「宇田川源流」 G20財務省・中央銀行総裁会議にロシアが出席して統一見解を出すことができなかったことへの雑感
「宇田川源流」 G20財務省・中央銀行総裁会議にロシアが出席して統一見解を出すことができなかったことへの雑感
宣戦布告をしていないので、戦争というのは実際に堂なのかということが問題なのであるが、実質的には戦争ではないかという気がしないでもない。ロシアの夜ウクライナ侵攻が現在も続いている。実際に5月9日のロシアの対ドイツ戦勝記念日が一つのポイントになるのではないかといわれているのであるが、それも当事者ではない人の「憶測」に過ぎないのであって、それをどのように考えるのか、またその後どのように対処するのかということが重要になる。
しかし、そのような場において、ロシアとの対話の窓口をしっかりと見ておく必要があるのではないか。その意味で、以前から予定されていたG20、財務相・中央銀行総裁会議がこのタイミングで開かれたのは、なかなか興味深い。
さて、本題に入る前に「G20とは何か」ということを書いておこう。私が何か言うよりは、財務相のホームページより、その説明を抜粋する。
<以下財務省ホームページより抜粋>
20か国財務大臣・中央銀行総裁会議(G20)等
アジア通貨危機等により、国際金融システムの議論を行うに際しては、G7に加え、国際資本市場へのアクセスを有する主要な新興市場国の参加が必要とされることが認識されたことを受け、1999年6月のケルン・サミットにおけるG7財務大臣会議において創設が合意されました。
国際金融システム上重要な国々が、主要な国際経済問題について議論し、世界経済の安定的かつ持続可能な成長の達成に向けて協力することを目的としたフォーラムで、1999年以降、毎年1回開催されています。
参加メンバーはG7、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、中国、インド、インドネシア、韓国、メキシコ、ロシア、南アフリカ、サウジアラビア、トルコの各国財務大臣、財務大臣代理、中央銀行総裁と、EU議長国財務大臣と欧州中央銀行(ECB)総裁のほか、IMFや世界銀行等の国際金融機関の代表です。
<以上抜粋 https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/convention/g20/index.htm>
さて、この会議に、ロシアが出席した。
G20 鈴木財務大臣は退席せず
G20財務相・中央銀行総裁会議に出席した鈴木財務相は閉幕後、日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁とともに記者会見した。鈴木財務相は、米英、カナダなどがロシアの発言時に退席したことについて、「私は事実関係として退席しなかった。退席せずに会議の場でロシアを厳しく批判させていただいたということだ」と述べた。
20日の外国為替市場で、2002年4月以来、20年ぶりの円安・ドル高水準となる1ドル=129円台半ばをつけるなど、急激なペースで円安が進む状況については、「高い緊張感を持って市場動向を注視していること、G7でもこれまでの合意に沿って緊密な意思疎通を図っていくことを確認した」と述べた。
2022年04月21日 13時02分 読売新聞
https://news.nifty.com/article/economy/economyall/12213-1590782/
G20が閉幕 露発言時に退席も
【ワシントン=田中宏幸、山内竜介】米ワシントンで開かれた主要20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は20日午後(日本時間21日未明)、閉幕した。オンラインで参加したアントン・シルアノフ財務相らロシア代表団の発言時に西側諸国の一部が退席するなど、ロシアのウクライナ侵攻を巡る対立が浮き彫りとなった。
英政府などによると、ロシア代表団の発言時、イエレン米財務長官や連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長のほか、英、加の代表団らが退席した。
G20会議の閉幕後、議長を務めたインドネシアのスリ・ムルヤニ・インドラワティ財務相が記者会見し、ウクライナ侵攻と日米欧などによる対露経済制裁について「世界経済の回復を妨げるという認識を共有した」と述べた。
今回のG20は、ロシアを強く非難する日米欧などG7(先進7か国)と、G20からのロシア排除に反対する新興5か国「BRICS」の中国やブラジルなどとの亀裂が開幕前から表面化し、異例の展開となった。
日本からは、鈴木財務相と日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁が参加した。
2022年04月21日 06時24分 読売新聞
https://news.nifty.com/article/economy/economyall/12213-1590064/
今回開催されたG20の財務相・中央銀行総裁会議では、経済政策をロシアのウクライナ侵攻を終わらせる制裁手段に使う日米欧の先進国などと、制裁に反対のロシア、中国が真っ向から対立する結果になった。実際にはロシアが出席するという時点でこのような結果になるということは予想されていた、実際にアメリカなどは、ロシアが出席しないものと考え、そのうえで、ロシアへの非難決議をする予定であったとされているが、そのおも枠が完全いはずれたということになる。逆に言えばロシアは、そのようなアメリカやイギリスなどの思惑をつぶし田ということになるのではないか。
国連人権理事会のロシアの理事国資格停止決議では、G20加盟国のうち賛成したのは日米欧の先進7カ国(G7)を中心に11カ国。対ロ経済制裁では、米国が主導する輸出規制の枠組みへの参加も9カ国にとどまる。中国は制裁に反対、インドも後ろ向きで、溝は隠せなくなっていた。
この事から「ロシア・中国を中心にした国々」と「アメリカ・イギリス・フランスなどを中心にした国々」による「新東西冷戦」が顕在化してきたのではないかと思われる。もちろん、中国などは「デジタル人民元」などを行うということは、人民元を国際通貨とし、そのうえで、人民元経済圏を作るということを考えており、その経済圏を「一帯一路」というようにユーラシア大陸全体に広げようとしている。その思惑にロシアが組し、アフリカや中東などを囲い込む。それに対してアメリカなどはそれを許さないというような形で行う。そもそも、世界の決済は90%近くがドル決済であり、そのことからデジタル人民元はなかなか難しい。その上、中国の債務の罠などで警戒感が募っていて、なかなか中ロを中心にした「新東側諸国」が数が少ない。しかし、それでもロシア・中国だけでなく、反米という意味でイランや北朝鮮・シリアなどが入り、そしてインドが中立的な状況になってくることになる。
今回の内容は、そのような意味も含めて「東西冷戦・中ロを中心にした独自経済圏を作ることのきっかけになる」ということで、共同声明は無かった。
「G20が機能しないとはきょうの会合では感じなかった」。日本から出席した鈴木俊一財務相はこう語ったが、議長を務めたインドネシアのムルヤニ財務相は終了後の記者会見で「G20はこれまで通りではなかった」と認めた。<上記より抜粋>
まさに日本の鈴木財務大臣や財務官僚の感覚の鈍さが問題である。まさにそのようなことで日本がまた国際社会から後れを取るのではないかというようなことが、懸念されるのである。
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