「宇田川源流」 ロシアのウクライナ侵攻から2年・何もできなかった西側諸国

「宇田川源流」 ロシアのウクライナ侵攻から2年・何もできなかった西側諸国



 2022年の2月24日に、ロシアがウクライナに侵攻した。それから2年が経過する。実際に、戦っているウクライナやロシアにしてみれば、「戦争が始まった記念日」などというものは全くないはずだ。ウクライナなどは「攻め込まれた」ということで記念も何もない。そのことから「2年の節目」などと報道している日本の「平和ボケ」がなんとなく悲しいのではないか。

逆に言えば、毎日誰かが死んでいるという状態である。そのことをまずは日本人は自覚すべきではないか。本当に「対岸の火事」ではなく、いつ日本がそのようになるのかわからない状態であるということを考えなければならない。

さて、改めて復習しておこう。

そもそも、今回のロシアのウクライナ侵攻は「戦争」とは言えないというような感じになっている。ハマスとイスラエルの戦争は、ハマスがイスラエルを襲撃したことに関しては単なる襲撃でありテロの域を出なかったが、翌日にイスラエルはハマスに対して宣戦布告をしている。これに対して、ロシアはウクライナに対して正式な宣戦布告をしたことは2年間で一度もないということになる。

要するに、主権国家であるウクライナの主権を認めず、自国の軍隊をウクライナの国土の中で展開して作戦行動を行っている、ということに他ならない。一応このことを「特別軍事作戦」という名称で言っているが、基本的には国際法違反である。この時のロシアの主張は、「ウクライナのネオナチが、ウクライナ東部のロシア系住民を虐待しているので、それを救出し、ネオナチを征伐する」というものであった。そしてドネツク州・ルハンスク州の二つの州の代表者を名乗る人物が独立を宣言し、その独立を承認したうえで攻め込んだのである。そして、その「征伐する」ということからウクライナの首都キーウを目指し、そのキーウの攻防戦を行ったのである。

しかし、その戦争の目的は、少なくともロシアの公式に発表する内容では、二転三転することになるのである。

侵攻2年 日米欧がロシア非難

 【ニューヨーク時事】ニューヨークの国連本部で23日、ロシアのウクライナ侵攻開始から24日で2年を迎えるのに合わせ、総会本会議と安保理閣僚級会合が開かれた。ウクライナや日米など50カ国超と欧州連合(EU)はロシアを「国際法違反だ」と非難し、軍の即時撤退を求める共同声明を出した。

 昨年の侵攻1年では、平和の早期実現を求める総会決議を141カ国の賛成多数で採択したが、今年は総会、安保理ともに決議案の提出は見送られた。昨年10月に始まったイスラエルとイスラム組織ハマスの衝突を巡り、イスラエル擁護の姿勢を取り続ける米国への不満を反映し、票数が減りかねないとの計算があったとみられる。 【時事通信社】

2024年02月24日 10時48分時事通信

https://news.nifty.com/article/world/worldall/12145-2825757/

「領土奪還より話し合いを」=欧州、期待から失望に―ウクライナ侵攻2年

 【パリ時事】ロシアの侵攻開始から24日で2年が経過したウクライナに対し、欧州は武器供与や避難民受け入れ、対ロシア制裁で支援を行ってきた。

 しかし、昨年始まった反転攻勢は成果に乏しく、勝利への期待は失望に一変。領土奪還にこだわらず、ロシアとの話し合いを通じた解決を望む声が高まっている。

 「戦争はいつ終わるのかと聞かないでほしい」。ウクライナのゼレンスキー大統領は今月、ドイツ南部で開かれた「ミュンヘン安全保障会議」で、戦局の行き詰まりにいら立ちを隠さなかった。

 ウクライナでは昨年5月、ロシア軍の猛攻で東部ドネツク州の要衝バフムトが陥落。翌6月からの反攻でも形勢は好転せず、今月に入ると同州の激戦地アウディイウカまで制圧された。

「われわれは反攻の行方を過度に楽観していた」(エストニアのカラス首相)ため、落胆も大きい。シンクタンク「欧州外交評議会」がドイツ、フランスなど欧州12カ国の有権者ら約1万7000人から回答を得た1月の世論調査では、ウクライナの勝利はもはや難しく「欧州はウクライナに働き掛けて、ロシアと和平交渉させるべきだ」との意見が41%に上った。「ウクライナの領土奪還を支援すべきだ」は31%にとどまった。

 1年前の調査では「ウクライナは戦争が長期化しても、全ての領土を取り戻す必要がある」との主張が38%を占めていた。昨年8月、サルコジ元仏大統領がウクライナによる領土の完全回復は「幻想だ」と発言した際は、批判が殺到した。だが、ロシアに有利な戦況が日々伝わる中、世論は理想と現実のはざまで刻々と変化を遂げている。

 欧州では昨年、最大の経済国ドイツがマイナス成長に沈み、今年も多くの主要国で景気低迷が見込まれる。皮肉にも、制裁を科されたロシアの方が戦時体制下で好況だ。こうした欧州の懐具合も今後のウクライナ支援に影を落とすとみられる。

歴史的にウクライナとつながりが深く、欧州の軍事支援を主導してきたポーランドでは、安価なウクライナ産穀物の輸入に反対する農家の激しい抗議行動が続く。ウクライナ避難民への視線も厳しく、ポーランドにとって「脅威だ」との見方は40%に達した。 

2024年2月24日 14時54分 時事通信社

https://news.livedoor.com/article/detail/25935223/

 戦争の報道をするときには、「戦果」や「どんな悲惨な状態なのか」などの、感情的な報道などをするのではなく、基本的には「何が正義なのか」ということをしっかりと行わなければならない。戦争というのは、本来は、国家の主権を持つ者がいて、その国家の主権の範囲内で法に従って行っている場合には、他国は内政干渉を行わないということが大原則になっている。その原則を崩して戦争を起こす場合は、国際法に照らして行わなければない。例えば、「戦争は宣戦布告を行った二か国が行う」というものであり、宣戦布告を行わない戦争はしないということや、「戦争は軍人同志(軍服を来ているかどうかが外形的な判断基準になる)で行い、民間人に被害を与えないようにする」「民間人を虐殺してはならない」などの国際法が存在する。その国際法を守っているのかどうかという観点が一つ。そしてもう一つは「その戦争の目的が正しいものであるのか」ということが最も重要内容ということになるのである。

国連憲章-国際条約-は、平和的手段、すなわち国際の平和と安全、正義を危うくしない方法で紛争を解決する義務を加盟国に課している。加盟国はいかなる国に対しても武力による威嚇または武力の行使を控え、いかなる紛争も安全保障理事会に付託しなければならない。国連憲章第2条4項には「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。」(国連のホームページより抜粋)とあり、今回のロシアの内容だけでなく中国による、いわゆる「戦狼外交」などもすべて国連憲章違反と解釈される内容になる。

つまり、このウクライナ侵攻に関して言えば「国連憲章に違反して武力により宣戦布告もしない現状変更を試みる国家を許してよいのか」ということが最大の問題であり、報道はそのことを強く訴えなければならない。残念ながら侵攻開始から2年経過した日本の報道で、国連憲章や国家の主権ということに立ち戻り、原則論からしっかりとした報道を下報道機関は一つもない。普段から「平和」などと言いながら、このような国際法に関して言及することがないということが、どのようなことなのかを、しっかりと考えなければならない。逆に言えば、これを許せば、他の国でも「武力による現状変更」が許されることになり、さまざなな政治的な問題の「平和的解決」を望めなくなる。その様なことを日本の報道機関は望んでいるのであろうか。

特に、上記にある時事通信社の記事「戦争よりも話し合いを」というようなことを書いているが、そもそもその話し合いならば、国連で何回も非難決議などが行われ、その様な状態にもかかわらず、ロシア二次領土を割譲せよと言っているのであろうか?国際法、国連憲章違反を推奨するようなこのような報道をしていてよいのか。そうならないように、国際社会が協力しなければならないと訴えるべきではないのか。

 2年たって、改めて国際法の重要性と、その報道の在り方ということに気を付けなければならないのではないか。

宇田川源流

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