「宇田川源流」 ウクライナとカザフスタンの両面作戦をとったロシアの巧妙な作戦

「宇田川源流」 ウクライナとカザフスタンの両面作戦をとったロシアの巧妙な作戦


 しばらくこのブログで厚会っていない間に、ヨーロッパや中央アジアが意外と大変なことになっている。昨年夏にアメリカがアフガニスタンから撤退した。このことによって中央アジアのパワーバランスが崩れている。

 実際に、多くの国がコロナウイルス禍において様々な政治的な問題や国民感情の問題が出てきたことがあり、そのことから様々な事が停滞しているということになる。コロナウイルスというのは、「人命」か「経済」かというような究極の選択を迫られているといわれている。しかし、実際に致死率などを考えると「感染した場合に恐怖」か「社会的な安定」かというような選択肢になっていることになるのではないか。

 いずれにせよ、人間が「人命にかかわる問題」で恐怖にかられ、「恒常的なパニック状態」になってしまっている状態においては、冷静な判断ができなくなってくる。本来、政治など社会的な内容においては「感情」をなるべく排除し、合理的な判断を行わなければならない。そのうえで、その判断に関してしっかりとした説明が求められるということが民主主義の基本になる。もちろん、その合理的な判断の説明を聞く耳がありなおかつ、その説明を理解できる国民がいるという前提であり、日本のような何でもかんでも「反対のための反対」しかできないようなマスコミでは意味がないということになる。

 日本のマスコミはさておき、そのように説明してもなかなか納得を得られるものではない。このような時に、民主主義の国々の場合は、なかなか前に進めず慎重な議会対応が必要ということになるのであるが、社会主義国は、独裁的に物事を進め国民のことなどは無視して(少し言いすぎかな)進めるので、様々な事が行われることになる。そのようなところを見て、社会主義の方が進んでいるとか、このような危機管理には良いなどという人がいるが、それは大きな間違いであり、決断は早くできるかもしれないが、一方で多数の意見を吸収することができないので国内に不満がたまるということになるのである。

 まあその辺のことは別にして、そのように考えれば、「他の国がないせいで忙しい間に国外の問題をすべて手を付けておく(有利に進めておく)」というような思考が社会主義国の場合は往々にして出てくることになる。まさにその状況が現在の中国とロシアなのではないか。

米、ウクライナ危機めぐりロシアと協議 「率直な」会談も事態打開なし

(CNN)シャーマン米国務副長官は10日、ウクライナ情勢をめぐりロシアのリャブコフ外務次官と会談した。シャーマン氏は会談後、記者団に対し、ロシアに緊張緩和の用意があるかはまだ分からないと述べた。ロシアはウクライナ国境付近に大量の軍部隊を集結させており、侵攻の可能性が懸念されている。

今回の会談は今週予定される3回の二者間協議の初回となる。シャーマン氏は記者団に対し、協議は「ざっくばらんで率直」だったが、ロシア政府が外交に真剣かどうかを判断するのは時期尚早だと語った。

 米国はロシアがウクライナ国境での緊張を緩和させる用意があるとの感触を得たかとの質問に、シャーマン氏は「それについては分からない」「外交を進める最善の策は緊張の低減と緩和だということをロシアが本当に理解しているかどうか、我々は今後の展開を見ていく」と述べた。

 この日の協議はスイスのジュネーブで7時間あまりにわたって行われた。10万人以上のロシア兵が集結するウクライナ・ロシア国境付近では数カ月にわたって緊張が続いている。

 リャブコフ氏は会談後記者団に対し、ウクライナ国境での軍備増強に関して米国は懸念しているが、ロシアは軍事作戦に踏み切る意図はないと説明。「米国側に攻撃の計画はないと説明した」「兵士の戦闘訓練はすべて我が国の領土の内側で行われている。この点に関して事態激化のシナリオを懸念する理由はない」とした。

 シャーマン氏によると、米国は緊張緩和の定義として、ロシアがウクライナ国境付近の兵士らを兵舎に戻すか、あるいは兵士らが行っている演習はどんな内容で何の目的があるのかを説明することを挙げている。ロシアは米国に対し、国境での軍集結は侵攻への前触れではないと伝えたという。

 今後はベルギー首都ブリュッセルで12日に北大西洋条約機構(NATO)とロシアの会談、13日にオーストリア首都ウィーンでロシアと欧州安全保障協力機構(OSCE)の協議が行われる。

2022年1月11日 7時57分 CNN.co.jp

https://news.livedoor.com/article/detail/21488824/

ロシア軍がカザフスタン入り、反政府行動の弾圧続く中

 反政府の抗議行動に対する治安当局の暴力的な弾圧が続くカザフスタンに6日、同国から出動要請を受けていたロシア主導の軍部隊が到着した。

 カザフスタンでは、多くの国民が自動車燃料として使う液化石油ガス(LPG)が2倍に値上がりしたのを背景に、2日から国内各地で大規模な反政府デモが続いてきた。

 政府は6日、燃料価格の上限設定を半年間復活させると発表。しかし抗議行動は収まらず、他の政治的な不満へと抗議の幅は広がっている。

 カシム=ジョマルト・トカエフ大統領は5日、国営テレビの演説で、ロシア主導の軍事同盟の集団安全保障条約機構(CSTO)に、抗議行動の鎮圧に向けた支援を要請していた。CSTOはロシア、カザフスタン、ベラルーシ、タジキスタン、アルメニアの各国で構成している。

 ロシア国営RIA通信によると、カザフスタンに派遣された外国部隊は兵士2500人規模。CSTOは、カザフスタンの政府や軍の施設を守る平和維持部隊だと説明している。数日から数週間、同国にとどまるという。

 米国務省は、ロシア部隊の動きを注視しているとしている。報道官は「アメリカや、率直に言えば世界が、いかなる人権侵害にも目を光らせている」と述べた。

「カザフスタンの国家機関の掌握につながるような、いかなる動きに対しても警戒している」

 国連、アメリカ、イギリス、フランスはすべての当事者に対し、暴力をふるわないよう求めている。

   最大都市で多数の死者か

 カザフスタンの最大都市アルマトイでは6日、機関銃の発砲音が鳴り響いた。

 当局は、アルマトイで治安部隊の18人が死亡したとしている。警察は、一晩で数十人の「暴徒」を殺したと説明した。

 抗議行動に参加した建設労働者(58)は、治安部隊がデモ参加者たちに発砲しているのを見たと、AFP通信に話した。

   「人々が死ぬのを見た。いきなり10人くらいが殺された」

 カザフスタン内務省は、抗議参加者2298人が拘束されたとしている。保健省によると、混乱による負傷者は約1000人に上っているという。

   大統領公邸も焼ける

 カザフスタンは専制国家とみなされることが多い。ほとんどの選挙は与党が勝利し、投票率は100%近くに上る。影響力のある野党は存在しない。

 トカエフ大統領は現在の混乱について、証拠を示さずに、外国で訓練を受けた「テロリスト」の仕業だと述べている。

 アルマトイにある大統領公邸と市長庁舎では6日、炎が上がった。国内最大の空港は抗議参加者2が占領していたが、軍が掌握した。

 前日5日には、トカエフ氏は内閣の総辞職を命じ、反政府デモを鎮静化しようとした。さらに、国家安全保障会議の議長として強大な権力を握っていたヌルスルタン・ナザルバエフ前大統領を解任した。

 アルマトイの活気あふれる広場が紛争地帯に変わった。建物や自動車が焼けてしまっている。多くの人が外に出ることを恐れている。衝突が続いているので、特に夜間はそうだ。発砲と爆発の音がするたび、外出がいかに危険な行為かを思い知らされる。

 アルマトイ周辺の村々では、集落の入り口に自警団が立ち、略奪を防いでいる。アルマトイの入り口には、検問所と急ごしらえのフェンスが作られている。そのため人々は、細い道を通って同市に出入りしている。

 ガソリンスタンドには長い列ができている。住民たちは食料を買うのに苦労している。ショッピングモールやスーパー、カフェ、レストランなどはすべて閉店し、小さな商店だけが営業を続けているからだ。インターネットは遮断されたままだ。そのため預金を引き出せず、電話機にチャージすることもできない。

★ カザフスタンの基本情報

地理:北はロシア、東は中国と接している。面積は広大で、西ヨーロッパ全体に相当する。中央アジアの他の旧ソビエト連邦構成国よりはるかに大きい

重要性:豊富な鉱物資源を有する。原油は世界の埋蔵量の3%を持ち、石炭やガスでも重要な国となっている。イスラム教が主流の共和国で、ロシア少数民族が多い。中央アジアの他の国でみられるような内乱はほぼ起きていない

ニュース性:燃料をめぐる暴動が政府を揺るがしている。内閣が総辞職し、抗議行動を治安当局が暴力で抑え込む流血の事態となっている

(英語記事 Russian troops fly in amid violent Kazakh crackdown)

2022年1月7日  BBC

https://www.bbc.com/japanese/59904247

 本日は、少々記事が長いので、短めに解説をすることにしよう。中国は、この機会にまた、コロナウイルスよりも前に、南シナ海・東シナ海・台湾・中印国境などの国境地帯との紛争を起こしており、なおかつ「真珠の首飾り」といわれるインド洋の支配、そしてアフリカと様々なところで軋轢を残している。注手素の習近平政権はトランプ大統領の時代のアメリカとの間にかなり強い摩擦を起こしていた。そして、最も注目すべき点は、そのトランプの行った対中国経済制裁に対してアメリカの議会が上院下院ともに、トランプ大統領を擁していた共和党だけではなく民主党も大部分が賛成していたということである。

 そのことからバイデン大統領になっても、対中国に対してはかなり強硬な姿勢になっているしまた、そのバイデン大統領の強硬姿勢をアメリカの多くのメディアは支持しているということになる。

 さて、ロシアはどうなのか。ロシアは、2014年にクリミア半島の中において「ハイブリッド戦略」なるものを行った。これは軍hタイではなくあくまでも民間人に化けた工作員が多数侵入し、ウクライナにおけるクリミア半島の人々を扇動し、そのうえでロシアへの編入を導くとともに、反対する人々を内乱を装って排除するということを行った。この方法に関してヨーロッパは激しく動揺し現在もアメリカ・ヨーロッパの各国はロシアに対して経済制裁を行っているということになる。

 しかし、プーチン大統領は、その就任のころから「旧ソ連邦版図の復活」を政治目標として掲げており、経済制裁クリアではその内容が止まらず、ウクライナやベラルーシなどに関与しているという状態になっている。

 さて、プーチンの立場からして、現在の内容は「世界のほとんどが中国に目を向けている」状態である。これはコロナウイルス・中国の覇権主義・北京オリンピック・アフガニスタンということになる。もちろん、不通で考えれば「少し控えればよい」というような感じになるが、プーチン大統領はなるべく世界の目が中国に向かうように「習近平をあおる」ということ、つまり、習近平の行動を支持するということを行うようになるのである。当然に、「支持者」を得た習近平は強気に動くようになり、そのことから世界はより一層大きな動きになる。単純に言えば北京オリンピックにおける外交的ボイコットであろう。これに対してプーチンは「そのような世界の目が中国に向いている間に自分の野望を完成させる」ということが重要になってくる。つまり、その間に「旧ソ連邦の版図の復活」ということになろう。

 しかし、ウクライナに関してはヨーロッパも注目している。そこで、ウクライナに目を向けさせつつカザフスタンに向かったということになろう。カザフスタンに関しては、上記のBBCの記事に、その重要性などがしっかりと書かれているのでそちらを参照してもらうことにして、「中国」「ウクライナ」と二つの陽動作戦をしながらカザフスタンの中で再度「ハイブリッド」を行うというのは、なかなか考えた戦略である。同様にタジキスタンなども行うことになろう。

 さて、これで中国が何らかの事態を起こした場合、プーチンとしては「中央アジアの権益を取引材料にして、アメリカやヨーロッパと近づき、中国との間に不可侵条約を結びながら中央アジアを占領する」というような達になるのではないか。伝統的なソ連の行い方であり、日本は、戦時露旧満州との間の不可侵条約を信じてそのまま兵を差し向けなかった能天気な状況を行っていたのである。

 さて、このように「歴史は繰り返す」となるのか。なかなか興味深いところであろう。

宇田川源流

「毎日同じニュースばかり…」「正しい情報はどうやって探すのか」「情報の分析方法を知りたい」と思ったことはありませんか? 本ブログでは法科卒で元国会新聞社副編集長、作家・ジャーナリストの宇田川敬介が国内外の要人、政治家から著名人まで、ありとあらゆる人脈からの世界情勢、すなわち「確実な情報」から分析し、「情報の正しい読み方」を解説します。 正しい判断をするために、正しい情報を見極めたい方は必読です!

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