「宇田川源流」【現代陰謀説】 ロシアの「刺客」がヨーロッパ全土に蔓延る

「宇田川源流」【現代陰謀説】 ロシアの「刺客」がヨーロッパ全土に蔓延る

 毎週金曜日は「現代陰謀説」をお届けしている。日頃のニュースの中に潜む「陰謀」や、政治の裏舞台で動いている「何か」を、いくつかのニュースを読み合わせたり、それまでの知識をフル活用して読み解くということをしながら、マスコミの「報道しない自由」を見破り、陰謀に騙されないようにするための連載である。

実際に様々なことが陰謀で動いている。しかし、日本で言うような「陰謀論」はさすがに世の中には動いていないことがほとんどである。ユダヤの陰謀やフリーメーソンといったところが、何の目的かもわからないが世界をかき回すことなどをしても何の得にもならないのである。そのような事よりも、実際に「動いている陰謀」を見るべきではないか。

今週は、いくつかの陰謀候補がある。

一つはイランのライヒ大統領の「ヘリコプター墜落死」である。この事件に関しては、そのニュースが報道された直後から「アメリカによる暗殺」とか「イスラエルが怪しい」などの話が出ているが、どれも根拠のない戯言である。アメリカがヘリコプターを・・・などという話が出ているが、実際には、Mi171ヘリlこぷたーというロシアのヘリコプターであることが明らかになっている。またイラン政府は、初めから「事故死」というようにしており、その内容の中には「整備不足であった」ということが言われている。このように全く根拠のない、それまでの関係値だけで疑わしいということを勝手に憶測で陰謀論に仕立て上げる人が少なくないのであるが、はっきり言って何の意味もないし、わざと情報をかく乱しても仕方がないのではないか。

一方、ハマスとイスラエルの両指導者にICCから逮捕状請求の話が出てきている。人道違反ということなのであろうが、これもどうなのであろうか。そもそも戦争というのはそのような物であり、宣戦布告してしまい戦っていることに関して、様々なことを外野が行っても意味がないのかもしれない。宣戦布告をしないで攻め入っているロシアとは話が違うような気がする。ただし、そのように「逮捕状」が出るということ、つまり「人道違反」という話をすること自体が、なんらかの勢力に動かされているのであろうか。

さて、今回は、その二つの事件ではなく、その前に会ったスロバキア首相の銃撃事件である。

至近距離から5発 スロバキア首相“銃撃” なぜ狙われた?

 白昼の屋外で国のリーダーが銃撃されました。スロバキアの首相はなぜ狙われたのでしょうか。

■スロバキア首相を“銃撃” 男を拘束

 銃撃事件直前、政府の会合に出席していたスロバキアのフィツォ首相です。その会合のあと、集まった人たちに近寄った時でした。

 男がフィツォ首相に至近距離から発砲。その場で取り押さえられ拘束された男。

 地元メディアなどによると、容疑者は71歳の男でショッピングモールの元警備員。作家、あるいは詩人とも報じられています。

 フィツォ首相が集まった人たちに近づき、握手した時を捉えて、男は5発発砲したとみられています。

 複数のメディアは、そのうちの1発がフィツォ首相の腹部に当たったと報道。映像では、フィツォ首相とみられる人物が倒れ込む姿が確認できました。

 現場にいた人

「彼(フィツォ首相)が柵の前で倒れました。これは悪夢だと思いました」

 銃撃された直後、両脇を抱えられて車の後部座席に乗せられたフィツォ首相とみられる人物。スロバキアの副首相は、BBCの取材に「手術はうまくいった。現時点では命に別状はない」と話していますが、詳しい容体はわかっていません。

 フィツォ首相はなぜ狙われたのか?

(佐藤裕樹記者報告)

「衝撃的な事件から一夜明け、スロバキアのメディアは各紙一面で大きく伝えています。容疑者の男は事件後、警察署で政府の政策に同意できないものがあったと話したということです」

 安倍元総理と会談したこともあるフィツォ首相は、去年の総選挙で、ウクライナへの軍事支援の停止などを訴えて政権をとり、再び首相に就任。ロシア寄りとされています。

 スロバキア政治に詳しい 成城大学法学部 福田宏教授

「フィツォ首相という政治家は、弱者に優しいということで支持を得てきたところがある。ただ一方では、非常に攻撃的な物言いがあったり、表現の自由とかそういう規制をかけるとか、EU的な価値観とか人権などの面で問題があるのではないかとか、社会の分断を招く政治家の一人。ある意味、敵が多かった」

 スロバキアのエストク内相は、「犯行は4月の大統領選後に決められた政治的な動機」だと発表。その大統領選では、フィツォ首相に近い人物が勝利していました。

5/16(木) 19:51配信テレビ朝日系(ANN)

https://news.yahoo.co.jp/articles/9726ed361686b395c0107fd7d137293be57ffa09

 スロバキアの首相フィツォは、元々は東ヨーロッパの保守派、つまり、日本で言えば社会主義的な考え方による勢力基盤で当選している首相である。中道左派政党「スメル(方向)・社会民主主義」 (SMER-SD) の党首であり、ウクライナ支援とロシア制裁への反対を表明し国内の親露派の支持を集めた。2023年9月30日に執行された国民議会選挙でスメルは150議席中42議席を獲得し第1党となり、10月2日にズザナ・チャプトヴァー大統領より組閣要請を受けた。10月11日、スメルと中道左派政党の声・社会民主主義、右翼政党の人生・国民党は3党連立政権を樹立することで合意した。

 同年10月25日、チャプトヴァー大統領より首相に任命された。直後の翌26日、ロシアによるウクライナ侵攻はスロバキアには一切無関係であるとして、選挙時の公約通りウクライナに対する支援は人道および民生分野にとどめ、軍事支援は停止すると発表下のである。

しかし、2024年に入り、その態度が急激に変わる。ウクライナ支援を表明し、ウクライナに侵攻しているロシアを非難し始めたのである。もちろん、我々から見れば正常に戻ったということになるのであろうが、ロシアや、ロシア系国民、または左派の人々からすれば、裏切られたような形になったのではないか。

5月に入り、支持者の前に表れたところを、72歳の左派系支持者より銃撃を受けた。弾は5発命中し、一時は命の危機があったとされているが、一応命の危機は去ったと伝わる。

さて、もちろん動機という意味では、「裏切られた」で良いのであろうが、しかし、スロバキアでそんなに簡単に武器が手に入るのか、そして5月全てを命中させるような技術はどこにあったのであろうか。このように考えると「背景組織」があり、銃を打つ練習やそもそも同期を持て怒らせるようなことがあってもおかしくはない。つまり、「実行犯は、一人でも背景組織がある」ということは間違いがない。

つまり「裏切り者を始末する」というのは旧KGBのやり方であり、なおかつその人々が一人をそそのかして実行犯に仕立て上げるというようなやり方であろう。これは「銃で撃てば、死んでしまえば第一党が中道左派であるので、またロシアひいきの人間に首相が変わる可能性があり、死ななくても、フィツォ自身が考え方を変える可能性がある」というように踏んでいると考えるべきである。逆に、以前の暗殺のようにリトビネンコのようなやり方(放射性物質を呑ませるなど)では、療養中に何かを発言する可能性があり、そのことによって、ロシアがかえって敵を増やす可能性があることや、やり方からロシアが関与しているというように見せてしまうということになる。

このように考えると、当然い「ロシアの工作部隊は、なるべくスロバキア国内で決着をつけて、左派政党に衝撃を与えるべき」と考え、死んだ場合と死ななかった場合の二つのしなりをもって、対応していたことが見えてくるのではないか。

そのことは、そのまま、ロシアの工作部隊が、様々な国、特に旧東欧には様々な意味で入り込んでいて、いつでもこのように工作ができるというようになっているのではないか。そのような感覚を持っていてもおかしくはない事件ではなかったかと思うのである。

宇田川源流

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