「宇田川源流」【現代陰謀説】 プリゴジン暗殺説と偽装暗殺説の境目

「宇田川源流」【現代陰謀説】 プリゴジン暗殺説と偽装暗殺説の境目

 毎週金曜日は「現代陰謀説」をお届けしている。実際に現在起きている陰謀をここで見てゆくという話であり、それも日本の中における記事を中心にして、基本的には特殊な情報源をなるべく少なくして、その陰謀の内容を見てゆこうという企画である。もちろん、マスコミはそのようなことをわかっていてっもそれを隠して書くわけであるし、また、わかって家も書かないことも少なくない。日本のマスコミの一部には基本的に情報をしっかりとすべて出しているのではなく、ある意味で野党や中国や韓国に寄せた「ポジショントーク」や「機関紙的な報道」しかしていないというような部分もあるので、そのようなものからしっかりとファクトを抽出して、書かれた日本語に惑わされることなく、しっかりとした意味を見ながらちゃんと行うべきであろう。

そのうえで、先週と紺種は「暗殺」ということになってしまった。さて、「暗殺」というのは、ある意味で最終の手段である。というのは「一人を殺してもあまり意味がない」ということが最大の理由である。実は組織というのは、一人を殺してもそのカリスマ性で方向性が決まっていない限り、その方向性は全く変わらないわけであり、例えば、ISにおいてバグダディを殺しても。ISのテロがなくなるわけではないということになる。そのうえ、その一人を殺して、より強力な指導者が生まれてしまうと、外部の人間はより一層不利になる。このように考えると、今回のワグネルの場合「ワグネルという組織の幹部をすべて殺さなければならない」ということになる。

日本での歴史上の暗殺で参考になるのは本能寺の変であろう。明智光秀は織田信長を本能寺で殺したが、その幹部をすべて殺すには至らなかった。そのことから、15日後に秀吉に山崎の合戦で敗れてしまう。うまく信長とその後継者の信忠を殺したまではよいのであるが、それ以外の幹部に逆にやられてしまうばかりか、「かたき討ちをした」ということで秀吉がカリスマ性を持つことになるのである。もちろんその展開から、「秀吉黒幕説」が出てくることになる。

さて、プリゴジンは死んだのかということが非常に興味深いところであろう。報道では死んだということになっているが、しかし、あまりにも手際が良すぎるし、また、飛行機が落ちて炎上しているのに、DNA鑑定で死体を特定することが非常に早かったような気がする。本当に死んだとしてもロシア政府はなぜ、「死」の発表を急いだのであろうか。

プリゴジン氏 ワグネルが死亡と発表も生存説浮上〝死の偽装工作〟の可能性を英紙が報道

 民間傭兵組織ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジン氏の乗った飛行機が、23日にモスクワ北西部に墜落。死亡したとされるなか、一部でロシアのプーチン大統領による粛清を恐れたプリゴジン氏の偽装事故だったのではないかとの見方が広がっていると、24日の英紙「デーリー・メール」が報じている。

〝プーチン大統領の料理人〟とワグネル創設者の2つの肩書を持つプリゴジン氏が、自らの身を窮地にさらすことになったのは、ワグネルを率いてモスクワに進軍した6月のクーデター失敗だった。プリゴジン氏は、あくまでロシア軍トップのゲラシモフ参謀総長とショイグ国防相への反発で、プーチン大統領に対してではないと主張したが、世界中からプリゴジン氏が粛清される可能性を指摘されていた。

 予想に反してプーチン大統領はワグネルを許していたが、そんななかで起きた今回の飛行機墜落事故。ワグネル関連チャンネルは「真の愛国者であるプリゴジン氏が死亡した」と発表した。しかし、これはプリゴジン氏による自身の〝死の偽装工作〟ではないかという見方もあるようだ。

 6月のクーデター失敗以来、プリゴジン氏はこれまで以上に自身の安全に慎重になって細心の注意を払っており、同氏に近い関係者も「墜落した飛行機はプリゴジン氏のものだが、通常は別の航空機に乗っていた」と話している。

 デーリー・メールによれば、飛行機が墜落した当時の空域には、実際にプリゴジン氏の2機目の飛行機も飛んでいたと報じており、さらなる臆測を呼ぶことになりそうだ。

2023年8月24日 12時29分 東スポWEB

https://news.livedoor.com/article/detail/24857330/

 さて、今回ロシアは否定しているものの、ロシアが暗殺したとすればその目的は何であろうか。

世の中のインターネット的には、「復讐」などということを言い、アメリカの研究機関もそのようなことを言っている。しかし、「復讐」で派手な殺し方をする必要はない。イギリスに逃げたリトビネンコのようにプリゴジン一人を殺せばよいのであり、飛行機で明らかに「プーチンが殺したかのような殺し方」をする必要があるのかということが今一つ疑問だ。

さて、あえて陰謀といううことなので、本当に死んだのかどうかという陰謀論で見ることにする。

陰謀論的にいれば、「本当に死んだ場合」というのは「どうやって殺したのか」「どうやってモスクワにプリゴジンを呼んだのか」という二つで十分である。その意味では、本当に殺してくれていた方が簡単だ。本当に死んでいた場合は、死んだことに関する陰謀よりも、死んだ後の両者の関係や周辺の変化などの先読みが重要になる。

一方「死んでいない場合」つまり「死んだことにして本当はプリゴジンが生きている」という場合が重要である。その場合はしっかりと陰謀を考えなければならない。

その場合は「誰に狙われた」のか「誰と協力して死んだことにしたのか」という二つ。そのうえで、「自分が死んだ後のシナリオ」と「その目的」そして「自分が生きているということをいつ公表するのか」ということを、事前に見ておかなければならないということになるのである。

さて、今回は「現代陰謀説」なので、あえて「プリゴジンが自作自演で死んだことにする」というシナリオを考えてみる。

その場合、まずは生きているということをにおわせてはならないということになるので、協力するのは真っ先に死んだ可能性が高いと発表したアメリカCIAと、ベラルーシのルカシェンコ大統領ということになる。飛行機でほかの幹部を殺しておきながら、自分のDNAが付いた何かを置いて、自分が死んだように偽装し、プリゴジン自身は陸路またはほかの飛行機によって移動したということになるであろう。

当然に今回の飛行機の航路は「モスクワからサンクトペテルブルク」であったから、ここで爆弾を仕掛けられるのは本人とロシア政府(プーチンまたは軍)ということになるのであるから、自分を殺したロシア軍への復讐または報復攻撃ということが大きな問題になる。残されたものはそのようにするであろうから、当然にベラルーシ軍などはそのような動きをするであろう。戦争の準備が整うまで、何もしないということになるのではないか。幸い、ロシアはウクライナ方面で兵力を完全に消耗しているので、特に仕掛けない限りはロシアからワグネルやベラルーシに戦争を仕掛けることはない。つまり、ワグネル側から仕掛けることができる。何しろ6月に反乱した時もロシア軍側からは、ワグネルに仕掛けていないのである。

そのうえで、ロシア軍や、新しい民間軍事会社などを叩き、そのうえで、和不利化などの利権を確保すると同時にウクライナ戦争を終結させるということになる。

ベラルーシにしてみれば、その時にロシア国内で政変が発生するので、その政変に乗じて軍を動かせばよいということになるのである。

うまくゆけばこのようなシナリオになり、そのうえで、チェチェンのカディロフなどに独立を促すということになる。もちろんそこまでうまくゆかなくても、ロシア国内が安定しなければ、民間軍事会社はそちらに力を割くことになるので、アフリカの李剣は確保することになる。単純にプーチンへの復讐はその混乱の中で誰か、ロシアの民衆が行うというようなシナリオになるのであろう。

今回のニュースを見て、そのようなシナリオの「成功確率」を見ることができ、そのうえで、それが実現可能かということ、そのうえで自分が死んだことにする価値があるのかということを考える。

それが陰謀ができたかどうかの話になるのである。

宇田川源流

「毎日同じニュースばかり…」「正しい情報はどうやって探すのか」「情報の分析方法を知りたい」と思ったことはありませんか? 本ブログでは法科卒で元国会新聞社副編集長、作家・ジャーナリストの宇田川敬介が国内外の要人、政治家から著名人まで、ありとあらゆる人脈からの世界情勢、すなわち「確実な情報」から分析し、「情報の正しい読み方」を解説します。 正しい判断をするために、正しい情報を見極めたい方は必読です!

0コメント

  • 1000 / 1000