「宇田川源流」【現代陰謀説】 イギリス議会の中で暗躍する中国人工作員というニュースの行方

「宇田川源流」【現代陰謀説】 イギリス議会の中で暗躍する中国人工作員というニュースの行方


 金曜日は「現代陰謀説」をお届けしている。実は昨日のロシアがカザフスタンとウクライナの両面作戦をしている話も、十分に陰謀的な内容であるが、しかし、今の日本の人々は、ウクライナの事もカザフスタンの事も、あまり報道されていないので、情報がないという状態なので、これをそのまま陰謀論に入れるのはやめたという事情がある。日本というのは、カザフスタンやウクライナの事は、それがロシアと関係があることであってもほとんど報道をしない。もし報道をしたとしても、明らかになった事実だけを、それも本当の「障り」だけ行うというような感じになるのである。このような内容が、いくら象徴的であるとしても、突然陰謀であるとして話をしても意味がないのではないか。

 それにしても日本の報道空間というのは、全く困ったもので、どの報道を見てもすべてがコロナウイルス・オミクロン株であり、重症化しないと言われていながら「感染者が増えた」として恐怖をあおる報道しかしていない。一方、北朝鮮のミサイルに関しても、また、中国の尖閣諸島沖の領海内侵入にしても、また、ロシアのウクライナやカザフスタンに関しても全く報道は薄いものばかりである。いずれも「日本の隣国」の事なのである。それにもかかわらず、そのような情報を報道することができないで、何が報道機関なのかよくわからない。情報はしっかりと、多くの情報を総合誌勘案しそして有権者にその選択肢を与えるのが報道の役目であり、そのようなことができないならば、報道から身を引くべきではないだろうか。

 逆に、ある意味で報道機関がこれらの国に買収されているという「陰謀」があるのではないかという気がしないでもない。もちろん、そのようなことはあり得ないなどというが、先日立憲民主党がインターネット放送局とはいえ、そこの製作費を出していたことが話題になった。製作費などが少なくなってきているテレビ局や広告が少なくなってきている新聞社などは現在であれば簡単に買収されてしまう可能性が疑われる。そして、今回、中国がそのようなことをしているということが、イギリスから報告されたのである。

英MI5、「中国工作員」が議会で暗躍と警告 中国は否定

 クリスティン・チン・クイ・リー氏は英ロンドンとバーミンガムで法律事務所を経営しているという

 英情報局保安部(MI5)は13日、中国の工作員とみられる人物が献金を通じてイギリスの議会に食い込み、政治に介入しているとする、異例の警告を発した。中国側は介入を否定した。

 MI5によると、クリスティン・チン・クイ・リーという名の女性が中国共産党のために、現職の英下院議員と下院議員を目指す人との「つながりを確立」していたという。

 リー氏は中国や香港の非英国人から得た資金を、イギリスの政治家たちに献金として渡していた。

 この情報は、MI5による「長期にわたる重要な」調査で得られたものだと、英ロンドンの官庁街ホワイトホールの情報筋はBBCに語った。

 一方、ロンドンの中国大使館は声明を出し、イギリスの政治への介入を否定した。

★   下院議員や野党党首らに献金

 最大野党・労働党のバリー・ガーディナー下院議員は、2014年末からリー氏の法律事務所「クリスティン・リー&カンパニー」から献金を受けていた。

 下院議員の利益登録簿によると、2020年までの間に42万ポンド(約6500万円)以上を受け取っていた。そのほとんどは議会調査担当者の人件費に使われていた。

 リー氏の息子がガーディナー氏の議員事務所でボランティアとして働き始め、後に正式に採用されていたことも分かっている。

 ガーディナー氏は声明で、寄付金の受け取りと、リー氏の息子を雇っていたことを認めた。しかし一方で、リー氏については「何年も前からMI5と連絡を取っていた」とした。

 ガーディナー氏はMI5について、「彼女(リー氏)が私の事務所と関わりを持ち、過去に私の事務所の研究者に資金提供したことをずっと知っていた。私から十分に知らせていた」と主張した。

 また、リー氏には調査担当者の任命に関して「何の役割も与えられていなかった」とし、全ての献金を「適切に報告した」と述べた。

 さらに、「MI5はクリスティン・リー氏を介して不適切な資金が流れていることを間違いなく特定していた。その一方で、私の事務所が受け取った資金はこれとは何ら関係ないことは、MI5から保証されていた」と付け加えた。

 ガーディナー氏はリー氏の息子が13日に辞任したことを認めた。そして、この息子が母親の行動を知っていた、あるいは共犯だったことを示す情報をMI5は持っていないとした。

 一方、野党・自由民主党の党首サー・エド・デイヴィーも、エネルギー相時代に5000ポンド(約78万円)の献金を受けていたが、同氏は地元の団体が受け取ったとした。

★   「深く懸念」

 プリティ・パテル内相は、「中国共産党の代わりに政治干渉活動に従事していることを承知のうえで、国会議員を標的にした」人物がいることを「深く懸念している」とした。

 一方で、イギリスには「外国の干渉を特定する」ための措置があると述べた。

 MI5はリー氏からコンタクトがあった人は、「同氏の属性」と、「中国共産党のアジェンダを推進するための同氏の権限」に「留意」する必要があるとした。

 労働党のイヴェット・クーパー影の内相は、「我々はイギリスの民主的プロセスに介入しようとする中国の試みを、最も強い言葉で非難する」と述べた。

 また、労働党が「欺瞞(ぎまん)や干渉の程度と、外国からの有害な活動による継続的リスク」について、内務省やMI5からのさらなる情報を求めていると明らかにした。

 クーパー氏は、全ての下院議員と同僚は、安全保障上のリスクと、干渉から身を守る方法について、MI5から最新情報を得なければならないと付け加えた。

★   国外追放の要求も

 与党・保守党の元党首で、現下院議員のサー・イアン・ダンカン・スミスは、下院でMI5の警告について言及。この警告について、議長が議員に電子メールを送信したことを認めた。

 スミス氏は「重大な懸念事項」だとし、リー氏を国外追放するよう求めた。

 スミス氏と、下院国防委員会のトバイアス・エルウッド委員長は、下院で声明を出すよう政府に要求した。「このようなグレーゾーンの干渉が起こること我々は予測しているし、中国がそうしたことを行うと思っている」と、エルウッドは付け加えた。

 「しかし、この議会でそうしたことが起きたという事実に、政府は危機感を持たなければならない」

★   「秘密裏に連携」

 MI5の警告によると、リー氏は英議会への関与について、「イギリス在住の中国人を代表し、多様性を高める」ためだったと主張した。

 しかし、MI5は同氏の活動について、「中国共産党の統一戦線工作部(UFWD)と秘密裏に連携し、中国と香港にいる外国人から資金提供を受けて実施されたもの」だと指摘した。

 UFWDは英国の政治情勢が中国共産党に有利になるように、「影響力のある人物」と「関係を深める」ことを目指し、同党に対して人権問題などの懸念を示す人物に対処しようとしているとされる。

 MI5はリー氏について、現在は解散している超党派の議員連盟「Chinese in Britain」など、「英政界の幅広い個人らと関与」していたとしている。

 また、リー氏が「中国共産党のアジェンダを推進するために超党派議連の設立を目指している可能性がある」と警告した。

★   中国は否定

 ロンドンの中国大使館は13日、ウェブサイトに声明を発表。MI5について、イギリスの中国人コミュニティーを「中傷、威嚇」していると非難した。

 声明の中で報道官は、「中国は常に他国の内政に干渉しない原則を貫いている」と説明。

 「私たちはいかなる外国議会においても『影響力を買う』必要はないし、その努力をすることもない。イギリス内の中国人コミュニティーに対する中傷と威嚇のたくらみに強く抗議する」とした。

(英語記事 MI5 warning over 'Chinese agent' in Parliament/China denies 'agent' infiltrated UK parliament )

2022年1月14日 BBC

https://www.bbc.com/japanese/59975872

「映画007の見過ぎ」=中国、英保安部警告を否定

 【北京時事】中国外務省の汪文斌副報道局長は14日の記者会見で、英国議会で中国共産党の命を受けた女性が影響工作を進めているとの英保安部(MI5)の警告に関し「映画007の見過ぎで、過剰に不必要な連想をしている」と述べ、英人気スパイ映画シリーズを持ち出し否定した。

 汪氏は、中国が内政不干渉の原則を貫いていると主張した上で「一部の人が主観や臆測に基づき、雲をつかむような、大げさな言論を発表しているのは無責任だ」と非難。「中国脅威論を宣伝している」などと批判した。 【時事通信社】

2022年01月14日 21時00分 時事通信

https://news.nifty.com/article/world/worldall/12145-1421305/

 イギリスの議会において、中国人による議員の買収が行われていたとMI5が報告している。

 さてイギリスの情報部は、あの007シリーズの映画で見えるように、かなり有名である。しかし、私の知る限り、007のような殺人や破壊工作をすることはほとんどなく、基本的にはじっくりと人脈を築いて情報を得るということが大きな業務となる。以前、MI6の人と、007を見たときに、「実際にあんな業務なのか」と聞いたところ「そもそも銃の携帯許可はないし、ジェームスボンドのように町中で銃を撃って、パリの真ん中でカーチェイスをやって、どこかの基地を爆破すれば、全て新聞の一面に掲載されて任務は失敗ですよ。我々は、相手に気づかれないように情報を得る、それが仕事ですから新聞に載るなんてことは絶対にありえない話です」といっていたのが印象的である。

 さて、一般的にMI6が「海外情報」でMI5が、イギリス国内情報というように考えている人が少なくないのであるが、実は「中国」はMI5とMI6のダブルの管轄になっている。これは香港及び戦前に義和団事件などで北京や上海の中にイギリスの居留地があったことから、それら居留地における情報は「国内情報」とみなされ、MI5に管轄がもたれていたことになるからだ。つまり、中国に関してはMI5とMI6双方の管轄になっている。逆に言えば、この二つの管轄があったにもかかわらず、香港の県などは読み切れず、結局手を出せなかったということになる。

 さて、そのMI5が中国の「帰化人」が中国に買収されて、議会工作をしてたことを公表した。もちろん、中国政府は認めるはずがないが、この手の事件で工作を仕掛けていた方が認めた事例は全くない。

 MI5によると、クリスティン・チン・クイ・リーという名の女性が中国共産党のために、現職の英下院議員と下院議員を目指す人との「つながりを確立」していたという。リー氏は中国や香港の非英国人から得た資金を、イギリスの政治家たちに献金として渡していた。<上記より抜粋>

 聞かした中国系イギリス人が、その人間の名前で、香港や中国の非イギリス人から得た資金を使って工作をするというのは、日本でも行われていておかしくはない。日本もイギリスもそうであるが、実際に、政治資金に関しては「政治家に献金した人」しかチェックせず、その金がどのような形でその献金者の所に来たかはわからない。しかし、多額の献金syなどが政治家と直接会って「真のスポンサー」の意向を伝えることはできる。つまり、法律に違反していないにしても、実質的に買収しているということは間違いがないことになる。

 MI5は同氏の活動について、「中国共産党の統一戦線工作部(UFWD)と秘密裏に連携し、中国と香港にいる外国人から資金提供を受けて実施されたもの」だと指摘した。UFWDは英国の政治情勢が中国共産党に有利になるように、「影響力のある人物」と「関係を深める」ことを目指し、同党に対して人権問題などの懸念を示す人物に対処しようとしているとされる。<上記より抜粋>

 中国はこういうことをやっている国である。まさにそのことがイギリスの情報部としてそれを発表した。

 MI5はリー氏について、現在は解散している超党派の議員連盟「Chinese in Britain」など、「英政界の幅広い個人らと関与」していたとしている。<上記より抜粋>

 さて、日本においてこれに当たるのが、「日中議連」や「日中協会」である。そしてその会長江尾長らく務めていた人物である林芳正が現在外務大臣になっているのである。野党は、このようなニュースをもとに、同様の問題がないのか、そのようなことに関して、林芳正や日中議連の献金をもう少し負う必要はないのであろうか。そのようなことになった場合、現在の岸田内閣はしっかりと答えることはできるのであろうか。そのようなことになれば、林芳正氏の政治生命は終わることになろう。まさに国家の根幹を揺るがすような問題になる。そのようにならないように、疑わしいところは自ら明らかにしてもらいたいものである。

 陰謀に負けない体質を政治の中に作る。このことが、これから重要な課題になるのではないか

宇田川源流

「毎日同じニュースばかり…」「正しい情報はどうやって探すのか」「情報の分析方法を知りたい」と思ったことはありませんか? 本ブログでは法科卒で元国会新聞社副編集長、作家・ジャーナリストの宇田川敬介が国内外の要人、政治家から著名人まで、ありとあらゆる人脈からの世界情勢、すなわち「確実な情報」から分析し、「情報の正しい読み方」を解説します。 正しい判断をするために、正しい情報を見極めたい方は必読です!

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