「宇田川源流」 パリオリンピック開幕 異例の屋外開会式

「宇田川源流」 パリオリンピック開幕 異例の屋外開会式


 よくスポーツを観戦すると、テレビで見ていた方がよく見えて、なおかつ大きく見えて、そのうえ全体が見える上に解説までついていてよということがある。もちろん、それらのメリットを上回る以上の「現場の臨場感」や「観客やファンの一体感」ということがあるのだが、実際によく見えなかったり、見えなかったりすると、なんとなくテレビの方がよかったなどと考えてしまう人が出てくるのもうなづける部分がある。

さて、今回のパリオリンピックは、世界の混乱の中で行われた。ロシアのウクライナ侵攻やイスラエルとハマスの戦争、アフリカの各地では内戦が起きており、また韓国と北朝鮮はゴミ風船が飛び交っている状態である。ある意味で「分断の社会になりつつある」という中で、今回の「世界が一体となった」オリンピックである。ルールのあるスポーツで平等に世界が競うということから「平和の祭典」というようになっている。しかし、今回の内容は、そのような「分断」があるために、開会前にテロなどが起きており厳戒態勢が行われていた。フランスの「新幹線」であるTGVが三路線でテロが発生して利用が不可能になり、また、スパイなどの容疑で様々な人が逮捕されている。そのうえ、パリ市内は、移動に6倍の時間がかかり、8万人の警備員が銃をもって構えているということになる。

そこまでして訴えた「フランスの考える平和」とは何か。

まず、今回の内容はセーヌ川を6キロメートル、船で各国の選手団が移動し、その沿岸に様々な出し物が用意されているということである。劇場型の海上の開会式ではなく、ある意味で「アトラクション型」という感じで、ディズニーランドの「カリブの海賊」のように、自分が移動して様々な出し物を楽しむというスタイルである。その内容は全く事前に報道されていなかっただけではなく情報も出されていなかったために、マスコミは四苦八苦であった。それだけではなく、「全体を俯瞰してみることのできない開会式」である。まあ、パリ全体が会場であるといえばそれまでであるが、海上に行った人、セーヌ川沿岸で見ていた人は、その先で何があったかはわからないで終わってしまったのではないか。同時に、世界の人々がどのような表情で入ってくるかなどもわからず、今までとは全く異なるものであったということになる。

パリ開会式、前例のない大ピンチに陥った各国報道陣に注目「締め切りに間に合わせる新聞記者に…」

 パリ五輪は26日(日本時間27日)、セーヌ川沿いで開会式が行われた。夏季五輪としては史上初めて、競技場の外で開催。あいにくの雨となったが、それゆえに生まれた“史上初”の珍光景をカナダのレポーターが報じている。

 現地で大会を取材するカナダ公共放送「CBC」のレポーター、デビン・ハーロウ氏は自身のXにある動画を公開。屋外に設けられた記者席にて、各国のメディア関係者が作業しているが、屋根がなく雨ざらしの環境。パソコンなど精密機械を扱うものには“大ピンチ”だ。ポンチョを着て、濡れないように覆いながらも作業している者もいるようだ。

 スタジアムでの開会式であれば、屋根がある場所で作業できたはず。今回は屋外開催だったため前例のない光景が広がった。ハーロウ氏は「開会式で雨の中、ポンチョを着て、パソコンに入力し、締め切りに間に合わせるすべての新聞記者に祝福を」と記し、苦戦する同業者たちの様子を伝えていた。

 花の都パリでは1924年以来、100年ぶり3度目の開催。32競技、329種目が実施される。スローガンは「広く開かれた大会」で、環境に配慮した五輪を目指している。

7/27(土) THE ANSWER

https://news.yahoo.co.jp/articles/91a3cebfc44311ee1101ef386938f0b59097811e

【開会式】闘病中のセリーヌ・ディオンが熱唱「愛の讃歌」エッフェル塔から高らかに

<パリオリンピック(五輪):開会式>◇26日(日本時間27日)◇セーヌ川

 歌手セリーヌ・ディオン(56)が、パリ五輪開会式で歌声を響き渡らせた。

 柔道男子100キロ超級で五輪制覇2度のテディ・リネールと女子短距離で3つの金メダル獲得のマリー・ジョゼ・ペレクが最終走者として聖火を点火した後、エッフェル塔に登場。パリの街並みを前に、高らかに「愛の讃歌」を歌い上げた。

 セリーヌ・ディオンは、22年12月に神経系の疾患スティッフパーソン症候群と診断されたことを公表。闘病している中、開会式でパフォーマンスを行ってステージ復帰すると報じられていた。

7/27(土) 日刊スポーツ

https://news.yahoo.co.jp/articles/a29bce06c8a6206c63c252b3042d67d7253a48fe

 さて、批判も様々にある。まずはフランスの歴史で多分フランス革命を演じているのであるが、ギロチンが出てきてマリーアントワネットと思われる人が首を切り離され、血を吹き出しながら歌を歌唱する。まあ、日本ではこのようなのはすぐにPTAの人々が教育上よくなどということを言うが、実際に歴史上あった話なのであるから、その衝撃などを見せるのは教育上普通のことである。衝撃を受けたというような批判は、逆に「衝撃を受けるから、そのような歴史を認識する」のである。その意味では私は批判があってもこの演出はよい。逆に、「平和でなかった時代」をしっかりと表現することで、平和を感じることができる。

一方、「多様性」として、髭を生やした女装のダンサーが踊り狂っていたり、ドラッグクイーンがそのまま踊っているなどは、今の世の中では多様性を表現しているということになるのかもしれないが、しかし、私は逆に「教育上よくない」ということなのではないかという気がする。少数派を尊重することはよいが、少数派を公の場で出して多くの人と共有できないことを行うのはいかがなものか。まあ、これが「フランスの考えた世界が一つという象徴でありなおかつ平和なのであろう」というような感覚になる。

さて、縁輸つ全般としてはさすがに芸術の都パリであると思える。光と闇の使い方が非常に絶妙であり、また色彩感覚は素晴らしい。これは会場が一つではなく全体が俯瞰できないということから、逆に一つ一つの「出し物」が際立ってしまったのではないか。

そのように考えると、一つ一つは意味がありまた全体を通して、「平和と統一」というテーマであったことがよくわかる。しかし、フランス・パリということがあまり強調されずに、「アメリカ人であるレディーガガ」が出場してみたり、オリンピックレジェンドも、カールルイスが出てくるなど、何かフランス的なものが少ない内容になっていなかったか。

ある意味で「統一」と言いながら「闇鍋的」な「混沌」というような感覚になってしまった。全体としてまとまりが少ない内容になってしまったような気がする。

しかし、それらの中でも「闘病中」のセリーヌ・ディオンが愛の参加を歌ったのは、非常に良かった。もちろん彼女もカナダ人であるが、ある意味で、彼女がうまくまとめてくれたというような感じがする。

まあ、賛否両論あるがいずれにせよ「歴史に残る開会式」であったことは間違いがない。同時に、もう一つ否定的なことを言えば、「選手が主役の開会式ではなかった」ということではないか。あくまでも選手を主役にした演出がもう少しあってもよかったのではないか。

宇田川源流

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