「宇田川源流」 中国の一帯一路が徐々にヨーロッパから相手にされなくなったわけ

「宇田川源流」 中国の一帯一路が徐々にヨーロッパから相手にされなくなったわけ


 イタリア政府が中国政府に対して「一帯一路」構想から正式に離脱をするということを表明し、通告した。はっきり言ってしまって、「いまさら」という感じがしないでもない。デモ、そのような内容を見ていれば、中国ということをヨーロッパがどのように見ているのかということが見えてくるのではないか。

そこで、まずはヨーロッパの世界観を見てゆかなければならない。そこで、単純に今回の件とは別にしてヨーロッパの人々の基本的な考えを見てゆこう。

まずはどの国も「自分たちが中心」と思っていることには全く問題はない。それはヨーロッパだけではなく、中国などは自分たちが中心と思って「中華」というようなことを国名につけているくらいだ。ヨーロッパも同じで、まずは中世に「大航海時代」などということを言う。しかしアフリカや東南アジアなどの国々にしてみれば「大航海」をして勝手に侵略してきたので、「大侵略時代」となるはずだ。このようにヨーロッパも当然のように自分たちが世界の中心であると思っていたのだ。しかし、ヨーロッパと「中華」との違いは、「一つの国」ではないということである。中国の場合は自分たちが一つの国であり、その国の国名を「中華」としたのである。

しかしヨーロッパはローマ抵抗の時代は自分たちが中心と思って「世界の道はローマに通ず」などと言っていたが、しかしその版図に戻ったことはない。しかし「世界」はヨーロッパ全体が自分たちの内容ではないかということになるのである。第一次世界大戦、第二次世界大戦という言葉があるが、それは「ヨーロッパ大戦」であり、世界全体で戦ったものではないということになる。そのようなところでいえば、日本の行った戦争は、日本国内では「大東亜戦争」というが、アメリカと太平洋で戦った海戦の多くは、アメリカは「第二次世界大戦」とは言わず、「太平洋戦争」といって、第二次世界大戦の中に含まないのである。当然に「ヨーロッパのいう世界」には含まれないということになるのである。

さて、そのようなイメージや世界観を持っているヨーロッパが、中国を中心にした「一帯一路」をどのように考えるのであろうか。

イタリア、「一帯一路」離脱=恩恵乏しく、中国に正式通告―欧州報道

 【パリ時事】イタリア政府は中国に対し、巨大経済圏構想「一帯一路」からの離脱を正式に通告した。

 欧州メディアが6日、イタリア政府筋の話として伝えた。先進7カ国(G7)で唯一参加したが、投資・貿易などの面でメリットが少ないと判断したもようだ。

 欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は、人権問題や資源確保、ロシアのウクライナ侵攻などを巡って立場の異なる中国との関係について、「リスク回避」を訴えており、イタリアが実行に移した形だ。来年のG7議長国という自国の立場も考慮したとみられる。 

2023年12月6日 23時16分 時事通信社

https://news.livedoor.com/article/detail/25483958/

習氏 EUとの"関係強化"訴え

 【北京時事】中国の習近平国家主席は7日、欧州連合(EU)のミシェル大統領、フォンデアライエン欧州委員長と北京で会談した。中国外務省によると、習氏は「中国と欧州の関係発展は双方の利益と国民の期待に合致する。制度の違いからライバル視したり、競争により協力を減らしたりすることはできない」と述べ、連携強化を訴えた。EU首脳は李強首相とも会談した。 【時事通信社】

2023年12月07日 21時38分時事通信

https://news.nifty.com/article/world/worldall/12145-2687159/

 当然に、ヨーロッパからすれば「アジア人」などは「蛮族」としか思っていない。中国人は、「金」「武力」で、自分たちの国のことを大国と思っているが、しかし、ヨーロッパの国々からすれば「神の意識(王権神授説)」や「道徳」「歴史」「権威」などがなければ、蛮族であって「強くても滅びる」というように思っている。そのように考えれば、中国は「大国ではないが大きくなった国」ということになる。

そのような国は、ヨーロッパから考えれば、過去に何回も攻めてきている。古くからモンゴル帝国や、サラディン、またはオスマントルコなどがあり、その都度ヨーロッパ「世界」が一丸となってそのような「大国」を撃破してきた。そしてその国々の連合軍は、連合して軍を作り、そしてそのタイ国に攻め入ったのである。中世オスマントルコに対して行ったそのような「ヨーロッパ一丸となった戦い」のことを「十字軍」問い呼称していることになる。

しかし、ヨーロッパ世界は、積極的に「世界」から外に行き、そしてその外にある国に攻め入ったりはしない。何も蛮族の国々に行く必要はなかったのである。そのことから、「侵略され、なおかつその財宝などを略奪されたものの奪還」以外は、蛮族の国に出てゆくことはなかった。そのように考えれば、「植民地」はあっても、「世界国家」は無かったというようになる。そのように考えれば「蛮族が勝手に金を持ってくる」というような「経済圏の設置」は大歓迎である。しかし、その国が大きな力を持ち「自分たちの中心」などということを言い始め、自分たちに従うように言い始めても、誰もそれを正しいとは思わないのがヨーロッパである。イタリアは、「そのようにして自分たちの国に精神的または経済的な侵略」されたようになり、そのことは「ヨーロッパにとって何のメリットもない」ということになる。「蛮族中国」を使っているつもりが、いつも何か自分たちが搾油されると気づいたときに、イタリアは「中国を排除」するということになる。

しかし、習近平はそのようなヨーロッパのことを全くわかっていない。共産主義が一緒に行っている「唯物史観」というのは、まさにそのようなものである。歴史や権威などというものは、全く彼らの頭の中には理解できないということになるのである。そして理解できないということは、そのまま、相手の歴史のことはよくわからないということになる。そもそもヨーロッパが「アヘン戦争で勝った」国であるにもかかわらず、その負けた中国が中心になるなどということは、「世界」は認めないのであろう。そしてそのような感情がヨーロッパ全体に広がれば、反中国というようなことになってゆくの可能性もある。

習近平のEUとの会談はその反証になるのであろうか。

宇田川源流

「毎日同じニュースばかり…」「正しい情報はどうやって探すのか」「情報の分析方法を知りたい」と思ったことはありませんか? 本ブログでは法科卒で元国会新聞社副編集長、作家・ジャーナリストの宇田川敬介が国内外の要人、政治家から著名人まで、ありとあらゆる人脈からの世界情勢、すなわち「確実な情報」から分析し、「情報の正しい読み方」を解説します。 正しい判断をするために、正しい情報を見極めたい方は必読です!

0コメント

  • 1000 / 1000