「宇田川源流」【現代陰謀説】 ロシアの軍門に下るかもしれないプーチンとそれをもくろむ習近平

「宇田川源流」【現代陰謀説】 ロシアの軍門に下るかもしれないプーチンとそれをもくろむ習近平

 毎週金曜日は「現代陰謀説」をお届けしている。我々が普通に見ることのできるニュースから、その内容をうまく読み取り、ほかの国が仕掛けている陰謀などを読み解いてみようというようなお話になる。実際に、この内容に関しては、ニュースを読むにあたって様々な知識が必要であったり、またはその内容に関して深く知っている知識があったり、または先を読む力があったりするとわかりやすいので、そのような解説を加えることを主としている。同時に、日本にいると「陰謀」というと「奇想天外な陰謀論」が出てくるので、そのようなものを排除するというような目的もあると思っていただければよい。

 さて、現在のロシアのウクライナ侵攻に関しては、「不思議な親ロ派」というカテゴリーが存在する。何か、目に見えないような「ディープステート」なる影の組織があって、その組織が世の中を操っているというようなものである。そしてプーチン大統領はその被害者で、ウクライナのゼレンスキー大統領やアメリカのバイデン大統領はその「ディープステート側」であるというような意見である。それも今まで保守といわれている人々までがそのようなことを言い出しているので、にわかに信じられない。

 もちろんそのような考え方があってもおかしくないし、また、そのようなことを否定するだけの材料はない。もちろん「悪魔の証明」ではないが「ない」ということを証明することは難しいので、主張している人々があるという証明をしてくれないと困るのであるが、なかなかそのような照明はせず、何か問題が起きてから「後付け講釈」で言ってくるので、なかなか反論も面倒である。まあ、私としてはここでこのように書いている以外には、あまり相手にしていないのであるが。それでも、以前にここで扱ったドイツの「ハインリッヒ十三世」のようなところが出てくるとなかなか興味深いところである。

 さて、そのような奇想天外な陰謀ではなく、もう少し地に足の着いた内容から考えれば、現在のウクライナ侵攻はどのようにして終るのか、そのことを考えてみるべきであろう。

習主席の軍門に下るプーチン大統領 ロシア国内で人民元取引拡大 続く西側の制裁、この機に安く「属国化」する狙い

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の国際会議に合わせて10月にも訪中し、習近平国家主席と会談する可能性が浮上した。西側諸国による制裁や封じ込めが続くなか、ロシア国内では人民元取引が拡大し、中国企業や製品の市場参入も相次ぐなど「中国依存」が強まる一方だ。習氏の優位な立場は圧倒的で、ロシアにとっては「中国の属国化」ともいえる屈辱的な状況だ。それでもプーチン氏は習氏の軍門に下るしかないのか。

 習氏は10日にロシアのマトビエンコ上院議長と会談し、10月に開催予定の一帯一路の国際会議に合わせてプーチン氏を迎える準備をしていると述べたとタス通信が報じた。

 米ウィリアム・アンド・メアリー大のエイドデータ研究所の統計では、2000~17年の間、一帯一路を含む中国からロシアへの公的融資は1254億ドル(約17兆2600億円)にのぼった。だが、中国・上海の復旦大学グリーン金融研究センターによると、ロシアのウクライナ侵攻を受けた22年1~6月、一帯一路関連の新規契約は前年から100%減、つまりゼロになった。「債務の罠」も指摘される一帯一路だが、プーチン氏は訪中で融資の再拡大を求める可能性がある。

 新興国経済に詳しい第一生命経済研究所の西濱徹主席エコノミストは「中国は欧米の制裁違反回避や、米国との正面衝突を避けるためロシアへの投資を止めたが、ロシア側は制裁の抜け穴を探っている。実質的に優位な立場の中国が、資源保有国という強みを持つロシアのプライドをいかに傷つけずに議論を進めるかが注目される」とみる。

 ロシア市場で中国の影響力は無視できないほど拡大した。ロシア連邦中央銀行は、3月の外国為替市場で人民元の取り扱い比率が39%に達したと発表した。輸入決済に占める人民元の割合も22年1月の4%から12月に23%に急増した。今年1~3月の中露間の貿易総額は前年比38・7%増の538億4000万ドル(約7兆4100億円)になった。中国の自動車メーカーの市場参入や中国製スマートフォンのシェア拡大なども報じられ、ロシアが「中国経済圏に入ることは避けられない」と前出の西濱氏は話す。

 露紙モスクワ・タイムズは、中国国外で初めてロシア科学アカデミーが習氏の教えに特化する研究センターを開設するとも報じた。

 筑波大学の中村逸郎名誉教授は「中国製の食料品や家電も量販店に並んでいるとの情報もある。ロシア人女性と中国人男性との結婚も増えているというが、今後は中国人と結婚した方が有利と考えている人が増えているとも読める」と解説する。

 北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大を防ぐためにウクライナ侵略を決めたプーチン氏だが、皮肉にも事態は逆に進み、今年に入ってフィンランドに続きスウェーデンもNATO加盟の見通しとなった。バルト海沿岸をNATO加盟国が取り囲む形となり、ロシア海軍にとっては痛手だ。ハンガリーも近く批准に入る見通しだという。

 8月には南アフリカで、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アの新興5カ国(BRICS)の首脳会議が対面で開催されるが、国際刑事裁判所(ICC)はプーチン氏の逮捕状を出している。ICC加盟国の南アには拘束義務があり、プーチン氏の出席は不透明だ。外交もままならないプーチン氏は、ますます習氏頼みとなりそうだ。

 前出の中村氏は「プーチン氏は石油や天然ガスなどの資源を背景に中国と対等な関係を望んでいるだろうが、習氏はこのタイミングでロシアを安く買いたたき、〝属国化〟を狙う可能性もある。プーチン氏は政権維持のためにも中国の保護下に入らざるをえない状況にあるのではないか」と指摘した。

7/19(水)  夕刊フジ

https://news.yahoo.co.jp/articles/18454ee3925edefc115da2fceba31728fe14b8f8

 さて、今回の内容は「ウクライナのNATO加盟」と「クリミア半島の確保」ということが重要な内容であった。そのことから、クリミア半島が奪還されれば、ロシアは昨年の2月24日の侵攻開始よりも領土を失うことになり、そのことによってロシア軍の士気は下がることになる。そのうえ、今回のワグネルの反乱を見てわかるように、ある程度の軍隊組織があって、反乱を組織すると、ロシア軍はその罪を断罪することができなくなってしまう。少なくともプリゴジン氏に関しては、そのような可能性をロシア軍の多くの人が感じてしまったということになるのである。

 そのような状態で「ロシアがウクライナに侵攻した正当性を否定し、なおかつクリミア半島を奪還された」という状態いなった場合は、プーチン大統領が求心力を失うということになるのである。

 その場合、いくつかのシナリオがある。ルーマニアのチャウシェスク大統領のように革命が起きて、プーチン大統領が処刑されるという選選択肢。この場合は、プーチンに代わる別な支配者がロシアに現れる可能性がある。またはそのような支配者がいなくなり、フセイン大統領が殺された後のイラクのような混乱をするという場合もありうる。そして、「内戦が起きて分割される」ということも選択肢の一つである。内戦の場合は、現在のロシア連邦において、様々な共和国が独立するという、旧ソ連の崩壊のようになるが、旧ソ連崩壊の時もゴルバチョフ書記長が生き残ったように、プーチンはその中の一つの大統領として生き残る可能性もあるということになる。

 いずれにせよ、現在のまま旧東側諸国の盟主として、またはG8参加国の指導者として、残るということは難しいのではないか。上記に挙げたようなディープステートがないという前提で考えてもあっても、今回のロシアの行為は国際法上の違反であり、なおかつ国連憲章に違反している。その内容をどのように償うのかということが最も大きな内容になるのであろう。その国際法違反が、ロシア分割やプーチンの暗殺などの根底原理となることは間違いがない。

 そのうえで、中国はそのようになればまた「中ロ(旧ロシア)国境」で面倒なことになる。一つのロシアであれば、プーチン大統領と交渉をしていればよかったのであるが、分割すれば、その中の一つはアメリカやイギリスなど中国と対立している国と同盟を結ぶ可能性があり、台湾進攻前に、または太平洋に進出を考えていてもその方向に気を使わなければならなくなる。つまり、弱いロシアが一つにまとまって中国の属国になってくれればありがたいのである。

 逆に分割すれば、シベリアに出兵し、オホーツク海から日本海にかけての支配権を得ようとして、日本は直接シベリアまで広がった中国と対峙することになる。いずれにせよ、台湾の次の標的は日本ということになろう。

 上記の記事は「ロシア文化す津するくらいならばプーチンを生かして一つにまとめて属国にする」というものである。すでに経済圏的にはそのようになっているかもしれないが、しかし、政治的にも「上海機構」などを通して属国支配をするのであろう。そのようなことがすでに報道されつつあるということである。逆に言えば、それだけロシアには勝ち目がないということになるのであろうか。

宇田川源流

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