「宇田川源流」 厳戒態勢で臨んだ渋谷ハロウィンは「何がいけなかったのか」

「宇田川源流」 厳戒態勢で臨んだ渋谷ハロウィンは「何がいけなかったのか」

 そもそも、という言い方をしてよいのかどうかはわからないが、基本的に「ハロウィン」などは私の幼かったころには何もなく、なんだかそんなことが外国ではあるらしいというような感じが一部のニュースであった程度である。1980年代に表参道のキャラクターショップで「ハロウィン」企画が行われ、その後、東京ディズニーランドで仮装パーティーをするようになったことから、「これは金になる」と思った多くの業者がハロウィンパーティーを行うようになったものであり、少なくとも日本にこのような文化は基本的にはなかったのである。

もともと日本には「仮装」という文化がある。平安時代の物語になるのか「とりかえばや物語」というものがあるが、そのような中には、お互いが成り代わって相手と接するという内容が書かれているのである。日本人の中には「非日常」を楽しむ文化が多くの日本人の中に根付いており、その日本人の文化そのものに、うまく「ハロウィン」が刺さったということがこの内容であろう。「ハレ」の日、という感覚は日本人には「特別な日」「無礼講」というような感覚があり、そのような感覚は普段が厳格である人々が、心から休んで楽しむということになるのではないか。厳格な身分や規律社会がある中において時たまそのような非日常を楽しむということは、それが日本の文化であるということになる。

しかし、それは「普段が規律が厳しく、そのうえ厳格な状態」であるからこそ成立するものであり、そのような規律が崩れさり、個人主義と身勝手が蔓延してしまった社会では「特別な日」は「犯罪を犯してよい」というような感じになってしまう。それまでの不文律の羽目を外すということではなく「法律やマナーという枠組みを超えてしまう」というような話になってしまうのである。まさに、外国人までそこに来て「マナーも軽犯罪もない」というようなことを「仮装」という匿名性の中で行うということになってしまうので、それでは大きな問題ができてしまうということになってしまうのではないか。

ちなみに「軽犯罪」とか「法律の枠を超えてしまっている」ということをかくが、路上でのごみのポイ捨てなどはすべて軽犯罪法に違反している行為であることを付記しておく。要するに「マナー」ではなく「軽犯罪法違反」を行っているのが、昨年までの渋谷であったということになるのではないか。

その内容に関して、今年は少し変わったようである。

「【注意】渋谷はハロウィーン会場ではありません」巨大看板が話題に 区の本気すぎる対応、背景に「例年以上のリスク」

 東京・渋谷駅に「【注意】渋谷はハロウィーンイベントの会場ではありません」とする巨大な看板が設置されたことが、X(旧ツイッター)で話題となっている。専用ロゴやハロウィーン期間中の路上飲酒の禁止等を呼びかける動画も作成されており、渋谷区がいかに問題視しているかがが伺える。なぜこれほどまでに注力するのか、J-CASTニュースは渋谷区に取材した。

■看板掲出のほか、専用ロゴや動画の作成も

 渋谷区では例年、ハロウィーン期間の来街自粛を呼びかけており、2023年9月12日にも長谷部健区長が記者会見で、「ハロウィーン目的で渋谷駅周辺に来ないでほしい」と呼びかけたことが報じられた。

 看板には「【注意】渋谷はハロウィーンイベントの会場ではありません」「NO EVENT FOR HALLOWEEN ON SHIBUYA STREETS.」の文字が大きく記載され、路上喫煙とハロウィーン期間の路上飲酒の禁止について説明されている。さらに「渋」の文字をモチーフに、路上飲酒や路上喫煙を禁止することを示したロゴもあしらわれている。

 また渋谷区は公式XとYouTubeでハロウィーン期間中の渋谷駅周辺への訪問を控えてほしいと呼びかける動画を公開。Xでは日本語、英語、中国語の3か国語で投稿した。

 渋谷区はJ-CASTニュースの取材に対し、看板は10月16日から渋谷駅前に設置し、ロゴは「今年度用に作成したデザイン」とした。

 これほど大規模に来街自粛の呼びかけをしている理由については、次のように回答した。

「例年ハロウィーンの期間には日本の国内外から多くの方がいらっしゃいますが、今年については、現在の来街者数がコロナ前もしくはそれ以上になっている状況であり、また、コロナ前以上に路上飲酒が渋谷に根付いてしまっており、住民とのトラブルや惨事になりかねない事故・事件も発生しているという状況です。

区としては、何も対策を講じなければ、昨年までとは比べられないほどの人出により、雑踏事故やトラブルの急増が予想され、住民や来訪者の安全・安心の確保ができないことに強い危機感を抱いています。そのため、警察や鉄道事業者など関係機関に協力を要請し、例年以上の雑踏事故防止対策を検討しています。

区として、『渋谷に来ないでほしい』と訴えることは非常につらいことですが、来街者の安全を第一に考え、国内外の人々に来街自粛を要請させていただいております。

質問の(看板の)掲出についてもその一環として行っているものです」

 看板の反響については「多くの方に上記の意図を知っていただき、ハロウィーン期間の来街自粛について皆様のご協力をお願いできればと思います」と回答した。

 渋谷区では10月27日18時から24時、28日から31日の0時から5時、18時から24時、11月1日の0時から5時の期間、定められたエリアでの路上飲酒が条例により禁止されている。

2023年10月18日 20時16分J-CASTニュース

https://news.nifty.com/article/domestic/society/12144-2610628/

 そもそも渋谷に関しては、「渋谷の商店街」が、ハロウィンで人を集めて「金儲けする」ということになる。そもそも2019年までは「ハロウィンは渋谷の誇り」などということを渋谷区は言っていたのである。それが変わったのが2019年のハロウィンで軽トラックを横倒しにするなどの犯罪が大きくクローズアップされるようになってからである。しかし、そのことが報道されれば、当然に、それでも許されるというような感じになってしまい、そのことが世界からの人を集める結果になる。

2022年の10月に韓国のイテオンで150人を超える被害者を出した群衆押し倒し事件が起き、そのことから、渋谷も警戒するようになったが、まさにそのような感じになってしまうということになっているのである。

それでも渋谷の人々は「持ち帰りの酒を売る」ということをやめないし、コンビニでは缶酎ハイなど簡単に手に入れることができる。。あれだけ呼びかけたので、何とかなったのかもしれないが、そもそも論として「仮装」が悪いのではなく、酒とマナー違反が悪いのである。その辺が本末転倒していることがよくわかっていない。そしてそのようなことをしないためには根本、つまり「アルコールを売らない」ということを徹底するべきであり、売っている店から清掃や警備の費用を出すべきであろう。そのような「受益者負担」ができておらず、すべてを禁止してしまうのは、何か事件が起きるとすべてを禁止してしまう日本の行政のわけのわからないところである。

事件が起きた時に「何がいけなくて、何を問題にするのか」という事、そのことが全く見えてこない。事件の解決方法や予防方法がすべてを禁止するということによって、今度は数年後「ハロウィンなのに渋谷には人が来なくなった」などの苦情が商店会から相次ぐことになり、また、すべてを解禁するような感じになってしまうのではないか。そうすれば「元の木阿弥」である。

そのようなことをしっかりと見ながら、まずは何が重要なのかということをしっかりと見るべきであるし、日本の文化などを研究したうえで「正しい楽しみ方」と「マナー」を考えるべきではないか。

宇田川源流

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