「宇田川源流」【現代陰謀説】 ISと中国が対立するようになった背景とその「必然」

「宇田川源流」【現代陰謀説】 ISと中国が対立するようになった背景とその「必然」


 毎週金曜日は現代陰謀説をお届けしている。現代の世の中に渦巻いている陰謀をそのままきさしようという試みである。もちろん陰謀などと言っても、あまりおかしな話をしたり、そのことをもって、ドイツのハインリヒ十三世のように(何を書いているかわからない人は先週のブログ参照してください)陰謀を信じることによってクーデターを起こそうなどと言う人が出てくることも避けなければならないので、そのようなことも考えながら見てゆかなければならない。

 世の中には「陰謀史観」というものがある。実際になんでも「陰謀」にしてしまう人がいるが、残念ながら、何でも陰謀にする人というのは、まさに、あまり頭が良くないというか、あいてをばかにしているひとであろう。このブログでも、毎週水曜日は「鎌倉殿の13人」というドラマについて書いているのであるが、そのようなドラマであっても、「伏線」というものがある。若者の間では「フラグを立てる」などと言う言葉で、似たような現象を表現することもあるのだが、その内容をドラマを見ていて「普通の帰結」というように思うことが少なくない。ある意味で、人間関係があり、その関係から見れば、当然の話ではないかという気がするのである。

 しかし、「陰謀論者」や「陰謀史観」は、そのような「当然の帰結」を全く認めないというような感じになってしまっているのである。要するに「陰謀ではない、普通のことが陰謀として表されている」ということになるのであり、そしてそのようなことを訳アリ顔で言うということは、「陰謀と言わなければ当然の人間関係や歴史などを認識できることなく、なおかつ、そのことが聞いている人もわからない」というような状況で理解しているということなのでしかないのである。

 まあ、「陰謀」というのは、「陰に隠れての謀」であり、実態として一般の人がその帰結を予想することができないというようなことになる。なぜ予想することができないかと言えば、当然に、「関係の急激な変化」や「あり得ない事象での対応」であって、そこにすべての論理性を越えた「マス」つまり「国民全体の動き」が出てくるということになる。

 実際にロシアのウクライナ侵攻などを見ていても、非合理性を持った政治的な行動といのは、いくらでも存在する。そのような「あたりまえ」を、ろくに政治の現場も知らずに、陰謀論にしてしまうと、訳が分からない話が始まるのである。

 さて、そのような中で陰謀はどのような感じで動いているのであろうか。

顕著になる中国のテロとの戦い…アフガニスタンで「イスラム国」系組織による初めての反中テロ

   やはり起きた中国人を狙った襲撃

 筆者は12月2日、「【現状分析】2つの潜在的リスク「アルカイダ」「イスラム国」…今年の世界的なテロ情勢を振り返る」と題する論考をこちらで発表した。

 その中で『アフガニスタンでテロ活動を繰り返す武装勢力「イスラム国ホラサン州」が最近ネット上で中国への敵意を頻繁に強調している』と指摘したが、それが今回ホテル襲撃という形で現実のものとなった。

 アフガニスタンの首都カブールで12月12日、多くの中国人が利用するホテルを狙った襲撃事件が発生し、医療機関の発表によるとこれまでに3人が死亡、20人以上が負傷した。死んだ3人はいずれも銃撃犯たちで、中国外務省によると中国人5人が負傷したという。

 事件後、「イスラム国ホラサン州」が犯行声明を出し、中国人を狙ったと標的を明確にした。「イスラム国ホラサン州」は実行犯たちの顔写真、事件直前の写真や動画などを事細かに公開し、同事件が念入りに準備計画されたものだったことがうかがえる。

 この事件を受け、中国当局はあらゆる形態のテロを非難するとし、タリバン暫定政権に再発防止と安全強化を要請し、アフガニスタンに滞在する中国人に対して早急に退避するよう呼び掛けた。事件前日には、タリバン暫定政権の高官と駐アフガン中国大使が会談して治安問題について協議していた。

 「イスラム国ホラサン州」は2022年9月にロシア大使館が標的となったテロ事件でも犯行声明を出したが、2021年以降、中国がアフガニスタンやパキスタンで影響力を拡大させ、ウイグル族への抑圧を続けていると中国を頻繁に非難したり脅迫したりするようになった。今回の事件はその一環であり、今後も中国権益を狙ったテロを計画、実行する可能性が高い。

   「イスラム国ホラサン州」と中国の関係

 今回の事件には、2つのポイントがある。

 まず、「イスラム国ホラサン州」と中国の関係だ。「イスラム国」やアルカイダなどジハード組織はこれまでもウイグル族への抑圧を理由に中国を非難、敵視する声明を出してきたが、最近、「イスラム国ホラサン州」が中国を強調する背景には、中国によるアフガニスタンへの関与があると考えられる。

 米中対立が深まり、米軍がアフガニスタンから撤退したことも関係してか、中国はアフガニスタンへの関与を強めようとしている。たとえば、首都カブールから南東40kmの地点にあるメス・アイナク地区の銅鉱山には推定で1108トンもの銅が埋蔵されているとみられ、中国の産銅会社「江西銅業」などは積極的に関与することで経済的な影響力を強めようとしているが、タリバンからの離反者も多く加わる「イスラム国ホラサン州」は、中国が地元の利権を搾取しているなどと反発を抱いている。

 今回それが暴力として表面化したわけだ。これは中国が進める一帯一路への反発と捉えられ、それを推し進める習政権にとっては大きな課題となろう。

   「イスラム国ホラサン州」とタリバンの関係

 もう1つは、「イスラム国ホラサン州」とタリバンの関係だ。タリバンは昨年夏に実権を握って以降、国際社会に対して政府承認や人道支援、経済協力などを要請してきたが、タリバンがアルカイダなどテロ組織と関係を断ち切っていない、依然として女性の権利を軽視しているなどとしてタリバンの思うように進んでいない。

 そのような中、中国権益を明確に狙ったテロ事件が発生したことで、今後タリバンと中国との関係が冷え込み、中国企業による経済進出が停滞するだけでなく、他の国々もアフガニスタンへの投資や支援にますます消極的になる可能性がある。

こういったテロ事件は、タリバンの治安維持能力が不十分であることを露呈するだけでなく、人権や食糧不足、経済停滞など多くの人道的課題に直面するアフガニスタンをさらなる負のスパイラルに追い込むものであり、断じて許せない暴力である。

 一方、「イスラム国ホラサン州」のように、「イスラム国」を支持する武装勢力はアジアや中東、アフリカに点在しているが、同組織が中国への敵意を強調することで、各地の支持組織も同様に中国権益への攻撃をエスカレートさせるかという問題がある。

 しかし、各地に点在する「イスラム国」系武装勢力の大半の構成員は地元民で、現地に根差した武装勢力であり、独立して活動している。よって、連鎖反応のように各地で中国権益を狙ったテロ攻撃がエスカレートする可能性はかなり低い。

 しかし、3期目の習政権が今後いっそう一帯一路を押し進め、南アジアやアフリカなどで政治的、経済的影響力を高めようとすれば、アフガンスタンのように各地で活動する「イスラム国」系武装勢力による反中テロに拍車が掛かる恐れは排除できない。

 3期目の習政権にとって、今後テロとの戦いは難題になるかも知れない。

【執筆:和田大樹】

2022年12月15日 18時10分 FNNプライムオンライン

https://news.livedoor.com/article/detail/23383295/

 少し長いのであるが、記事のとおりである。私は以前「難民問題は、中国がしかけた陰謀だった!」(2016年 青林堂)を上梓している。興味のある人は読んでもらいたいがその本の解説には「なぜ中東難民がヨーロッパ各国へ?その答は崩壊寸前の中国国家主席習近平が狙う一発逆転の世界征服の野望にあった。難民問題も中国が裏で糸を引いていた!?」と書いているのである。

 さて、実際に中国人というのは、自分たちの「あまり中長期の事を考えたり、過去の歴史などに基づいた信用などを基に政治的・外交的な内容を組み立てる事」はしない民族である。いや、もともとは深慮遠謀ができる人材は少なくなく、「項羽と劉邦」の時代の「張良」や、「三国志」の時代の「諸葛孔明」や「司馬仲達」など、「軍師」と言われる人物も多く、これらの人々は、すべて心理などもしっかりとしていた。高潔な人物であったようで、諸葛孔明などは自分が死んでも桑畑があるから心配しなくてよいというような話もしているほどである。

 では、そのような中国人がどうしてこのようになってしまったのか。それは「共産主義による唯物史観」が原因である。歴史や心理といった目に見えないものに全く価値を感じないのであるから、当然に「人間関係の軋轢」などには全く無頓着であろう。日本国内も出、人目を気にしないで不遜に動く中国人観光客を見かけることがあると思うが、まさに、マナーや人間関係、社会の秩序など目に見えないものはまったく気にしない、そこに価値を感じない中国人ならではの事であろう。

 そのために「自分が嫌われている」ということは全く気にせず、そのことで外交の基本を打ち立てるようになる。その内容こそが、中国人の最大の「強さ」であり、同時にそのことがばれてしまった後は「弱点」になる。

 私が上記の本を書いたときには、ISは味方を探していた。自分たちの理解者は必要で、なおかつ、そのような相手からの支援は非常に重要なものであった。しかし、司馬らうして形成が不利になると、中国人や中国政府は冷たい。中国人は当然に「自分たちに役に立つ者に対しては金を払うが、役に立たない相手には、冷たい」という「人間関係」や「信用」ということにはまったく気にしない。そのことから「蜜月」と言われた関係が悪化することも十分にありうるのである。

 中国は習近平の「一帯一路」を推進するにあたって、そこに反対したり、非協力的である政府を排除するために、中東における反米や反民主主義陣営に支援をしていた。しかし、それも景気が良い時だけである。ある意味で「芥川龍之介の杜子春」のような感じで、良い関係の時は良いが、悪くなると見向きもしないという状況になるのであるから、困ったものだ。その内容を知っているISは、明確に「一帯一路を旗頭に中東に入ってくる中国を排除する」ということになろう。

 旧ソ連、そしてアメリカ、いずれもアフガニスタンに介入して入りきることができなかった。では中国はどうなるのか。元の唯物史観的な陰謀にさいなまれることなく、信用を築くことができるのかは、かなり大きな問題である。

宇田川源流

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