「宇田川源流」 このタイミングで行われた日米首脳会談の本音

「宇田川源流」 このタイミングで行われた日米首脳会談の本音

 4月10日に岸田首相が「国賓待遇」で訪米し、日米首脳会談が行われた。日本では「国賓待遇」であることから、当然に元首主催の晩餐会が行われ、そこでのスピーチばかりが報道されているのであるが、晩餐会の内容などは特に国政の問題ではなく、あくまでも「余興」の範囲でしかないのである。

本来必要なのは「議会での演説」や「首脳会談の内容」そして、その他の「外交的な成果」が重要なのであって、スピーチで爆笑を取るのであれば、イギリスで笑いを取った「とにかく明るい安村」さんと変わらないということになってしまうのである。

さて、そもそもは「国賓」と「国賓待遇」とではまったくことなる。国賓というのは、「国家元首が相手国の国家元首を賓客として迎える」時に行うものである。つまり、日本では天皇陛下をアメリカに迎える時に、アメリカの大統領が主宰して、国賓として迎えるということになる。国家の総理大臣は、実際にはそのような元首ではない。そのような意味で「国賓待遇」になっているのに過ぎないことを、まずは岸田首相は考えるべきである。つまり、賓客ではなく「接遇レベルを国賓レベルに挙げただけ」であって、アメリカは決して国賓であるとは思っていない。それなのに調子に乗ってジョークを飛ばしてご満悦というのはあまり頂けない話ではないのか。もちろんジョークで会場を温めることが悪いわけではないが、しかし、まずは、そのような話ではなく「政治や日米関係に関連したジョーク」と中身にこだわるべきであろう。

さて、なぜこの時期なのか。

アメリカは11月に大統領選挙があり、そのことによってこの時期にはスーパーチューズデーが終わってバイデンが候補になっている時期である。そのことから、大統領選挙の道具として岸田首相をうまく使うということになっていたはずである。当然に岸田首相はその思惑に乗り、そのうえで、今の国内の政治不信を払しょくすべく演説を行いながら、トランプ氏が大統領になってもよいように演説をしなければならない。そのうえで、日米関係を、対中・対ロ・対北朝鮮というようなことから、経済関係まですべてにおいてその内容をシッカリと、見てゆかなければならないのではないか。その意味で、晩餐会の話は全て無視して、ここでは日米首脳会談の内容を見ることにする。

日米首脳会談、共同声明「未来のためのグローバル・パートナー」を発表…「ミサイルの共同生産」への協議開催を盛り込む

 【ワシントン=森藤千恵】岸田首相は10日午前(日本時間10日深夜)、バイデン米大統領と米ホワイトハウスで会談した。新時代の日米同盟を目指し、「未来のためのグローバル・パートナー」と題した共同声明を発表した。ウクライナへの間接支援も念頭に、「ミサイルの共同生産」に向けた協議の開催を盛り込み、幅広い分野での産業連携を打ち出した。

 首相は歓迎式典で、「共通の価値とコミットメント(関与)により結びついた両国の協力はグローバルなものとなり、宇宙から深海までをカバーする広さと深さを兼ね備えたものになった」と述べた。その後の会談の冒頭では、「今や日米は、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を先頭に立ってリードする立場にある」と語った。

 共同声明では、日本の防衛力強化の取り組みなどを踏まえ、「日米同盟は前例のない高みに到達した」と強調。「戦略的協力の新しい時代」に入ったとの認識を示した。

 日米の防衛産業の連携を促進するため、当局間の定期協議を開催し、優先分野を特定する。ウクライナ支援で米国の防衛装備品の生産体制が逼迫(ひっぱく)していることを踏まえ、「ミサイルの共同生産」を議題とする。地対空誘導弾パトリオット・ミサイル3(PAC3)や関連部品の生産を日本が担う案が浮上している。

 定期協議では、在日米海軍の艦船やF15戦闘機など米空軍の航空機を日本の民間施設で維持整備することも議題となる。6月までに、艦船の補修に関する初めての作業部会を開く。

 有事に備え、自衛隊と在日米軍の相互運用性を向上させるため、それぞれの司令部機能を強化することも表明。航空自衛隊のT4練習機の後継となる「ジェット練習機」の共同開発・生産に向けた作業部会を設置することも確認した。サイバー攻撃に備え、重要インフラの防護で協力を強化することも申し合わせた。

 米国が主導する有人月探査「アルテミス計画」では、米側が、日本人の宇宙飛行士が月面着陸する機会を2回提供する。

 「軍民融合」を掲げる中国に対抗するため、人工知能(AI)や量子技術、半導体など先端技術の開発と保護で連携を強化することも盛り込んだ。中国産の「レガシー」(非先端)半導体への依存度を下げるため、価値観を共有する同志国と供給網の強靱(きょうじん)化を進める。

 日本の首相の公式訪米は、安倍晋三元首相以来、9年ぶり。

4/11(木)読売新聞オンライン

https://news.yahoo.co.jp/articles/189af8395f18bbbc7885c91b0b7dae1565171b4e

 そもそも、アメリカといのは、「軍事・軍需」と「金融」しかない国であるといって過言ではない。このようにここに書くと「農業がある」とか「製薬会社がある」ということを言う人がいるが、そもそも「食料」も全て軍が使うものであるし、また薬や衣料品も、軍人がけがをした場合の治療や、軍服ということで、いずれも「軍需用品」である。では逆に皆さんに聞いてみよう。アメリカで製造されたカラーテレビというものは見たことがあるだろうか。もちろんモニターはあるかもしれないが、受信機などを搭載したテレビは存在しない。ましてや冷蔵庫などは全くないのである。アメリカは軍需ではなくてよいという産業は、基本的にすべて斬り捨ててしまっており、アメリカの最後の冷蔵庫は1980年代に製造が終わっている。

そのような国との感覚で言えば、当然に「軍需用品をアメリカから買う(アメリカの経済を潤す)代わりに、日本で製造する軍需以外の商品をアメリカに提供する」というようなことになるはずだ。しかs、その「軍需以外の商品」の多くが、グローバルサプライチェーンで日本で製品化していないどころか、中国やグローバルサウスの国々に依存しなければ商品ができないということにある。

要するに、「軍や防衛を協力する」ということと、一方で「グローバルサウスで経済面を考えながら、緊急事態の自給体制をしっかりと確立する」ということが泣ければならないということになる。

しかし、岸田首相は、人工知能や量子コンピューターに関する内容や半導体などの「先端技術」の面だけで依存度を下げるとしながらも、それ以外のサプライチェーンに関しての「産業構造変化」に関して全く意識がないということが大きな問題になる。需要インフラの防護などまで言われていながら、半導体などを中国に依存してしまったり、または、そのようなことをそのまま放置しているようでは、話にならないのではないか。岸田首相が宮澤喜一首相を尊敬するといいながらも、結局それらの構造改革もわかっていなければ、日本の産業もわかっていないということになる。

もしもわかっていれば、プレゼントはそのようなモノを示す内容になっていたはずだが、なぜか、能登半島地震の被災地である輪島塗をもっていっている。石川県の経済効果を狙ったということならばわかるが、本来ならば、「お土産一つ一つに、日米関係や世界戦略の意味を求めてもらいたい」ということになる。

何度も言っているが、G7で安倍元首相がなぜ世界的に信頼されていたか。実際には当時のトランプ大統領のアメリカが出来ない中東やアフリカの平和に、安倍が世界平和のために手を付けていたということであり、西インド洋経済圏構想など、最後の資源地帯であるアフリカをロシヤや中国にとられないようにしていたということがG7の人々の大きな信用に繋がっているのである。そのことを同じ自民党の内閣でありながら、岸田首相は全くわかっていない。国内のそれも自民党という政党内の争いだけで目いっぱいになって悦に入っている感じだ。

そのような日米外交では、このような歩道になってしまうことも仕方がないのかもしれない。

宇田川源流

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