「宇田川源流」【日本報道検証】 すでに北朝鮮には原子力潜水艦があるのではないか?

「宇田川源流」【日本報道検証】 すでに北朝鮮には原子力潜水艦があるのではないか?


 毎週火曜日と木曜日は、「日本報道検証」として、まあニュース解説というか、またはそれに関連するトリビアの披露とか、報道に関する内容を言ってみたり、または、報道に関する感想や社会的な問題点、日本人の文化性から見た内容を書き込んでいる。実際に、宇田川が何を感じているかということが共有できれば良いと思っているので、よろしくお願いいたます。

 さて今回は、北朝鮮がすでに原子力潜水艦を保有している可能性が高いということに関してその内容を見てみたいと思います。とくに東アジアにおける安全保障の内容を考えてみましょう。

そもそも潜水艦とは、そのほとんど、つまり推進力を得ることや浮上をする、潜水をするというポンプの起動、内部の空気の維持などを充電電池で行っています。その為に、ディーゼルエンジンを回してバッテリーに充電するために、定期的に海面近くまで浮上(またはシュノーケルを吸気のために出す)しなければなりません。この充電のタイミングが、敵に最も見つかりやすい最大の弱点となります。一方、原子力潜水艦は原子炉の核分裂エネルギーで動くため、燃料を燃やすための酸素を必要としません。艦内で海水から酸素や真水を作り出せるため、理論上は数ヶ月、あるいは燃料棒の交換が必要になる数年?数十年間、一度も浮上せずに潜り続けることが可能です。

また、原子力潜水艦は、原子炉から生み出される膨大な電力を惜しみなく使えるため、水中でも20?30ノット以上(時速40~50キロ以上)という高速を維持したまま、何日も走り続けることができます。これにより、広大な海洋を迅速に移動して目的地へ向かう能力(進出能力)が圧倒的に高くなります。また、そのように電力を惜しみなく使えることから、原子力潜水艦は通常動力型に比べて船体を非常に大きく作ることができます。大型化によって、長距離を攻撃できる弾道ミサイル(SLBM)や巡航ミサイルを垂直発射管(VLS)に多数搭載できるようになり、一隻で一国を抑止するほどの凄まじい攻撃力を持つことが可能になります。

このような兵器を、北朝鮮が保有している可能性が高いということになるのです。

<参考記事>

原潜原子炉を載せ北朝鮮へ向かっていたロシア船舶…NATO軍により沈没か

5/13(水) 8:06配信 中央日報日本語版

https://news.yahoo.co.jp/articles/3ccb13b169fe8bd34bd55cf35456f60f3503371e

<以上参考記事>

 北朝鮮が原子力潜水艦を実戦配備した場合、日本が直接的に直面する物理的・心理的な危険は、主に本土への奇襲攻撃能力の飛躍的な向上と、それを迎撃する難易度の劇的な上昇という二つの側面から生じます。

 最も差し迫った危険は、これまでの日本のミサイル防衛網の隙を完全に突かれる形での奇襲リスクです。現在の日本の防衛体制は、主に北朝鮮の地上基地や移動式発射台から発射され、日本海を越えて飛来する弾道ミサイルを想定して構築されています。そのため、警戒レーダーや迎撃システムは主に北朝鮮の方向に向けて最適化されています。しかし、航続距離と潜航時間に制限のない原子力潜水艦が、日本のレーダーの死角となる太平洋側、あるいは日本列島の真横や背後にまで隠密裏に回り込み、そこから弾道ミサイルや巡航ミサイルを発射する能力を持った場合、事態は一変します。発射の兆候を事前に察知することはほぼ不可能になり、極めて短い飛行時間で、あらゆる方向から同時に本土が狙われることになるため、現在の迎撃システムだけでは対応が極めて困難な、文字通りの防衛不全に陥る危険があります。

 また、日本周辺の主要な海上交通路(シーレーン)が、いつでも分断されかねないという死活的な危険にさらされます。資源や食料の大部分を海上輸送に依存している日本にとって、太平洋や東シナ海、日本海といった周辺海域の安全は国家の生存そのものです。神出鬼没の北朝鮮原潜が日本の沿岸近くや主要な航路に潜伏している可能性があるというだけで、民間商船やタンカーは航行が困難になり、経済や国民生活が瞬時に麻痺するリスクが生じます。さらに、有事の際にアメリカ軍が日本を救援・防衛するために展開しようとする増援部隊や空母打撃群に対し、北朝鮮原潜がその進路を阻む「接近阻止・領域拒否」の強力な手札として機能するため、日米同盟による抑止力や防衛行動そのものが実質的に骨抜きにされる恐れもあります。

 さらに、原潜が日本周辺の領海や排他的経済水域のすぐ近くに潜み続けることによる、平時からの強烈な「核の心理的恫喝」という危険も無視できません。日本国民や政府は、自国の目の前の海に、いつどこにいるか分からない核兵器が常に徘徊しているという極限の恐怖と隣り合わせで暮らすことを強いられます。これにより、北朝鮮が外交的・政治的な要求を突きつけてきた際、日本側が強い姿勢を貫くことが難しくなり、平時であっても実質的に北朝鮮の軍事力に国家の意思決定が揺さぶられ続けるという、主権や安全に対する極めて重大な脅威にさらされることになります。

 このようなリスクは、東アジアにおける安全保障環境に重大な変化をもたらします。

最も深刻な変化は、日米韓に対する「第2撃能力」、すなわち核報復能力の完成度が飛躍的に高まる点です。従来の地上発射型ミサイルや、潜航時間に限界がある通常動力型潜水艦であれば、日米の高度な衛星や偵察機、潜水艦によってその位置や兆候を事前に察知し、有事の際に先制攻撃で無力化することがある程度可能でした。しかし、無制限に潜航を続けられる原子力潜水艦に核搭載弾道ミサイル(SLBM)を積んで太平洋や日本海深くへと姿を消された場合、その位置を完全に把握し続けることは極めて困難になります。これにより、日米韓は「いつでも、どこからでも防ぎきれない核反撃を受けるかもしれない」という強い心理的・軍事的な拒否的抑止に直面し、北朝鮮に対する軍事的な選択肢は大幅に狭まることになります。

 これに対抗するため、東アジアにおける日米韓の対潜水艦戦(ASW)の負担は文字通り桁違いに跳ね上がります。日本海や東シナ海、さらには西太平洋に至る広大な海域で、北朝鮮の原潜を24時間体制で追尾・監視し続けなければならなくなるためです。海上自衛隊や米海軍は、哨戒機や駆逐艦、独自の潜水艦といった貴重な防衛資源の多くを北朝鮮原潜の警戒に割くことを強いられ、これは同時に、軍事的な膨張を続ける中国への警戒監視網に「隙」が生じるリスクをも意味します。中国としても、自国の目と鼻の先である黄海や東シナ海で米海軍や海上自衛隊の潜水艦探知活動が激化することは、自国の安全保障や海洋進出の障害となるため歓迎できず、海域での予期せぬ軍事衝突のリスクが地域全体で高まります。

 さらに、この事態は日米韓の同盟関係のあり方や、日本・韓国の防衛政策にも決定的な地殻変動を起こしかねません。アメリカが提供する「核の傘」を含む拡張抑止への信頼性が揺らぐことで、韓国国内では自国も独自の原子力潜水艦を保有すべきだという世論や、最悪のシナリオとして独自の核武装論が一段と現実味を帯びて噴出する可能性があります。日本においても、ミサイル防衛網だけでは対応できない潜水艦からの脅威に対し、いわゆる反撃能力(敵基地攻撃能力)の対象を海洋にまで広げる必要性が議論され、より攻撃的な装備の導入や、潜水艦探知能力を飛躍的に高めるための防衛費のさらなる増額が迫られることになるでしょう。結果として東アジアは、歯止めの利かない最先端兵器の軍拡競争の渦へと巻き込まれていくと考えられます。

 北朝鮮の原子力潜水艦という新たな脅威に対抗するため、日本が取るべき防衛戦略は、単に同じ兵器を持つかという議論に留まらず、多層的な防衛力の強化と外交・同盟関係の再構築という総合的なアプローチが必要になります。

 まず、日本自身が原子力潜水艦を建造・保有すべきかという議論については、軍事的な実効性と法制度、コストの面から極めて慎重かつ多角的な検証が求められます。技術的な観点から見れば、日本が原潜を保有することは、日本海や太平洋の深海に長期間潜伏して北朝鮮の動きを監視し、強力な抑止力として機能するという大きなメリットがあります。しかし一方で、日本の現行の法制度や「非核三原則」との整合性、何よりも原子力関連技術を軍事転用することに対する国内の政治的・国民的ハードルは非常に高いと言わざるを得ません。 

そのため、日本が今すぐに着手すべき現実的かつ効果的な対策は、世界最高峰とされる海上自衛隊の「対潜水艦戦」の能力をさらに飛躍させることです。具体的には、日本周辺の海域に、潜水艦の音を察知する高性能な海底センサーネットワークを張り巡らせるとともに、無人潜水艇や無人偵察機を大量に導入して、24時間体制で隙のない全方位の監視網を構築することが挙げられます。北朝鮮の原潜が基地を出港した瞬間から完全にマークし、潜航中もその位置を追尾し続ける能力を確立すれば、原潜最大の武器である「隠密性」を実質的に無力化することができます。これに加えて、太平洋側からのミサイル発射にも対応できるよう、イージス艦の増強や地上配備型の警戒レーダーの配置見直しを行い、あらゆる方角からの奇襲を網羅できる迎撃体制の再編を急がねばなりません。

 同時に、日米同盟の抑止力をこれまで以上に実質的なものへと深化させることが不可欠です。米海軍の圧倒的な原子力潜水艦の運用能力や、宇宙基盤の偵察衛星ネットワークと緊密にデータを共有し、日米が一体となって北朝鮮の原潜を封じ込める体制を作ることが、日本単独で原潜を持つよりも迅速かつ確実に機能します。さらに、韓国との間で防衛秘密情報を迅速に共有する枠組みをより強固にし、日米韓の3カ国による共同の対潜訓練や警戒監視活動を常態化させることで、北朝鮮に対して「原潜を動かしてもすぐに探知され、一切の軍事的優位は得られない」と思わせる強力な拒否的抑止を提示し続けることが、日本の安全を担保する最善の道と言えます。

 いずれにせよ、今後は北朝鮮が原子力潜水艦を保有しているという前提で、安全保障を考えなければならないということになります。今回のニュースはそのような「世界の安全保障環境の変化」を教えてくれているのです。

宇田川源流

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