「宇田川源流」【GW特集 IT時代の日本】 そもそもITとAIって何?

「宇田川源流」【GW特集 IT時代の日本】 そもそもITとAIって何?


 毎年、ゴールデンウィークには、普段とは異なった連載を行っていますので、今年も例に倣って「特別連載」を行いたいと思っております。しばしの間お付き合いください。

そもそも、なぜゴールデンウィークにはこのように特別連載を行ったのか、ということを簡単に書いておきましょう。まずは、このブログが、私が国会新聞社の編集次長であった時代に始めたということが大きな理由です。というのも、この時期には政治のニュースは国会も休みになってしまい、基本的には長期休暇を取ったり、議員の先生方は地元に帰ってしまうということで、国会は基本的には休止してしまいます。そのことはそのまま、政治が前に進まないので、国会新聞社としては記事が出なくなってしまうのです。そのことから、この時期、長期の休みの時期は別な連載をしているということになるのです。

さて、国会新聞社をやめてからもこのブログは形を変えながらも続けていますので、そのまま、他の内容を書いてもよいのですが、そのままこの時期は連載を続けているということになります。

さて、今回は「IT」社会、という、今の時代の内容を見てみようと思います。

★ ITとAI

 まずはITとは何かということを見てみましょう。とりあえず何かを連載するところは「定義」をシッカリするということになります。ちなみに「IT」に関して、この言葉が出始めたころ、日本は森喜朗内閣総理大臣であったのですが、この内容を行った「IT革命」を「イットカクメイ」と呼んでしまって、話題になりました。さすがに、今の時代の人に「イットカクメイ」ということを言う人はいないと思います。しかし、その内容をしっかりと理解している人は少ないのかもしれません。

「IT用語がわかる辞典」から言葉の定義を調べてみます。

アイティー【IT】

情報技術。コンピューターやデータ通信に関連する技術の総称。その進歩により1990年代にはインターネットや携帯電話が普及し、現代社会に欠かせないインフラとしてビジネスの在り方や産業構造に大きな変化をもたらした。◇「information technology」の頭文字から。⇒ICT

 IT(インフォメーション・テクノロジー)とは、情報を扱うための技術全体を指す言葉であり、人間が扱うさまざまな情報を、効率的かつ正確に取り扱うための仕組みや手段を意味します。ここでいう情報とは、文字や数値、音声、画像などあらゆる形を含み、それらをコンピュータや通信技術を用いて取り込み、加工し、保存し、必要な場所へ伝える一連の働きがITの本質です。

 したがってITは単にコンピュータそのものを指す言葉ではなく、ソフトウェアやネットワーク、データの管理方法などを含めた総合的な概念です。人間が情報をより速く、より大量に、そしてより正確に扱うことを可能にするために発展してきた技術の集合体といえます。

 現代社会においては、このITが社会の基盤として深く組み込まれており、経済活動や行政運営、日常生活に至るまで広く影響を及ぼしています。そのためITとは単なる技術用語にとどまらず、情報を中心に社会を動かすための重要な基盤を表す概念でもあります。

さて一方でAIはどうでしょうか。AI、もちろん歌手のAIさんではありません。もちろん、AIさんは非常に素晴らしい歌手であろうと思いますが、ちょっと今回の事とは関係がありません。さて、その内容は「生成型AI」といわれるようなものがこの内容になります。

同じ「IT用語がわかる辞典の「人工知能」の解説を見てみましょう。

じんこうちのう【人工知能】

人間の知的能力をコンピューター上で実現するさまざまな技術やソフトウェア、コンピューターシステム。人間が日常的に使っている言語を取り扱う自然言語処理、翻訳を自動的に行ったり翻訳を支援したりする機械翻訳、特定分野の専門家の推論や判断を模倣するエキスパートシステム、画像データを解析して特定のパターンを検出したり抽出したりする画像認識などの応用例がある。◇「artificial intelligence」の頭文字から「AI」ともいう。また、「人工知能システム」ともいう。

 AIとは「人工知能」と訳され、人間が行っている知的な働きを、機械やコンピュータによって実現しようとする技術や概念を指します。ここでいう知的な働きとは、物事を理解すること、経験から学ぶこと、状況に応じて判断すること、さらには問題を解決することなど、人間が知能によって行っている一連の活動を意味します。

 AIは単に決められた手順に従って動く従来のプログラムとは異なり、データから規則性や特徴を見出し、それをもとに自ら振る舞いを変化させたり、より適切な判断を導き出したりする点に特徴があります。そのため、あらかじめすべての答えを人間が与えるのではなく、経験に相当するデータの蓄積を通じて性能を高めていく性質を持っています。

 このようなAIの考え方は、人間の知能そのものを完全に再現することを目指すものから、特定の課題に特化して人間の能力の一部を代替・拡張するものまで幅広く含んでいます。現代においては、画像や音声の認識、言語の理解、予測や最適化など、さまざまな分野で活用されており、人間の活動を支えたり効率化したりする技術として社会に深く組み込まれつつあります。

★ この二つの技術は日本人をどのように変えたのか

 ITが日本人の生活をどのように変えてきたのかを理解するためには、単にインターネット以降を見るのではなく、情報の伝達手段そのものがどのように進化してきたのかという長い流れの中で捉える必要があります。

 もともと日本における情報伝達は、人の移動そのものに依存していました。江戸時代の飛脚制度では、情報は身体に託されて運ばれるものであり、時間と距離がそのまま情報の制約でした。この段階では、情報は極めて貴重であり、届くまでの遅延が前提となって社会が成り立っていました。その後、近代国家の成立とともに郵便制度が整備されると、情報は個人の努力ではなく、国家的なインフラによって安定的に届けられるようになります。これによって商取引や行政の効率が飛躍的に高まり、社会の一体性が強化されました。

 さらに電話の普及は、情報伝達の時間的制約をほぼ消し去りました。声を通じて即時にやり取りができるようになり、距離の意味が大きく変わります。FAXの登場は、文字や図面といった視覚情報をそのまま遠隔地に送ることを可能にし、日本の企業社会においては特に重要な役割を果たしました。判子文化と結びつきながら、紙を前提とした業務の効率化を支え、日本的な組織運営の中に深く組み込まれていきます。

 しかし、これらの変化とインターネットによるIT革命の違いは、単なる「速さ」や「便利さ」の延長ではありません。決定的な違いは、情報の流れが一方向的な伝達から、双方向的で常時接続されたネットワークへと変化した点にあります。従来の郵便や電話、FAXは、基本的には「送り手」と「受け手」が明確に分かれており、その都度やり取りが完結する構造でした。これに対してインターネットは、情報が常にネットワーク上に存在し続け、誰もが同時に送り手にも受け手にもなり得るという性質を持っています。

 この変化は、日本人の生活に質的な転換をもたらしました。まず、情報の取得が受動的なものから能動的なものへと変わりました。以前は新聞やテレビ、あるいは直接の連絡によって情報を受け取るしかありませんでしたが、現在では必要な情報を自ら検索し、比較し、選択することが当たり前になっています。また、情報の発信も特別な立場の人だけのものではなくなり、個人が容易に社会に向けて発言できる環境が整いました。

 さらに重要なのは、情報の量と速度が飛躍的に増大しただけでなく、それが社会の構造そのものを変えた点です。例えば、日本の流通やサービスはもともと精密で高品質でしたが、ITの導入によってそれがリアルタイムで最適化されるようになり、在庫管理や配送、予約システムなどが高度に統合されました。これにより、消費者はほとんど待たされることなく商品やサービスを受け取ることができるようになり、「時間に対する期待値」そのものが変わっています。

 一方で、この変化は新たな負担も生み出しています。情報が常に更新され続ける環境の中で、人はそれを追い続けなければならなくなり、精神的な余裕が削られる側面があります。また、常時接続であるがゆえに、仕事と私生活の境界が曖昧になり、日本人特有の勤勉さと相まって、常に何かに応答し続ける状態が生まれやすくなっています。

 つまり、飛脚から郵便、電話、FAXへと続く流れが「情報伝達の効率化と高速化」であったのに対し、インターネットによるIT革命は「情報そのものの存在の仕方と人間の関わり方」を根本から変えたものだといえます。それは単なる技術革新ではなく、日本人の時間感覚や社会の仕組み、さらには人間関係のあり方にまで影響を及ぼす、質的に異なる変化だったのです。

一方、AIに関しては、そのような技術は今までにはなかったのではないでしょうか。相談できるというような相手は今までも軍師や参謀、電話相談などがありましたがAIのような内容はありません。助言や相談という行為そのものは、古くは軍師や参謀、あるいは専門家への相談や電話窓口など、これまでも存在してきました。ただしAIがもたらした変化は、その延長線上にありながらも質的に異なるものです。違いの核心は、「誰にでも、いつでも、ほぼ無制限に利用できる知的な応答」が初めて実現された点にあります。

 従来の軍師や参謀は極めて限られた立場の人しか持てず、専門家への相談も時間や費用、場所といった制約がありました。電話相談であっても、対応できる内容や時間には限界があり、相談できる側も相談される側も人的資源に依存していました。これに対してAIは、個人が日常的に使える形で存在し、しかも膨大な情報を背景にしながら、一定の一貫性をもって応答を返すことができます。この点で、知的サービスが「希少なもの」から「ほぼ常在するもの」へと変わったと言えます。

 この変化によって、日本人の生活の中でまず起きているのは、「考えるプロセスの外部化」です。これまでは自分で調べ、試行錯誤し、あるいは周囲の人に相談していた過程の一部を、AIに委ねることが可能になりました。たとえば文章作成、情報整理、アイデア出し、学習の補助といった領域で、人は最初からすべてを自力で構築するのではなく、AIと対話しながら形にしていくようになっています。これは単なる効率化にとどまらず、思考そのものの進め方を変える力を持っています。

 また、日本社会において特徴的なのは、対人関係における慎重さや遠慮の文化とAIの相性の良さです。人に直接聞きにくいことや、失敗を恐れて相談しにくい内容であっても、AIには気軽に尋ねることができます。このことは、学習や自己改善の機会を広げる一方で、人と人とのやり取りを経ずに問題を解決する傾向を強める可能性も含んでいます。

 さらに、AIは単に答えを返すだけでなく、状況に応じた選択肢や視点を提示するため、人の判断の仕方にも影響を与えます。従来は経験や周囲の意見に依存していた意思決定が、データやパターンに基づく提案によって補強されるようになり、判断の質が安定する場面も増えています。しかし同時に、提示された答えに過度に依存し、自分で考える力が弱まる可能性も指摘されています。

 仕事の面では、これまで人間が時間をかけて行っていた知的作業の一部が短時間で処理できるようになり、業務の構造自体が変わりつつあります。日本のように細部まで丁寧に作り込む文化においては、AIは下書きや補助として活用されることで生産性を高める一方、最終的な品質や責任の所在をどう担保するかという新たな課題も生まれています。

 一方で、AIがもたらす不便さや違和感も存在します。AIはあくまでデータとアルゴリズムに基づいて応答するため、人間特有の文脈理解や感情の機微を完全に再現できるわけではありません。そのため、もっともらしく見えるが本質的にはずれている答えが返ってくることもあり、それを見抜く力が利用者側に求められます。また、常に即座に答えが得られる環境は、人がじっくり考える時間や試行錯誤の機会を減らす側面もあります。

 このようにAIは、これまで存在していた「相談」という行為を単に便利にしたのではなく、それを誰もが常に利用できる形に変えたことで、人間の思考や判断、学習のあり方そのものに影響を与えています。日本人の生活においても、その影響はまだ変化の途中にありますが、確実に「人がどう考え、どう決めるか」という根本的な部分に作用し始めていると言えるでしょう。

★ この後の連載

さて、この後の連載はこのITとAIに関して、日本がどのように変わったのか、また、日本人はこれからどうなってゆくのか、それだけではなく、今この改革でどのような問題になっているのか。そのようなことを見てみましょう。

宇田川源流

「毎日同じニュースばかり…」「正しい情報はどうやって探すのか」「情報の分析方法を知りたい」と思ったことはありませんか? 本ブログでは法科卒で元国会新聞社副編集長、作家・ジャーナリストの宇田川敬介が国内外の要人、政治家から著名人まで、ありとあらゆる人脈からの世界情勢、すなわち「確実な情報」から分析し、「情報の正しい読み方」を解説します。 正しい判断をするために、正しい情報を見極めたい方は必読です!

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