「宇田川源流」【大河ドラマ 光る君へ】 朝廷の非常事態と不吉な予兆と「源氏物語」

「宇田川源流」【大河ドラマ 光る君へ】 朝廷の非常事態と不吉な予兆と「源氏物語」

 毎週水曜日は、大河ドラマ「光る君へ」について、本当に好き勝手書いている。しかし、今年の光る君へについては、ストーリーとしては非常に面白いのである。なかなか凝った作りになっている。伏線などもあるし、またまひろ(吉高由里子さん)と藤原道長(柄本佑さん)の二人の恋心とも、またそれ以上の男女の信頼関係とも、また友情ともいえる内容から、様々なことが行われるということになるのです。

さて、今回の三共記事はこれになります。

<参照記事>

【光る君へ 第34話】朝廷が非常事態に 道長、一世一代の決断

9/8(日) 7:00配信モデルプレス

https://news.yahoo.co.jp/articles/c7a5ed9ce2a59f2995cd8145fb84300ca757de28

<参照記事>

 さて、今回は二つの物語が並行して流れていた。

一つは、興福寺の強訴である。史実によれば、発端は、大和国司の当麻為頼が興福寺領池辺園の領預である人物に乱暴を働いたので、怒った興福寺大衆が為頼の私宅を焼き討ちし、田畑二百余町を損なった。これに対して大和国は大衆を扇動したとして興福寺の巳講蓮聖を朝廷へ訴えたところ、朝廷定澄(赤星昇一郎さん)の公請(朝廷の法会に召されること)を停止した。それに怒った興福寺大衆が大挙して上洛し、強訴しようとしたが、道長の説得で引き上げたという。この時の大和守が源頼親で、事件の発端となった当麻為頼は、前美濃守頼光と大和国司頼親の威を借る郎等・従者である。

『御堂関白記』によると、6月、為頼が興福寺領池辺園預荘官を殺害した。これに対し、興福寺の定澄が三千人の僧を率いて為頼邸を襲ったのだ。この事件に対し、道長は定澄に下手人を差し出すよう命じ、蓮聖の公請(朝廷から法会や講義に召されること)を停止しています。興福寺側に非があると判断したようである。

 参考までに、藤原実資の『小右記』には、為頼が何らかの事件を起こし、興福寺が事情を問いただそうとすると、為頼は自邸の財物を搬出した上で焼き払い、興福寺の乱行を訴えたのだ。7月になると興福寺別当の定澄が道長のもとを訪れ、「正しい裁定がなされなければ、興福寺の者が大挙して都に押し寄せ、土御門殿や源頼親邸を襲う」と脅した。これに対して、道長は冷静に対処し他と記録にある。

そして、興福寺大衆数千人が入京する事態になるが、道長は官吏に興福寺大衆を追い立てさせて退去させた。ドラマでは検非違使を使って排除したことになっている。興福寺大衆が退去した後、道長は、興福寺側の要求のうち、事件の実情を調査する実検使の派遣には応じましたが、頼親と為頼の解職には応じず、定澄に対する公請停止取消にも応じ無かった。こうして、この事件は道長の全面的勝利に終わったのだとか。

 これが一つのストーリーとしてしっかりと書かれている。このような詳しい内容にはないっていないが、しかし、その内容がわかりやすく書かれている。ある意味で藤原道長と定澄の対立という形になっている。

ドラマは、藤原道長と対立する人ということが出てくる。その次に出て区rのが宿敵の藤原伊周(三浦翔平さん)である。中宮彰子(見上愛さん)のところにいる親王のお見舞いに来るが、しかし、その親王が伊周を嫌う。

その表情から、伊周は自分の甥であるはずの親王からも嫌われ、そして、そのことが伊周を復讐に駆り立てるということになるのである。

この時期、藤原道長は、彰子と一条天皇の間に子供ができないという事から、追い詰められていたといううことになる。そしてそのことをうまくするためには、まひろによる源氏物語とそれによる内容が解決の方法であるということになる。

まひろが「中宮の方から心を開かなければならない」ということを道長に進言するのは、そのような事からではないか。そして、その道長は、火災などが続いたことや、藤原家の寺である興福寺との対立から大和国の金峰山へ参詣に旅立つ。これに対して、藤原伊周が、暗殺を企てるというところで今週は終わる。

 さて、「源氏物語」が徐々に読まれてゆき、清少納言の「枕草子」が薄れてくるということになる。しかし、その中において「源氏物語」そのものが「誰が主人公なのか」「本当は誰のことを書いているのか」ということが話題になり、中宮彰子は「そのことがわからない」といい「一条天皇が何が面白いと思っているのかが見えてこない」ということになる。そしてそれの原因が「心を自分から開かないから」ということであるところをまひろが見抜くのである。このような「物語を通し、その物語の感想からその人の精神状態を読み解く」というのは、様々な場面で行われていることであり、現在でも作家などは、キャラクターなどをしっかりと見てゆくので、似たようなことができる。ある意味で、作家は「物語の登場人物の全員の性格を知り、全員の運命を握っているようなもの」であるから、その性格の人がそのまま動けばどのようになるのかということを見ていることになる。まさに、その「作家としての能力」こそが中宮彰子の心を開くことにつながるのであろう。次回は、その心を開いた彰子の物語になってくるということではないか。

宇田川源流

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