「宇田川源流」【日本報道検証】 日本のGDPがタイやベトナムに抜かれる日が近い

「宇田川源流」【日本報道検証】 日本のGDPがタイやベトナムに抜かれる日が近い


 毎週火曜日と木曜日は、「日本報道検証」として、まあニュース解説というか、またはそれに関連するトリビアの披露とか、報道に関する内容を言ってみたり、または、報道に関する感想や社会的な問題点、日本人の文化性から見た内容を書き込んでいる。実際に、宇田川が何を感じているかということが共有できれば良いと思っているので、よろしくお願いいたします。

さて、今回は「日本のGDPがタイやベトナムに抜かれる日が近い」という衝撃的な内容について、正月のうちに見てゆきたい。

昨年の年末に、日本のGDPが徐々に下がっているという話がある。そして最も衝撃的なのが参考記事に出した表題の「タイやベトナムにも抜かれる日が近い」ということである。

<参考記事>

「近い将来、タイやベトナムにも抜かれる」日本の1人あたりGDPが過去最低順位に…今や『“超”経済低迷国家』となった諸悪の根源とは

12/30(月) 10:02配集英社オンライン

https://news.yahoo.co.jp/articles/6cbaf1e5d2f56627d0e224a61febb9116c72781e

<以上参考記事>

 政治の項目の最後でも少し書いたが、世界経済は二つの理由で悪化の一途をたどっている。

まず令和6年の経済状況を見てみよう。

 ロシアのウクライナ侵攻・アフリカの内戦、イスラエル=ハマス戦争及びそれに付随した中東での軍事作戦、そしてアフリカのスーダンやニジェールなどで行われている内戦や反乱などがあり、貿易が正常に行えない(シーレーン防衛にも経費が掛かる)状態でありなおかつグローバルサプライチェーンが崩壊しつつある。

 ロシアのウクライナ侵攻よりその侵攻を擁護する勢力と、その侵攻を糾弾する勢力、そしてそのどちらにも与せず中立を保つという考え方の三つの勢力に世界各国が分断されつつある。分断は政治の世界だけではなく、経済の世界にも影響を及ぼす。経済制裁という事だけではなく、貿易の妨害や商船の破壊活動や通航制限などがその内容に当たる。ウクライナやロシアにおける小麦の輸出制限やイエメンのフーシ派による紅海航行阻害などによりシーレーンの安全が守られなくなり、物価の常用を招く。

コロナウイルスによる経済の停滞

 そもそも2020年に新型コロナウイルスCovid19によって、世界のほとんどの国が通行の制限を行い、または都市封鎖などが行われた。この新型コロナウイルスによってさまざまな考え方が出てきて、経済優先で集団免疫を得るなどの考え方が出た。この時に一部の企業によって製造されたワクチンが行動の自由を得るための最善の策ということになり、多くの国がこれら企業からワクチンを購入することになったが、そのワクチンの購入のために多くの国が財政的にひっ迫する結果となり、新たな経済対策などに政府が資金を使うことができなくなってきている。

これらの影響によって2024年は経済的には悪化している。

 このような状態の中で、多くの国がその経済の打開策を模索している状態が2024年であったということになる。

では令和7年はどのようになるのであろうか。

 このような中、日本の有名都市銀行や機関投資家の「来年の予想」は基本的には「徐々に復調する」と記載されている。そもそも都市銀行や機関投資家などは、顧客の投資性向が必要なので会って、「復調しない」と書けば、多くの人が貯金貯蓄に回してしまうので、営業的にも「復調」と書くのではないか。その根拠は「インフレが一服した」「IT企業の伸びが大きい」ということから「景気回復」が見込まれるという。

 果たして本当であろうか。

 景気回復というのは「投資性向」ではなく、多くの人が「消費性向」とくに「必需品以外の消費」や「無駄や余暇」への投資や消費ということが必要になる。ある意味で「趣向品」「瀟洒品」などが景気をよくすることになる。日本のバブル期を考えれば、同様の事であろう。

 現在は相変わらず「安さを遡及する広告」が多く、「一生モノ」つまり「品質が高いが高価なもの」を購入させるような広告はほとんどない。この状態で「消費性向が高くなる」ということはあり得ないといって過言ではない。品質や性能をしっかりと伝えその価値を金銭的に評価するということが本来であれば必要であるが、残念ながらそのような企業は現在は少数派である。

 ではなぜそのような「価格訴求型」になってしまっているのか。これは「価格が安くなければ売れない」ということである。これは一つには「消費者の金銭感覚が安い方になってしまっており使用品質が限られている」ということを意味している。実際にスマートフォンやデジタルカメラなど、様々な物品が売られているが、その多くは「機能を100%全て使いこなしている消費者がいない」という状態であり、「不必要機能」または「今までの機能で十分であり新規性がない」ということになる。

 要するに「消費者が欲しい、簡単に(または日常的に)使える商品がない」ということであり、また「今までの商品とその組み合わせで十分」ということになる。このことは、「中古店」「リサイクル店」が大きく市場を伸ばしていることにも表れており、値段の高い新規商品よりも、自分が使いこなせる「身の丈に合った状態の良い中古品」を欲しがる傾向がありまたそれで十分ということになる。

 ではなぜほしい商品がないのか。

 これは日本の場合、「失われた30年」といわれる長期間の不景気やコロナウイルスによる内容から、新規商品の開発が行われていないということになる。実際に企業においては「研究部門」「新商品開発部門」の多くが廃止または縮小されているのであり、そのことによって「新たな使いやすい機能の開発」ができていないということになる。特に日本は元から基礎研究分野が得意ではなく、産官学の連携ができていない状況であり、また、軍事開発に関することがないので「必要に迫られる開発」ということがほとんどない状態であり商業ベースの開発ばかりになってしまうということから、見込みがない分野は早めに閉鎖され、または予算がつかないということになってしまい、「市場が予想できる商品」しかできない状態になってしまっている。

 このような状態を抜け出すためには、本来「頑張って無駄と思われる研究開発」を行う必要があり、市場が驚くような新規商品が必要になってくる。しかし、現在社会的に「コスパ(コストパフォーマンス:費用対効果)」及び「タイパ(タイムパフォーマンス:時間効率)」という言葉が流行しているように、公立ばかりを重視し、一見余裕や無駄と思われるものに手を伸ばす余裕がない社会構造になってしまっている。その内容を打破しない限り日本の停滞感の打破は難しいのではないか。一時的に景気がよくなっても、根本的な病巣を取り除いたことにはならないということになる。

 一方、日経平均株価は非常に高水準になっている。2012年の野田内閣の時は日経平均が10000円を割れており、一時9000円割れで話題になっていた。記録的な縁赤で1ドル=79円というような円高であり、日本の輸出産業の多くが悲鳴を上げていた状態であった。

 そもそも為替というのはバランスであり、極端な円高も円安も、経済に大きな影響を与えることになる。そのようなことを考えれば、円高で日経平均株価が下がるということは、そのまま輸出産業が非常に多く、国内需要よりも海外での日本製品の消費が多いということを意味しているのである。

 しかし、現在は逆で1ドル=150円台後半であり、日経平均株価は30000円を超えている状態である。岸田内閣の最高値では40000円を超えているという状態であり2024年の8月に暴落したといっても、30000円を割ることはなかった。

 このような状態でありながら、日本の景況感はあまりよくない。これは、「企業利益があっても内部留保が多く、市場にカネが回らない」ということが原因である。

 ではなぜ企業は内部留保をするのか。

 内部留保をするくらいであれば、新規商品開発をする、または投資をするなどをすればよいのであるが、残念ながらそのようなことをする企業は少ない。この要因は下記の内容に分類される。

 バブル崩壊以降、何が起きるかわからない状態になっており、企業も不安を抱えている。基本的に人も企業も「将来に対する不安」から「貯蓄をして備える」ということをしてしまい、その部分が市場に金銭が回らず景況感が悪化する現認になっている。

 具体的には、銀行による「貸しはがし」や「為替損」「政情不安による商業環境の変化」「銀行の融資環境の変化」「金利の上昇」などがあげられる。これらが予想をつかずに、防衛をすることしかないということになる。

 その企業の内部留保は2023年度末に600兆9857億円であり、その後も増え続けている。この金額が市場に流れ又は従業員の給与になれば、多くのことが解決する。一方で企業の健全性を計るのに、「留保利益=最初の留保利益‐純損益‐配当」という数式で表すようになっており、そのことから、留保がなければ不健全企業といわれてしまう。このようなことから「過剰内部留保に対する課税」ということが検討されるべきではないかといわれる。

 このようなことから、「従業員の過剰な保護」「働き方改革」「企業の内部留保」が、市場の新規性と資金の停滞を生んでいる。

 資金の停滞は、そのまま景況感の悪化を生み出しまた、企業の過剰な保護は「従業員の昇給を難しくする要因」になっている。これらが従業員一人一人が手取りが少なくなっている理由であり、経済政策をするのであればこの辺の構造改革から行わなければならないが、残念ながら日本の政治はそのようなところには向かっていない。

 参考記事では消費税増税が悪いと、判で押したような話が出てきているが、実際のところでは、「直間比率の変更」「社会保障費の軽減」をすればよい話である。何かといえば消費税を悪者にするが、実際に、経済が悪化していない北欧などは消費税は50%前後でり日本の10%などは税率が低い方である。このような消費税悪者論を言う人ほど、福祉国家である北欧を理想としているが、その辺の矛盾に自分自身が気付いていないのである。このような人が経済を語っている間は日本の経済はよくならないであろう。

では、どうするのか。

それは、私なりの考えがあるが、またおいおい話すことにしよう。まずは消費税だけが悪いわけではないということを認識すべきである。

宇田川源流

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