「宇田川源流」 ビッグモーター事件で結局追い詰めることのできなかったマスコミ質問の不手際

「宇田川源流」 ビッグモーター事件で結局追い詰めることのできなかったマスコミ質問の不手際


 ビッグモーター(以下:BM)の不正事件に関して、7月25日に、社長記者会見が行われた。そもそも事件に関して先に解説しておこう。なお、このブログは、別段BMの犯罪性や社長に関しての追及をするようなことは全くない。このブログではその時のマスコミの内容を評価しようと考えている。

 BM社は中古車販売大手で、中古車販売のほか、自動車の整備や車検の代行などを行っていた。顧客からの預かりの自動車を、人為的に傷をつけ、またはパンクをさせるなどをして、故障個所または修理個所を増やし、そのうえで割増しで保険請求を増やすことによって売り上げや利益を上げていたという事件である。そのほかにも、事故車は売らないといって事故車を討っていたなど、様々な事件性の話が多かった。

 これらの内容が、常習的に行われており、なおかつその内容が内部告発のよって明らかになるまでずっと行われているということになる。そのことから、様々な憶測が出てきてた。注いて6月に発覚したにもかかわらず、一昨日7月25日まで社長などの公式なコメントなどは行われなかった。

 そのような事件でBMの社長が記者会見をするということになったのである。社会部の記者にとっては見せ場であるのと同時に、基本的には、その中で報道につながるな用を明らかにしなければならない状態なのである。要するに次のようなことを聞かなければならないのであり、その内容がしっかりと見て取れるような内容を出し、なおかつ割れえあれが思いつかないような失言を引き出せば合格点である。

 ・ 何が問題なのか(犯罪を構成するのか、道義的に悪いだけなのか)

 ・ 被害者が誰でどのように救済するのか

 ・ 組織的な問題なのか、個人の問題なのか

 ・ 誰が、どのような責任をとるのか

 ・ 再発防止をどのようにするのか

 さて、このようなことをやらなければならないのであるが、残念ながら今のマスコミによる質問は、すべて不発であった。

 結論から言えば、マスコミは追い詰めることはできずに、BMの社長の「逃げ切り」であろうと考える。その理由は記事の後ろに書くこととする。

 

BM社長 経営陣の関与を否定

 中古車販売大手ビッグモーターは25日、自動車保険の保険金を不正請求していた問題で、東京都内で記者会見を開き、創業者の兼重宏行社長(71)が26日付で引責辞任することを表明した。兼重氏は、「企業のトップに立つ者として非常に重く受け止めている。深く反省している」と謝罪した。不正については、「天地神明に誓って知らなかった」と述べ、自身を含めた経営陣の関与を否定した。

 不正発覚以降、ビッグモーターが記者会見するのは初めて。代表取締役を辞任する理由について、兼重氏は「企業風土を一新する。私が社長ではお客様の信頼は得られない」と説明。兼重氏の長男の宏一副社長(35)も辞任し、両氏は経営に関与しないとした。

 兼重氏は、不正を知ったのは外部弁護士による特別調査委員会がまとめた報告書を受け取った6月だったとし、「本当に耳を疑った。(不正は)個々の工場長が指示してやったのではないか」と述べた。

 後任の社長には、和泉伸二専務取締役が就任する。和泉氏は「創業者の強すぎるリーダーシップに頼り切っていた。コンプライアンス(法令順守)低下を招いた。ガバナンス(統治)を強化していく」と述べた。

 報告書によると、同社は顧客から自動車修理の依頼を受けた際、従業員が故意に車体を傷つけるなどし、損害保険会社に請求する修理代を水増ししていたとされる。保険金の不正請求は少なくとも1275件、請求総額4995万円に上る。不正の発覚以降、記者会見しないビッグモーターの姿勢に批判が強まっていた。

 国土交通省は26日にビッグモーターに聴取を行う。同社からは和泉氏や板金・塗装事業担当者らが出席する方向で調整している。

また、金融庁は、損害保険大手の保険代理店となっているビッグモーターの幹部などに対し、月内にも直接ヒアリングを行う方針。

2023年07月25日 21時40分読売新聞

https://news.nifty.com/article/economy/economyall/12213-2464003/

 さて、このような会見の場合は、間違いなく社長というのは次のような内容になるのだ。

 ・ まずは謝罪する

 ・ 犯罪は知らなかった(または報告書以降に知った)

 ・ 組織的関与の否定~個人のおよび横の連絡による犯罪

 ・ プレッシャーやノルマが厳しすぎることの原因

 ・ 責任は社長にある

 ・ 謝罪会見までに様々な調査をしていた

 ということになるのである。そのうえで、責任の取り方としてどうするかということになるのだが、今回は社長と副社長親子の辞任ということになっているのである。

 逆に言えば、これらの内容を先に予想して、これ以外の内容や失言を引き出さなければならないのである。間違いなくBMはこの一か月の間に様々な社内調査を行い、そのうえで、調査委員会というようなことを言い、そのうえでその中でしっかりとまずいところはしっかりと隠し、そのうえでこの記者会見の「受け答え」もすべて事前に調整してきている。逆に言えばマスコミはそれ以上の内容をしっかりとしなければならないのではないか。マスコミはそのようにしなければ、本音を出すようなものではないのである。つまり内部からそれ以上の情報をとり、なおかつその情報を分析しなければならない。

「確認ですが」「繰り返しますが」

 このような質問をしているようでは、話にならない。時間は限られているのに同じような話をするだけでは時間の無駄遣いでしかないのである。同時にマスコミは、全く調べていないということや、もしも取材をしていてもその取材内容を分析していないというようなことではないか。そのようなマスコミでは、話にならないのである。その辺は警察などとは全く異なる内容ではないか。

 今のマスコミではそのような話である。残念ながら、今のマスコミはしっかりと取材をしているようなものではないとしか言えない。ネットか何かで見えているような内容では話にならないのである。視聴者の感覚で出ているようなものではなく、専門家としての場が求められる。そのような意味でいえば、今回の参加した記者はすべてだめということになるのではないか。

 この事件そのものは、「保険金詐欺」「器物損壊」事件であり、社内告発以外に証拠があどれくらい出来るかということになる。そのような先を読んで、しっかりと取材ができていなければ、テレビ的にもマスコミ的にもだめなのだ。もう少しマスコミがしっかりしなければ話にならないのである。

宇田川源流

「毎日同じニュースばかり…」「正しい情報はどうやって探すのか」「情報の分析方法を知りたい」と思ったことはありませんか? 本ブログでは法科卒で元国会新聞社副編集長、作家・ジャーナリストの宇田川敬介が国内外の要人、政治家から著名人まで、ありとあらゆる人脈からの世界情勢、すなわち「確実な情報」から分析し、「情報の正しい読み方」を解説します。 正しい判断をするために、正しい情報を見極めたい方は必読です!

0コメント

  • 1000 / 1000