「宇田川源流」 バグダディの死とロンドンのテロの関係性から見る「テロの伝播」

「宇田川源流」 バグダディの死とロンドンのテロの関係性から見る「テロの伝播」

 先週起きたことは本当に書かなければならないことが多い。まあ、一日二つ三つとブログを上げるということもできるのであるが、そんな時間もないし、また、それはかなり疲れてしまうのであまりやりたくはない。そこで、仕方なくいくつかのトピックを捨てなければならないのであるが、それは、そのうち何かネタがないときにやらなければならないと考えている。

何しろ日本の国家は「桜を見る会」で頭の中まで桜が咲いてしまっている国会議員が多く、完全にお花見状態になっているので、本当に重要なことが全く審議されない。

世界の情勢がどのようになっているのかとか、そのことが日本にどのような影響があるのかなどは全く考えていないし、来年に大きな国際的イベントであるオリンピックがあるのだが、そこは世界から人が集まり、当然に現在のロンドンのようにイスラム教の人の多くが日本の中に入ってくる。

その中でのテロ対策などは、一朝一夕でできる話ではなく当然に今から話をしておかなければならない。日本の国民を守るためにやらなければならないことは何か、今の国会では全くできないのである。

 さて、11月になってバグダディを襲撃し、アメリカが彼を殺した。ISもバグダディが死んだことを発表し、そのうえで、ハシムという人を後継者として選出したと発表があった。このことは、「ISが継続する」ということを意味している。

アメリカは、クルド人自治区におけるトルコ侵攻で、クルド人が確保していたIS戦闘員の多くが解放されたことを発表し、その標的が東アジアも例外ではなく、テロが全世界的に広がることを警告した。

この警告通りというか、まあ、ハシム時代になって初めてテロが起きたのが今回の物である。

しかし、本当に「IS」なのかは甚だ疑問だ。他で調査をしているが、実際にはISの戦闘員は「コア」と「衛星」の二つの種類がありそれぞれに階級が存在する。コアはISの支配地域における軍隊であるが「衛星」はヨーロッパやアメリカなど「敵地」において、テロを行う戦士ということになる。

爆弾を仕掛けることや支援もあるので必ずしも「ジハード=自爆」とは限らない。その「衛星の戦士」は、単独犯も多く事後にISが承認するパターンも少なくない。つまり、「ISの犯行声明=ISが企画実行したものとは限らず、単独犯を事後追認したものも含まれる」ということになるのである。


ロンドン橋付近で刃物襲撃、2人死亡 射殺の容疑者、テロで収監後に仮釈放

 ロンドン(CNN) 英ロンドンのロンドン橋付近で29日、刃物による襲撃事件があり、ロンドン警視庁によると2人が死亡、少なくとも3人が負傷した。容疑者は偽の爆発装置を体に装着しており、警官によって射殺された。

 英政府の情報筋はCNNの取材に対し、容疑者は以前にテロ関連の罪で収監されていたが、仮釈放されたと明かした。

 ジョンソン首相は緊急事態対策委員会「コブラ」の会合前に取材陣に対し、「重大な暴力事件の犯罪者に早期出所を認めるのは間違いだ」との認識を示し、適切な刑期を執行する必要性を強調した。

 警察によると、事件はロンドン橋の北側にある歴史的な建物「フィッシュモンガーズ・ホール」で始まった。現地時間の午後1時58分に警察に通報があり、同2時3分には警察が容疑者と対峙(たいじ)した。

 目撃者が撮影した動画には、警察に通報があった直後、男が橋の北端で市民によって組み伏せられる様子が映っている。

 警察は襲撃の動機について詳しい情報を明かしていないが、テロ事件と断定。警察幹部は同日午後の記者会見で、現場一帯と市内全域で見回りを強化していると述べた。


  ロンドン橋付近で刃物テロ、2人死亡

 ロンドン橋では2年以上前にもテロ事件があり、8人が死亡、数十人が負傷していた。

 襲撃発生時にロンドン橋でバスに乗っていた男性はCNNに対し、数人が刃物を持った男を取り押さえようとして口論になったと証言。「ナイフか金属製の刃が光るのが見えてぎょっとした。大型の刃物だった」と振り返った。

 続けて警察が銃を持って駆けつけ、男に発砲したという。現場にはすぐに緊急車両が到着し、大勢の人が避難した。

 ロンドンのカーン市長は記者会見で、自らの命を危険にさらした「一般市民の息をのむ英雄的行為」を称賛。「我々は断固とした姿勢で結束してテロに立ち向かう。誰であろうと我々を分断することは許されない」と語った。

 ジョンソン首相も、関与した全ての者を「突き止めて裁判にかける」と強調した。

CNN 2019.11.30

https://www.cnn.co.jp/world/35146170.html


ロンドン中心部の5人死傷事件で、ISが犯行声明を発表 信憑性は不明

 【ロンドン=板東和正】英ロンドン中心部のロンドン橋付近で男が通行人らを襲撃し5人が死傷した事件で、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)が11月30日、犯行声明を出した。ただ、ISが犯行に関わったとの証拠は示されておらず、信憑(しんぴょう)性は不明だ。一方、英警察は同日、男が単独で犯行に及んだとの見方を示した。

 容疑者の男は、英中部ストーク・オン・トレントで生まれ育ったウスマン・カーン容疑者(28)。同容疑者は犯行後、駆け付けた警察官に射殺された。英警察はテロ事件と断定し、動機や背後関係を捜査していた。

 英紙イブニング・スタンダード(電子版)によると、ISは声明で「われわれの戦士の一人によって実行された」と主張。同容疑者について「われわれの代わりに実行した」とも伝えた。声明はIS系列のニュースサイトを通じて発表されたという。英スカイニューズ・テレビは同容疑者について、英国のイスラム過激派指導者の教え子で、友人でもあったと報じた。

 また、英メディアによると、事件で死亡した1人はケンブリッジ大大学院修了のジャック・メリットさん(25)と判明。メリットさんは、犯罪学を研究し、事件発生当時にロンドン橋付近で開催された元受刑者の社会復帰をテーマとした会議の運営に携わっていた。

 同容疑者は、会議に参加し、メリットさんらを刃物で襲撃。その後、橋へ移動し、通行人らに組み伏せられたところを急行した警官に射殺された。メリットさんら市民2人が死亡、3人が負傷した。

産経新聞 2019.12.1

https://www.sankei.com/world/news/191201/wor1912010003-n1.html


 上記のような「追認型の犯行声明」の場合は、その犯行においてISが存在しているとは限らない場合が少なくなく、当然に、犯人(今回は射殺)の本当の政治的またはその犯行意志が、そのままISによって表現されたかどうかは不明であるし、その動機が宗教的なものであるかどうかも不明である。

ただし、ISが犯行声明を出したということは、この犯罪者が何らかの形で、イギリスにおけるイスラム教徒、それもスンニ派原理主義の集団の中において名前が知られており、また、ISに所属しているイギリスにおける幹部の中に於いて、犯罪者が、今後テロを起こす可能性があったという事を認知していたということに他ならない。

いくらISであったからといって、犯人が全く関係のない仏教徒やキリスト教徒の場合に、また、アイルランドの関係のテロである内容に、共感して犯行声明を出すようなことはないのである。そのように考えた場合は、犯行声明を出したという行為は当然に、「犯罪者がイスラム教スンニ派の原理主義者であり、ISが組織として事前に認識していた」ということを意味していることになるのである。

一方、このテロがISであるかどうか、少なくとも、このテロそのものが組織的に行われたものではないことは、事件の経過やその時の内容を見ていればよくわかる。そのうえで、ISは、この時点で、この犯人がイスラム教徒でありなおかつISの犯行声明を出してよいものかどうかということを判断し、そのうえで犯行声明を出すことができるようになっているということになるのである。

ISそのものは、バグダディの死の後、弱体化したとはいえISそのものは相変わらず健在である。支配領域がなくなったとはいえ、テロ組織のフランチャイジーとしての力は健在であるし、多くのイスラム原理主義者の希望を担っているということになる。

そのような状況に関して世界は「改めてバグダディ死後のISと、そのISに心を持ってゆかれてしまう自分の国の中のISに心を寄せる社会不適合者」ということを考えなければならない。

ちょうどうまく社会のしわ寄せがたまった部分に、うまくISが入り込んだ形であり、そのISそのものの存在というよりは、ISという「世直し願望的テロリスト」が存在するのではないか。

さて、日本である。

上記のように「世直し願望的なテロ」が存在するということは、そのまま、日本においても例外ではない。つまり、片方でオリンピックのような世界から様々な人が集まるというような場合がある。つまり、テロリストも来日するし、テロリストのリクルーターも来日するのである。

つまり、日本においても「テロが発生する可能性が高くなる」ということが挙げられる。イギリスなどに習い、そのテロを最小限に抑えるにはどうしたらよいか。その対策には時間がかかるのではないか。

宇田川源流

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