小説 No Exist Man 2 (影の存在) 第三章 動乱 18

小説 No Exist Man 2 (影の存在)

第三章 動乱 18


「我々中国共産党は、軍事クーデターを画策し、厦門の市民を虐殺した第73集団軍とそれに味方するすべての軍人や組織企業に対して、制裁を加える。その為に人民解放軍は、第73集団軍に向けて攻撃を開始する」

 テレビ中継で、周毅頼国家主席はそのように発言した。それと同じ動画はインターネットで大々的に流された。

「要するに我々に死ねという事か」

「まあ、そうなるということは見えていましたがね」

 蔡文苑と孔洋信は、総意って笑った。

「彼らが使った、謎の病原菌も、それが広まらないように細心の注意を払って人民を守ります。有能な中国人民は、共産党を信じ、協力を要請する」

 周毅頼は、てれびのなかで叫び続けていた。

「謎の病原菌らしいですよ。『死の双子』」

 蔡文苑は、自虐的に笑った。

「周毅頼同志が日本やアメリカの攻略のためとして生物兵器を作ったのになあ。しかし、都合が悪くなると、全て我々下っ端に責任を押し付けて切られて終わりだ。共産党とはそういうところだ。」

 孔洋信は、そういうとそこにあったグラスの酒を飲んだ。

 その時に、外でまた爆発音がなり建物が揺れた。

「さて、そろそろ、地下豪に入りますか」

「ああ」

 蔡文苑は、基地の周辺のトラップのスイッチをすべてONにして、そのまま地下壕に入ろうとした。

「周毅頼は、全て他人が悪い、部下が勝手にやったというように言っているでしょう。しかし、病原菌もすべて指示したのは、周毅頼本人なのです。」

 何と周毅頼の演説の直後、そのまま毛永漢野映像が流れ始めたのである。まさか政府系のテレビ局が、毛永漢の映像をそのまま流すとは思えない。多分毛永漢に近い人か周毅頼の反対派がハッキングしたかまたはテレビ局をジャックしているのに違いない。

「周毅頼同士も大変そうだな」

 孔洋信は、その様に言って蔡文苑とともに地下豪に降りた。

 一方、厦門に来ていた援軍は、どうすべきか迷っていた。実際に、周毅頼のいう『味方するすべての軍人や組織企業』に自分たちが数えられない可能性は少なくない。ましてや、一般の市民を殺したのは、厦門の駐屯地の軍ではなく自分たちなのである。つまり、自分たちは、ここで73集団軍と戦ったとしても、自分たちも他からくる軍に攻撃され全滅させられるか、捕虜になって死刑になる運命なのだ。其れならばイチかバチか、攻撃してきた敵と戦った方がまだ生き残る確率があるんド絵はないか。

 そもそも自分たちは、すでに動画で中国どころか全世界に顔が知られているのである。

「全軍反転」

 一つの部隊が、反転した。

「うちの部隊も攻撃に備える」

「さてさて、そろそろ退散しないと、ここは大変なことになりますね」

 ワンはそういうと、銀行の地下の扉を開いた。

「ちゃんと脱出路があるという事か」

 太田寅正は、ワンが開いた地下の扉の中に入った。荒川も安斎も西園寺も、そしてヤスも銀行の中の人が皆トンネルの中に消えていた。

「マフィアはいつ狙われるかわからないのでね。ここから港にもまた、他のところにもトンネルは通じています。今回は周毅頼が陸軍を動かしたようなので、海に向かいます。」

 彼らは30分くらい歩いて、厦門の港に着きそこでクルーザーに乗り換えた。他の部下たちもすべての船に分乗し、そこから、上海に向かったのである。

「上海には、太田さんのお友達も来ているようです」

「友達だと」

「はい、葛城さんという人と藤田さんという人です」

 多分、嵯峨殿下が遣わしたのであろう。何か別な情報などがあるはずである。

「その方々はどこに」

 荒川が答えた。

「太田さんではなく荒川さんのお友達でしたか。うちの本店でお待ちいただくのもよくないので、ホテルにご案内しております」

「それならばよかった」

「あのホテルに向かってくれ」

 太田はワンに伝えた。

「もちろんですよ。」

 ワンは船を上海の方面に向かわせた。船の横には、武装をした船が4艘近寄ってきた。そしてワンのマフィアの護衛船である。ワンは上海でも大手のマフィアであり、軍に相当するような装備を持っていた。上海市長なども、一目置かなければならないほどである。

 その間、中国は大変なことになっていた。胡英華と謝思敏の動かした軍隊が、73集団軍と戦っていた。そこに王瑞環と劉俊嬰の指揮する軍が胡英華の軍に合流した。71集団軍と72集団軍、そこに南戦区の軍が合流したのである。しかし、北部戦区や西部軍区そして北京では軍が動くと、市民が殺されるなどと言い出して反乱がおきていた。

 明確に73集団軍を敵に戦っている胡英華と王瑞環の軍以外は、人民がデモを起こしていたのである。

「まずは中南海を守れ」

 周毅頼は首都護衛軍に命じるしかなかった。

 常務委員の徐平・張延は、中南海に入った。

「日本と戦争するはずが、いつの間にか人民と戦争することになると派ね」

 皮肉屋の張延は、その様に言うしかなかった。軍の経験が全くない徐平はコンピューターを開き何かを計算していた。

宇田川源流

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