「宇田川源流」【大河ドラマ 鎌倉殿の13人】 三谷幸喜氏による「新規解釈」と「その伏線」が訴える「ドラマとは何か?」

「宇田川源流」【大河ドラマ 鎌倉殿の13人】 三谷幸喜氏による「新規解釈」と「その伏線」が訴える「ドラマとは何か?」


 毎週水曜日は、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」について、好き勝手書いている。皆さんがSNSなどで買いいるところと似たようなことになることもあるし、また、そうではなく、私独自の視点であることもあるが、残念ながら、政策人と何らかの関係があるわけではないということになる。

さて今回のサプライズの一つ目は、ナレーションをやっている長澤まさみさんが、北条家の侍女役で出演。これは以前からネット上などで話題になっていたのであるが、それでもなかなか面白い演出だろう。このような演出については、ヒッチコックがよくやっており、彼は映画の中で必ずヒッチコック自身が出てくる場所を作っていた。今回は三谷幸喜氏が出ているわけではないが、ナレーションをやっている人がナレーションの役を越えてドラマ本編に出てくるというのは、なかなか面白い。そのうえ、その時のナレーションで今回の描く期間をしっかりと伝えているということが、これはこれで面白い。

そしてもう一つは「平盛綱」である。

ちなみに平盛綱とは、一応歴史上の記録では、平資盛の子、或いはその曾孫ともされるが、確かな出自は不詳である。今回は孤児として八田知家に連れてこられ、菜と鶴丸といった。それを八重(北条義時の最初の妻という設定)が、北条義時の家で育てられ、また、水遊びをしているときに八重が死んでしまうきっかけを作った。八重の死後、他の孤児はひきとられていったが、鶴丸だけは義時の家に残り、家人として泰時と共に過ごしていた。

ある意味で、その者が「平家」を名乗るという。まあ、義時の考えで「平和になった鎌倉に平氏がいてもおかしくはない」という考え方から、そのような名づけになっている。そしてその平盛綱が、北条家を支えるということになる。

ある意味で北条義時の政治や北条泰時の葛藤を最も身近で、なおかつ幼少の時から見ているのであるから、政治手法などは「見についている」ということになろう。門前の小僧習わぬ経を読むということになる。

その平盛綱は、執権が別当を兼ねる侍所の所司を務め、承久3年(1221年)の承久の乱や貞応3年(1224年)からの伊賀氏の変の処理において実務能力を発揮して北条泰時・経時・時頼ら3代の執権を助けている。ちなみに、この平盛綱の子孫が平禅門の乱を起こした平頼綱であり、また、鎌倉時代末期の実力者長崎円喜などが出ている。要するに、北条得宗家の中で重きをなしているということになるのだ。

そのような平盛綱に関して、孤児として北条泰時同様に義時に育てられたということが、得宗家とのつながりを強くしたということにつながるのである。ドラマ外の史実にも繋がる伏線を三谷幸喜氏は作っているということになるのではないか。

【鎌倉殿の13人】源実朝、驚きのカミングアウトにネット騒然「まさかのBL要素」「奥さんもかわいそう」

 俳優の小栗旬が鎌倉時代の第2代執権・北条義時を演じるNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(日曜・後8時)の第39回「穏やかな一日」が16日、放送された。3代鎌倉将軍・源実朝(柿澤勇人)の意外なカミングアウトがネット上で話題となっている。(以下、ネタバレがあります。ご注意ください)

 物語の終盤、実朝の正室・千世(加藤小夏)は、世継ぎができないことを周囲に心配されていると相談。「私にそのお役目がかなわぬなら、ぜひ側室を」と願い出た。実朝に煮え切らない回答をされると、「どうして私からお逃げになるのですか? 私の何が気に入らないのですか?」と迫った。

 すると、実朝は千世の手を握りしめ、「初めて人に打ち明ける。私には、世継ぎをつくることができないのだ。あなたのせいではない。私はどうしても、そういう気持ちになれない。もっと早く言うべきだった。すまなく思うから、一緒にもいづらかった」と打ち明けた。

 千世は「ずっと、お一人で悩んでいらっしゃったのですね。話してくださり、うれしゅうございました」と話し、抱きしめた。「私には応えてやることができない…」と躊躇(ちゅうちょ)する実朝に、「それでも構いませぬ」とギュッと抱きつく。実朝はそっと千世の背中に手を伸ばした。

 ネット上では、実朝のまさかの告白に驚きの反応が広がった。「鎌倉殿辛いな…」「鎌倉殿も奥さんもかわいそうだよお……」「鎌倉殿も千世殿も優しい……だから辛い」と心配する声や、「鎌倉殿にまさかのBL要素キター!」「泰時のことが好きなの…鎌倉殿」「切なすぎるだろう、実朝が」と深読みするコメントも寄せられた。

 この日の放送では、語り部を務める長澤まさみが、義時の館に勤める女中役でサプライズ出演した。

10/16(日) スポーツ報知

https://news.yahoo.co.jp/articles/006a9a0a68ff11e1ff2abda6e26cbb1eff6e5b99

 そもそも「歴史ドラマ」とはどのようなものであろうか。一つでは史実を書くということになる。つまり、歴史の流れに沿った内容でドラマを進行するということになる。これは二つのことがある、一つは歴史のフィクションやIFを書いてはいけないということにである。つまり、例えば源頼朝が滅ぼされて平清盛が幕府を開いたり、義経が東北をまとめて京都まで攻め上ったなどと言うことはいけないのである。もう一つは、あり得ないことも書いてはいけない。つまり、頼朝と義経がスマホで連絡を取ったり。タイムマシーンで時代を超越するなどしてはいけないのである。

逆に言えば「歴史的な流れを踏まえ・あり得な技術や科学などを使わなければ、何をしてもかまわない」ということになる。特に「セリフ」や「動機」など、この「鎌倉殿の13人」でも、解釈がそうなるのかと思ったものも少なくなかったし、また源頼家の死に方など、史実では風呂に入ってるところで襲われたということになるのであるが、ドラマでは、善児が猿楽に化けて殺すというやり方になっている。

では「なぜ、そのようなことをするのか」ということになる。これは単純で、「ドラマのテーマがあり、そのテーマを最も効率的に伝えられるように変更する」ということになる。これは歴史の記録、つまり今回で言えば吾妻鏡において、歴史の流れはしっかりと見えるが、しかし、本人の動機やその時発した言葉などは、どこにも記録はない。その言葉に関しては、後に誰かが作ったり、作家が作った内容が少なくないが、しかし、現代に伝わるそれらの内容も、全て「創作」でしかないのである。

例えば、板垣退助が岐阜で襲撃されたとき、「板垣死すとも自由は死せず」といったと言われていて、それが広く知られるが、しかし、実際には「痛い痛い」と言っていたと記録に残る。ある意味で「後世に残るその人のイメージ」があり、そのイメージに沿った「創作」ができる。しかし、それが創作で歯科な場合は、新たに解釈を入れてもよいのだ。板垣退助のように100年しかたっていない人物でそのレベルである。鎌倉時代のように800年前となれば、その解釈の幅は広くなるのではないか。

その意味で、「源実朝男色説」というBLを展開した。これは、今夏のドラマにおいて現代のテーマである性同一性障害などを出していることになるのであろう。つまり、現代の問題を鎌倉時代の人において訴えるということになる。実にNHKらしいテーマを三谷幸喜氏がうまく本に書いたということであろう。それも「和歌」を使って男性に恋の歌を渡すということ。そしてそのことから、実朝に子供がいなかったという話につなげ、そして公暁との確執に繋がってゆくということになるのではないか。その公暁も、今回で京都に修行に出るということになり、また、その実朝が推した和田義盛が望みをかなえられず、平盛綱が御家人になるというような確執も出てくる。そこに和田の変へつながる伏線も出てくる。

折り重なる伏線をうまく処理しながら、現代のテーマを織り交ぜてゆく手法はさすがである。

宇田川源流

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