「宇田川源流」 日本が開発した「サハリンガス田」のガスが中国に輸出され日本を攻撃するための兵器になるという「皮肉」

「宇田川源流」 日本が開発した「サハリンガス田」のガスが中国に輸出され日本を攻撃するための兵器になるという「皮肉」


 現在の状況で、ロシアと中国が、少なくとも日本やアメリカの価値観から考えて、何かおかしな、「武力による現状変更」をしようとしていることは明らかである。どちらが正義化というような話をしても、中国人に聞けば、当然に自分たちを正当化するわけであるから、あまり意味がない。しかし、中国人やロシア人のやり方に関して、多くの日本人はあまり自分たちの感性に合わないものであるという感覚は捨てきれないのではないか。何か、不公平感というか、違和感というか、そのようなものを持っている人が少なくないのは間違いがない事実であろう。

所で、「戦争」というものは、それが規模によって「紛争」といわれようと、その原因は「政治的バランス」「経済」「資源」といったところになる。基本的には、資源以外、源氏ア多くの人が「遺産相続」など、民間人が裁判や喧嘩をするのと同じ内容でしかない。さすがに、国家同士の場合「酔っぱらって喧嘩になった」というようなことが無いものであろう。通り魔のような戦争も「巻き込まれた」というような形で存在するのであるから、「国家」という組織が「人間」になったのと同じように考えてみれば面白いのかもしれない。まあ、国家も、その運営は国民や国家の政府が決めることなのであるから、人間が紛争になるところとほぼ同じということになるのではないか。

さて、その資源。日本は、残念ながら、その資源戦争に関してはかなり不利な状況になっている。この内容は二つの大きな動きにひょって、現在は、戦後最弱な状況であるといってよい。

そもそも、先の大戦においても、日本は「資源戦争」であったといって過言ではない。日清戦争・日露戦争という「石炭と鉄鉱」が主力の産業から、「鉄・アルミと石油」の時代に変化し、またその為に石炭で電気を作る時代になっていた。石炭に関して満州・そして鉄やアルミ(ボーキサイト)及び石油を「南方資源地帯」というようなところに進出するしかなく、その為の戦争であったのだ。

しかし、戦後それら南方資源地帯や満州国をすべて手放すことになった日本は、輸入による傾斜生産方式で経済を立て直した。そして、その資源を海外に直接確保するというようなことにになる。小説「改造といわれた男」の出光家の内容などは、まさにその物語である。また軍艦島や夕張炭鉱などの国内石炭採掘もすべて、「自前の資源の確保」ということをしていたのである。

しかし、プラザ合意でそれを手放し、安い物を買うというようになった。そのうえ、民主党政権で「相場乱調の場合の国による補助金」を事業仕分けで失ってしまったので、それ以降、日本は資源に関する力はかなり失われていた。2010年で、日本が単独保有している石油鉱区はゼロであったのだ。

ロシア、中国にガス輸出へ 米制裁下のサハリン沖から=関係筋

[モスクワ 8日 ロイター] - ロシア国営のガスプロムは、ロシアと中国が最近結んだガス供給契約に基づき、米国による制裁の打撃を受けている極東のサハリン沖から中国にガスを輸出する可能性がある。複数の関係者とアナリストが8日、ロイターに明らかにした。

 中国にとって第3位のガス調達先となっているロシアは、欧米との対立が激化する中、中国との関係を強化している。プーチン大統領は4日、習近平国家主席と会談し、天然ガスを中国に年100億立方メートル追加供給することで合意した。

 ガスプロムによると、中国国営の中国石油天然ガス集団(CNPC)と極東ルートで天然ガスを供給する長期契約を締結した。

 このプロジェクトがフル稼働すると、中国へのガス供給量は年間100億立方メートル増加し、既存のパイプライン「パワー・オブ・シベリア」と合わせて供給量は480億立方メートルに達する見通し。

 ガスプロムは新契約のガス供給源は明らかにしていない。同社とCNPCはコメントの要請に応じていない。

 関係者2人が明らかにしたところによると、ウクライナ危機におけるロシアの関与を理由に米国が2015年に制裁下に置いたユジノ・キリンスコエを含むサハリン沖の区域からガスが供給される可能性がある。

 オホーツク海のキリンスキー区域の一部であるこの油田には石油も埋蔵されており、米制裁はロシア深海における石油とガスの探査・生産に関連している。

ロイター 2022年2月9日

https://jp.reuters.com/article/russia-china-gas-idJPKBN2KE057

 旧ソ連が崩壊する直前、そしてその崩壊直後、ロシアは経済的にひっ迫していた。実際に、エリツィン大統領は、国内の売れるものを全て売って財政の再建をはかるということになったのである。この時、橋本龍太郎総理との間で、北方領土2島返還論があり、その内容で日本が今までの設備料を瞑目に金を払うということを合意していたが、日本国内の保守派が「本来日本の領土であった土地を返還するのに金を払うとは何事だ」「そもそも4島一括返還すべきで2島しか返ってこないなどはけしからん」などと反対し、北方領土返還は2島であっても全く実現できなかった。その結果、それから30年経過した現在、どのようになっているかは、現状を見てのとおりである。日本は、少なくともロシア側から変換するという申し出を「蹴った」ということになってしまい、その後の返還交渉も難しくなっているのである。

エリツィン大統領はその時に、当時天然ガスや石油が埋蔵されているというところを開発するようになる。黒海油田やサハ共和国のダイヤモンドなど、そのようなものも採掘して売るようになる、当初はその採掘権を販売するなどの事を行うようになるのである。サハリンのガス田も同じで、当初は「サハリン1」というものがあり、その次に「サハリン2」が出る。

サハリン島(樺太)周辺に豊富な化石燃料資源が存在することは早くから予想されていた。その中で、1991年にソビエト連邦政府はサハリン北東部沖のピルトン・アストフスコエ(弁連戸 べれんと)鉱区及びルンスコエ(呂郷 ろごう)鉱区の2鉱床の開発を国際入札を用いることを発表した。この入札には複数の会社が手を挙げた。1994年にロイヤル・ダッチ・シェルと三井物産、三菱商事の三者が合同でサハリン・エナジー社を設立し、ロシア政府と生産物分与協定(PSA)を締結した。当初のサハリン・エナジーへの出資比率は英蘭シェルが55%、三井物産25%、三菱商事20%であり、総事業費は100億ドルと見積もられていた。1999年には第1フェーズ原油生産が行われ、さらに2001年に全体開発計画がロシア政府によって承認された。

さて、これは2009年以降徐々に操業するのであるが、軌道に乗るころには、契約年数が経過してしまい、その為に、開発資金を出した所は、その元が取れたかどうかは不明ということになる。基本的に三菱や三井、ダッチ・シェルなども、今一つその収支は見えていないが、大儲けしたとは限らない。何しろ総投資は「数兆円」とも言われており、かなりの金額になるのである。

さて、そのガス田からのガスが、当時の開発で何もしていない中国が手にするという。

ガスプロムによると、中国国営の中国石油天然ガス集団(CNPC)と極東ルートで天然ガスを供給する長期契約を締結した。このプロジェクトがフル稼働すると、中国へのガス供給量は年間100億立方メートル増加し、既存のパイプライン「パワー・オブ・シベリア」と合わせて供給量は480億立方メートルに達する見通し。<上記より抜粋>

さて、これが政治である。

同時に、軍事的な圧力をかけることのできない日本は、ロシアにも中国にも苦情を言うことができない。そもそも、企業が契約しているものでしかないので、国家が得てゆくこともできないのである。上記のように、北方領土もそのままである。

今の日本の岸田政権は、このようなニュースが出来ても、何もできない状態になっている。実は資源に関して日本の外交力が試されているのであるが、マスコミに大きく報道されない内容は、あまり岸田内閣は動かないようである。非常に残念な状況ではないか。日本が開発したガス田から、日本を滅ぼすかもしれない兵器が作られる。それが日本人の取ってよいことかどうか、そしてそれを目の当たりにして、日本人は何をすべきなのか。

よく考えるべきではないか。

宇田川源流

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