「宇田川源流」【日本報道検証】 自民党総裁に高市早苗氏が選出される衝撃と報道の敗北

「宇田川源流」【日本報道検証】 自民党総裁に高市早苗氏が選出される衝撃と報道の敗北


 毎週火曜日と木曜日は、「日本報道検証」として、まあニュース解説というか、またはそれに関連するトリビアの披露とか、報道に関する内容を言ってみたり、または、報道に関する感想や社会的な問題点、日本人の文化性から見た内容を書き込んでいる。実際に、宇田川が何を感じているかということが共有できれば良いと思っているので、よろしくお願いいたます。

 さて今回は、先週の土曜日の大きなニュースになった「自民党総裁に高市早苗氏」ということについて見てみたい。ただし、この内容の詳しい内容は「陰謀渦巻く世界情勢の中であなたが生き残る方法」(https://lounge.dmm.com/detail/2838/)で詳しく分析しているので、そちらに譲るものとして、ここでは主に「総裁選挙前の報道とネット言論の内容と、総裁選の結果」という事、つまりは、昨年の秋に兵庫県知事選挙やアメリカ大統領選挙で顕在化した、「日本のオールドメディアの敗北」ということに関して、そこに注目してみたい。

さて、その前にまずは高市早苗新総裁の就任に関して祝意を示したいと思います。高市新総裁と私の間においては、私が「民主党の闇」という本を書いた時に、その本を2冊ご購入いただき(ご本人がアマゾンなどで購入していただいたので、私が差し上げたわけではありません)、その一冊を何度も、そして行間の隙間がなくなるほどかなり詳しく読み込んでおられ、勉強されていたのです。私が高市氏に会いに行った時に「この本のこの部分なんですけど」と言って様々な質問をお受けしたことがありました。「そんなにお読みいただいているのであれば、私から差し上げましたのに」と申し上げたところ「もう一冊買っているからいいんです。」とおっしゃられるので、「もう一冊はどうされるのですか」と聞いたところ「書き込みで読めなくなった時に、もう一冊の同じページを開いて、原文がどう書いてあるか読むんです。私、必ず本は2冊買ってそうしているんです」とおっしゃられたのである。

その勉強熱心なところは、その本を書いた私ですら驚くほどのモノであった。今のマスコミは、そのような人を相手にしていると考えるべきであろう。

<参考記事>

初の女性首相にネットが沸騰

2025年10月04日 15時19分スポーツ報知

https://news.nifty.com/article/item/neta/12265-4559315/

<以上参考記事>

 さて、メディアの話をしよう。

メディアは当初から「小泉進次郎候補」か「林芳正候補」になると踏んでおり、その二人を中心にした放送を行っていた。小泉陣営の行った「小泉動画への有料書き込みやらせ問題」や「林候補による石破内閣裏切り発言」等はあまり大きく報道せず、高市候補の行った奈良市の鹿への中国人による虐待などは、「差別につながる」などとして否定的な見解を行った。実際に、その取材先も、奈良市ではなく奈良県に行い、また外国人保護団体などに取材しているのであるから呆れるものである。この他にも、読売新聞など大手紙系が選挙の過程で小泉進次郎氏や林芳正氏の支持状況や表明意欲を大きく扱い、有利に報じていた事例が存在する。ということがあった。とくに林芳正氏の「政界119といわれている」などという報道は、残念ながら私は政治の世界で林氏がそのように呼ばれているのを聞いたことはない。何か作り話をしているものが多くあったのである。また、MSNや系列のニュース配信では情勢調査や候補者の動向を基に小泉氏と林氏が先行しているかのような見立てを繰り返して報じていた。また、ローカルやキー局の報道特集で候補者説明会や演説会の実施状況を大きく取り上げ、小泉氏・林氏の動員や支持期待を強調する編集が散見された。

オールドメディアはなぜそのようなことを行ったのか。観測対象とするデータの偏り。取材網と接触が深い「党本部・地方幹部・従来の政治班ソース」から得た情報は、党内の従来力学を強調する傾向があり、有権者や若年層の動き、ネット空間での支持や反発を十分に反映しなかった。また、財務省や外務省などの影響も大きくある。安倍内閣は史上まれにみる財務省と外務省を完全に無視した内閣であり、その光景となることを省庁が恐れたということがある。執拗な安倍批判などは、まさに財務省や外務省の影響も多くある。また安倍内閣時に総務大臣を勤めた高市氏は、テレビに対して停波をちらつかせて公平な報道を求めたことがあり、そのことに対する意趣返しもあったのであろう。また、タイミングと可視性の差。郵送投票や党員票の先行集計、演説会・イベントの開催状況といった可視的な「出来事」を重視する報道姿勢が、最後の議員票や党員票の局所的変化を過小評価させたということもある。評価モデルの制約。伝統メディアは「既存の発信量=支持」という仮定に依存しがちで、ネット上の感情の速度や拡散回路、匿名・半匿名コミュニティで形成される支持連鎖の非線形性を取り込めなかった。というような声も聞かれるのである。

 そのような中ネットメディアの方が正確な情報を伝えたという評価がある。情報の伝播速度と感情増幅。SNSや掲示板上での短いメッセージは共感を迅速に集め、政策論争というより「人物評価」「象徴性」に基づく支持を急速に形成する。これが当日まで動く投票行動に直結した。マイクロターゲティング的な共鳴回路。リツイートや共有、動画クリップ化によって特定テーマや失言が何度も露出し、従来メディアの一次取材よりも高頻度で印象形成を支配した。そのうえで、オルタナティブ検証と反論の回路。ネット空間ではオールドメディアの見立てを即座に検証・批判する情報群が生成され、メディアの「優位な語り」を相対化した。

 この結果、オールドメディアが敗北したといえる。その要因は権威の相対化。従来の「編集者が決める物語」が、ネット上の共感連鎖や草の根的な動きに対して優位性を失った。メディアの報道が必ずしも世論や投票行動を先導しない現実が明確になった。信頼回復の難度上昇。誤った、あるいは時代遅れの見立てが繰り返されると、オールドメディアは「後追い」「外れた予測」を理由に信頼を失い、その回復には客観データの公開や方法論の透明化が求められるようになったのである。そして、編集バイアスの露呈。取材網と関係性に基づくバイアスが、現実の有権者動向と乖離した場合、それ自体が批判の標的となり、報道の正当性に疑義が生じる。

 そしてこのオールドメディアの敗北がもたらす社会的意味は、政治的アカウントビリティの再編。政策論争を主導してきたメディアの影響力低下は、政治家や政党がネット世論に直接コミットし投票行動を喚起するインセンティブを強める。これにより情報の出所が分散化し、検証困難な情報が政治過程で重みを持つリスクが高まる。また、意思決定の短期化と象徴化。ネット主導の動きは感情的・象徴的なテーマを強化しやすく、政治判断が短期的なイメージ戦略やバイラル性に左右される傾向を強める。長期的・複雑な政策議論が埋没する可能性がある。そして、市民的リテラシーと制度の挑戦。オールドメディアの弱体化は情報リテラシーの重要性を高める一方、公共空間における事実確認・検証インフラと公的説明責任メカニズムの整備が遅れるならば、虚偽や誤導が政治的混乱を増幅する。そして、新しい力学の制度化圧力。党内選挙や国政選挙のプロセスで、ネット動員とリアル投票の関係が今後ますます政治戦術に組み込まれることにより、公正性・透明性を担保する制度的対応(投票手続きの透明化、情報公開、プラットフォーム対策など)が社会的課題となる。

 この結果、オールドメディアが強く推した候補の見立てが外れた事実は、従来の取材・編集パラダイムが変容する転換点を示すことになり、また、この変化は民主政治にとって二面性を持つ。市民参加や多様な声の表出を促す一方で、検証困難な短期的運動が政策議論を置き去りにするリスクをはらむということも言える。社会全体としては、情報の分散化を前提にした検証インフラの構築と、民主制度が短期的感情動員に過度に振られないための procedural な抑制と透明化が不可欠である。よりネットメディアのリテラシーが重要になってくるのと同時に、オールドメディアは、変な主観を入れずに客観的な事実を入れること、そして間違った解説者や番組関係者にしっかりと責任を負わせること(要するにそのような解説者はマスコミに登場させない)というようなことが必要なのではないか。

 この他の政治の動きや政局、自民党内のことなどは、「陰謀渦巻く世界情勢の中であなたが生き残る方法」(https://lounge.dmm.com/detail/2838/)で詳しく書きます。

宇田川源流

「毎日同じニュースばかり…」「正しい情報はどうやって探すのか」「情報の分析方法を知りたい」と思ったことはありませんか? 本ブログでは法科卒で元国会新聞社副編集長、作家・ジャーナリストの宇田川敬介が国内外の要人、政治家から著名人まで、ありとあらゆる人脈からの世界情勢、すなわち「確実な情報」から分析し、「情報の正しい読み方」を解説します。 正しい判断をするために、正しい情報を見極めたい方は必読です!

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