなる。香港は言論の自由が完全に奪われており、今後何か違う形で物事江を考えないといけないのではないか。いずれにせよ正しい情報が必要である。
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