「宇田川源流」 ワグネルの反乱から出たニジェールのクーデター
「宇田川源流」 ワグネルの反乱から出たニジェールのクーデター
7月の終わりになって、突然アフリカからの話が出てきた。アフリカ中西部のニジェールでクーデターが起きたという。
まずはこの背景を見るのに、アフリカの状態を説明しなければならない。そもそもアフリカに関して言えば、大航海時代という時代から見なければならない。それまでは、様々な民族が「地縁」的に繋がり、そしてその中から代表が出て王国を構成していた。王国に対して大国海時代のヨーロッパはそこを占領し植民地的な支配を行ったのである。その時に奴隷としてヨーロッパに連れてゆかれた人々の子孫がヨーロッパにいるイスラム教徒などになるということになる。
さて、その後第二次世界大戦において日本がしっかりと攻め、植民地解放を訴えた戦いを行った。この戦いは日本国は敗北したが、しかし、日本国の理念は多くの国で芽生えたということになり東南アジアやアフリカの植民地が解放されたといわれている。
しかし、東南アジアは元の王国が王国の形で、中には王国が複数連合することによって一つの国として独立したのであるが、アフリカは「植民地の領土のまま独立した」ということで不都合が出ている。つまり、地理的な特徴や民族的な特徴もなく、それらのつながりもなく分離してしまった。いや、そもそも植民地支配の時は、強い王国の勢力を削ぐために民族の集団の間に国境線や植民地の境を作ってしまい、民族やそれまでの王国を分断する形になっている。そのことから、現在元の王国や民族の独立を図る場合には、国境をまたいで行うようになってしまうのである。
そのうえで、そのような「ヨーロッパ的な秩序」を壊す内容に関しては、アフリカに植民地を持っていない旧ソ連、つまりロシアと中国が大きく影響してくる。
ニジェール新体制を各国非難
【ロンドン時事】西アフリカ・ニジェールでクーデターを起こした軍部隊は28日、バズム大統領に代わり、大統領警護隊を率いるチアニ将軍が新指導者になると発表した。チアニ氏は国営テレビで、新たな軍組織「祖国救済国家評議会」の議長として国家元首に就いたと宣言した。
欧米と良好な関係を築いてきたバズム政権下のニジェールは、西側にとって地域の重要な「同盟国」だった。一方、今回のクーデター支持派は集会でロシア国旗を掲げ、フランスを批判したとも伝えられる。政変後に「ロシア寄り」の姿勢を強めた隣国のマリやブルキナファソと同様、ニジェールも新指導部がロシアに接近する可能性があり、西側は警戒を強めている。
AFP通信などによると、チアニ氏は反乱について、イスラム過激派に適切に対処せず、治安悪化を招いたバズム政権の責任を問う行動だったと説明。過激派の活動が活発なブルキナファソやマリとテロ対策で「真の協力」を試みなかったと批判した。
バズム氏は軍によって監禁されているもよう。国際社会からは一斉に非難の声が上がり、旧宗主国フランスは、バズム氏が「唯一の大統領」だとして新指導部を認めない方針。ケニアのルト大統領も、クーデターはアフリカの民主主義を「逆行」させる行為だと批判した。 【時事通信社】
2023年07月29日 08時20分時事通信
https://news.nifty.com/article/world/worldall/12145-2470748/
私自身、アフリカに行ったり、アフリカの会議の時にアフリカの首脳などとあった時に言われるのは「世界大戦の時に日本がアフリカまで攻めて来てくれていたら、アフリカは落ち着いていたのに」ということを言っていたことがいまだに印象に残っている。実際に、アフリカは現在の国境線にしてしまったことから、内戦や紛争が絶えない国になってしまっているのである。日本の場合は「民族」をそのまま独立させるということをしていたし、元の王国をしっかりと尊重していた。そのことから、民族や宗教を強制しない集団ができていたのである。しかし、アフリカは元の植民地のままであったので民族も宗教も分断されたままの、国境線になっている。
そして、そのアフリカに現在も介入しているのがフランスである。もともとアフリカの植民地はポルトガル・オランダ・イギリス・フランス・スペインが中心であり、その中でもフランスはアフリカにおける富がそのまま現在のフランスの内容になっている。これはイギリスのようなコモンウエルスを使うような権威的な存在がなく、共和制の国であることの運命的な内容ではないか。そのことからフランスは現在も軍隊をアフリカに派遣してイニシアティブを取ろうとしている。
そのイギリスとフランス中心ということはNATOと同じであり、そこに最後の地下資源の宝庫としてアフリカに注目している中国とロシアが介入しているという構図だ。アメリカはその中において治安維持ということを目的にしながら中東の支援組織としてアフリカを見ているので、あまり関係がなく、イギリスもあまり介入していない状態である。
しかし、中国は「債務の罠」などで国を拘束するだけではなく、思い通りにならないとジンバブエのムガベ大統領やエジプトのように国内でクーデターを起こされてしまうので、あまり人気がない。つまりアフリカで人気がないのはフランスと中国であって、ロシアは以外に人気がある。
その「ロシア」として動いているのはほとんどがワグネルである。民族と組んで、その民族の中心に武器や貿易を行うということになる。貿易と簡単に言っても、何しろ内線地区で会うrので軍隊並みの護衛が必要になるために、ワグネルのような軍事組織でなければ貿易などは安心してできない。
さて、ニジェールであるが、もともとテロ組織を取り締まるということでこれまでの大統領はフランスの庇護のもとに行っていた。反政府組織というか今回のクーデター組織がワグネルの影響下にあるといえる。しかし、ウクライナの事でワグネルが反乱を起こしたたという報道が起きた。そのうえ、「反乱によって勢力が弱まるのでアフリカから撤退する」というようなことをまことしやかにアメリカやイギリス、日本のメディアが報道した。しかし、実際にはアフリカのからワグネルは撤退していない。
このような誤った報道は、日本であれば、「誤報」で済むかもしれないが、しかし、アフリカなどの国では、このようにすぐに反乱やクーデターにつながる。今回はワグネルがアフリカからいなくなったという報道で、気が緩んだニジェールの政府とフランス軍に対して、ワグネルがその存在感を示しなおかつフランスを排除したということに他ならない。この事が、今後もアフリカの混乱を招くことにつながるのである。
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